タイヤ選択から見るドライバーたちの”戦略”:F1中国GPプレビュー

スーパーソフトを多く持ち込んだウイリアムズやマクラーレン。一方ミディアムを多めにしたルイス・ハミルトン。タイヤチョイスに大きな違いが生じた今年の中国GP、その”正解”は?

 中国GPには、スーパーソフト(SS)、ソフト(S)、ミディアム(M)の3種類が持ち込まれる。バーレーンでも見られたように、タイヤの選択が非常に重要になる今回のレース。各ドライバーが選択したタイヤから、その戦略を想像してみることにしよう。

 もっとも速いペースを記録する可能性を持つSSは、ウイリアムズのふたり、マクラーレンのふたり、ハースのふたりの合計6人が、7セット選択している。SSが上海に持ち込まれるのは初めてのことであり、どのくらいの周回数をこなすことができるのかが、勝負の鍵となる。そのため、フリー走行でライフを確認し、予選でも多用してQ3進出を目指し、さらに決勝に向けてもいくつか新品セットを残しておきたい……そんな想いが見え隠れする。

 例えばフリー走行2回目でロングランを試し、3回目で予選アタックを練習。そして予選を各セッション1本ずつ消化したとすると、7本持ち込むということは、決勝の向けて3本の新品SSを残すことができる(Q3は進出者限定で提供されるSSを使用)。予選で1回失敗することを仮定すれば新品の残数は2本と言うことになるが、それでもQ2最速時のSSでスタート、SS-SSと繋いで最後のスティントをソフトタイヤで走る……前戦のロマン・グロージャン(ハース)のような戦略を、この6人が狙っているように思われる。もちろん、SやMも数本余らせることが可能なはずで、コンディション変化によっては、SS以外のタイヤに置き換える可能性もあるだろう。
 なおフェラーリのふたりはSSを6セット、そのほかレッドブル、フォースインディア、ルノーも6セットだ。前述の様に予選で失敗しなければ、新品の残りは2セットとなり、こちらも3回ストップ作戦でSS(中古)-SS(新品)-SS(新品)-S(新品)と繋ぐことも可能。特にマシンの性能面で一歩抜き出ている感のあるフェラーリは、Q1とQ2をおそらく1セットずつでクリアし、新品のSSを2本決勝に残すつもりであると思われる。
 さて、気になるのはメルセデスAMGの戦略だ。彼らがチョイスしたSSタイヤの本数は5本。前述の戦略で言えば、決勝には新品を1セットしか残すことができない。もちろん、フェラーリ以上に性能面で勝るメルセデスAMGは、フリー走行の結果次第にはなるが、SでQ1を突破することを狙い、SSを2セット保持するつもりと考えられる。
 それよりも気になるのは、Mのセット数だ。ルイス・ハミルトンは4セット、ニコ・ロズベルグは3セットのMを持ち込むことを選んだ。バーレーンGPでは、ふたりは共にMを1本ずつしか持ち込まなかった。しかし今回は、その数を大いに増やしてきている。そういう意味では、Mを多用するなど、前回とはまるで違う戦略を考えている、そんな可能性も感じさせる。あるいは、上海の気温が涼しくなることを見込んだ選択なのかもしれない(Mの作動温度領域は低く設定されており、気温が低ければSよりも使いやすいという可能性もある)。
 なお、ザウバー勢はSSを4セットしか持ち込まなかった代わりに、5セットものMを選択している。今季性能面では苦しむザウバーは、他のライバルよりもピットストップの回数を減らし、フィニッシュすることを目論んでいるように見受けられる。彼らがどのようにMを使うか、この点にもご注目いただきたい。

 今回の中国GPについて、ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーは次のように語っている。

「中国のサーキットは、今年これまでに訪れたふたつのサーキットとは、大きく異なる特性を持つサーキットです。にもかかわらず、持ち込むタイヤが同じだということは、当社製品が幅広い状況下で適応することができることを示しています。
 上海のレースは、涼しい環境下で行われる可能性が高いです。その自然環境は、どんな戦略でも実施可能であるということを示しているが、チームはフリー走行でしっかりとデータを収集して、決勝のコンディションに合わせ込まねばなりません。
 選択された3つのコンパウンドは、幾つかの作戦上の選択肢を導く。我々は中国で多様な戦略が実施されることを期待しています」

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 中国GP
サーキット 上海国際サーキット
記事タイプ プレビュー