フォースインディアをテストしたマツェピン「アロンソと同等か少し上」

マツェピンは、自身初のF1テストに対する感想や将来の展望、そしてシューマッハーとの出会いについてMotorsport.com に語った。

 6月、イギリスGPの直後にシルバーストーンで行われた合同テストで、F1マシンのステアリングを初めて握ったニキータ・マツェピンは、手応えを感じた。

 今年、ヨーロッパF3に参戦するマツェピンは、ロシア出身の17歳。F3に参戦する傍ら、フォースインディアの開発ドライバーも務めているマツェピンは、シルバーストンにおいて2日間フォースインディアのF1マシンを走らせ、レギュラードライバーであるニコ・ヒュルケンベルグがイギリスGPの予選で記録したタイムを上回る速さを見せた。

 そのマツェピンが、motorsport.comのインタビューに応えた。

ーーシルバーストーンのテストから数週間経つ。振り返ってみてどうだったか? そしてどのような経験になったか?

マツェピン(以下M):「かけがえの無い経験をチームから得られたよ。本当に感謝の気持でいっぱいだ。今年は、フォーミュラルノー2.0にも何度か参戦したんだけど、F3に戻る度に、自分の限界を感じていたんだ。でも、F1テストを経験したことで、F3に対して自信を持つ手助けになった」

「テストでは非常に良い仕事が出来たと思っているよ。チームの助けになれる様、出せる限りの力を出し切った。何のミスも犯さなかったし、2日間を通してラップタイムも悪くなかったからハッピーだよ。本当に素晴らしい経験になった」

ーー君が提供したデータにチームは満足したかい?

「満足してくれたと思うよ。テストの主な目的は、時間の関係上レースで使用する事ができない部品を試す事だったんだ。それから、その他のコンパウンドを試して、ピレリがどのようにタイヤを選択するかも調べたよ」

「僕は、週末のレースに合わせたソフトコンパウンドを履いて主にテストを行ったんだけど、さらにスーパーソフトとウルトラソフトも試した。チームとしては、他のコンパウンドがコースに適しているのかどうかを調べたかったんだ。良いフィードバックをもたらせたと思っているよ。特に、初めてスーパーソフトを履いた時は、感じた事を伝える事が出来たし、結果はかなり良かった」

ーーF1マシンを運転して一番驚いたことは?

「コーナーでのパワーの大きさだね。シルバーストーンにはたくさんコーナーがあって、ほとんどは少しよじれたストレートなんだ。最初は自信を持つのにとても苦労したよ。ブレーキの性能はとても良くて、ブレーキを踏む前に不安になることは何も無かった。たくさん雨が降っていて人工芝は濡れていたから、アクセルを踏み込む時にスピンをしてコースを外れたくはなかった。トラックリミットを越えたくはなかったんだ」

「とにかく、パワーが一番驚いた事だね。高速時のダウンフォースも大きかった。でも、F3もダウンフォース量は多いから、そんなに大きな違いはないかな」

ーー言うまでもなく、現在のF1マシンは複雑だが、手順を学ぶのにどれぐらいかかった?

「本当にF1マシンは複雑だね。でも正直に言って、そんなに時間は要しなかったよ。セルジオ・ペレスのスタッフと一緒に作業するチャンスを得たんだけど、彼等は素晴らしかった。彼等はみんなとても親切なんだ。僕が知らない事を聞くと、何でも教えてくれたよ」

「テストの時はもちろん良い印象を残したいから、質問ばかりして馬鹿に見られるようなリスクはなるべくなら犯したくない。でも、彼等との作業はとても居心地が良かったんだ。それは、テストが上手く行った要因のひとつだと思うよ。自分がしていることは分かっていた。マシンにもエンジンにもダメージを与える事無く、テストを無事終える事が出来て良かったよ」

ーー肉体的な面で問題は?

「まったくなかったね。今はF3も非常に難しいから、レースに向けていつも準備は怠っていないんだ。将来的に上のレースカテゴリーを目指すドライバーにはもってこいの場所さ。本当だよ」

ーー良い印象を与えたという感触はある?

「そう思っているよ。チームにとって役に立つドライバーになれるという実感は間違いなく持っているよ。もし、またチャンスを与えてもらえるなら非常に良い機会になると思う。チームの助けとなるとともに、マシンに乗る度に自分自身を助けるんだ。
F1マシンをレンタルしてドライブに出かけることなんてできない。本当に少数のドライバーしか乗る事は出来ないんだから、本当に特別な機会に恵まれたよ。このような機会を与えてくれて本当に感謝している。テストでは本当にベストを尽くす事が出来たから、また次の機会があることを願っているんだ」

シューマッハーとの繋がり

ーーどのようにしてモータースポーツを始めたんだい?

「皆と同じだよ。ゴーカート場に行って試したのさ。ゴーカート・センターの人たちには快く迎え入れてくれたことを感謝しているよ。それから、6、7歳になる頃には放課後に何かしたくなるだろう。そこから週3日通うようになったんだ。本当に楽しかった。それに僕は上手かったんだよ。モスクワ選手権やロシア選手権といった、より高いレベルでもやれるだろうと言われたね。でも、いざ行ってみるとあまりのレベルの違いに衝撃を受けたよ。それでも飛び込んで行ったんだ。ゆっくりとだけれど、ヨーロッパ選手権にも挑戦する様になり、その後に世界選手権に挑んだんだ。2戦連続で2位を獲得すると、ドライバーとしてのポテンシャルが認められて、良いマシンを得られる様になった」

ーーいつ頃にこれが望んだ道だと認識した?

「9歳の時にはF1ドライバーになりたいと思っていたよ。それだけに、今回のテストに参加できて素晴らしい気分だよ。誰もが成功を望んでいて、長年に渡って努力をして、最終的にその味を覚えたら、モチベーションは一層高まるし、あと少しで成し遂げられると感じる事が出来るだろう」

ーー少年時代のヒーローは?

「これはありきりたりの答えだろうけど、当然ミハエル・シューマッハーさ。カート時代に同じクラスの同じチームで、彼の息子とレースをしていたんだ。そして、いつもチームテントに来て控えめにしているミハエルを見つけると、僕のカートについて質問していたんだ。よく考えるとすごい事だよね。だから、ミハエルは僕に取ってのインスピレーションなんだ」

ーー彼に初めて会った時はどんな感じだった?

「レーシングドライバーとしてのキャリアを築き上げようとしている時は、もちろんトップを目指すだろう? ミハエルこそが僕にとってのトップだったんだ。それは今も同じさ。大事な事は、彼がどのように振る舞うのかを見る事だけだった。ファンとどのように触れ合うか、人々にどのように話すのか、チャンピオンを真似たいなら、ドライビングだけではなく、そのすべてを真似なければね。特に少年時代に性格を形成していく過程では尚更だ。だから、僕は素晴らしい機会に恵まれていたってことさ」

ーーミックとは仲良くなった?

「ああ。良い友達だったよ。ふたりともコースでは長い時間を過ごして来た。そして、それはとても孤独なことなんだ。だから、いつも食事を共にしたり、よく一緒にいたよ。KFジュニアクラスで走っていた頃はいつも一緒にいたんだけど、僕がシニアに上がった時、彼はもう一年ジュニアに残ったんだ。今でも連絡は取っているけれど、F3とF4という別のカテゴリーにいるから、そんなに頻繁ではないよ。F1に関わったおかげでとても忙しいし、F3やフォーミュラ・ルノーでも走っているからね。簡単じゃないんだ。ここでは友達を作るためにやっているわけではない。だけど、良い友人関係を作れたらとは思っているよ」

ーーミックにミハエルの面影を見ることはある?

「難しいね。ミハエルを本当に知っているわけではないからね。人づてに聞いた事から推測するしかないんだ。コースの上で僕は人の良いドライバーであったことはないし、いつだって素晴らしいバトルを楽しんでいる。ここには勝つためにいるんだ。率直に言うなら、ミックとは衝突もあったよ。彼も僕とと同じくアグレッシブなドライバーで、いつだってベストを尽くすからね。それだから、ミックは偉大なドライバーなんだよ。フェアに見て、彼はF4に長く参戦している。そして僕たちはカートで良く楽しんだ。いつかトップカテゴリーで逢えたらいいね」

ーーカートのコーチがダニール・クビアトと同じって本当?

「本当さ。このコーチのおかげでカートにのめり込んだんだ」

ーーダニールとは良く出掛けた?

「そうでもない。アドバイスはくれたけど、彼は既に高いポジションにいたし、異なるキャリアを歩んで来ているからね。だけど、いつも彼の事は気にしている」

そろそろF1に参戦するべき

ーーマックス・フェルスタッペンがカートから僅か2年でF1に辿り着いた事をどう思う?

「マックスは明らかに素晴らしいドライバーだ。カート時代からよく知っているよ。彼が成し遂げた事を再現するには、正しい時に正しいクラスにいて、すべてが上手くまわらないといけない。彼は努力しているし、素晴らしい仕事をした。だけど、同じ様にジャンプアップしなくても大した事じゃないさ」

「若いドライバーにとって大事なのは、F1に辿り着き、最後にはワールドチャンピオンになることさ」

「そこに早く辿り着いたなら、それはすごい事だけど、それだけじゃない。ゲームの終わりこそが重要なんだ。各カテゴリーで必要な時間を過ごすことは、正に僕がやっている事だ。どこに行こうとベストを尽くしている。昨年のフォーミュラ・ルノーから F1へのジャンプアップは簡単ではなかった。ひょっとすると一年速かったかもしれない。だけど、今やF3にいて、ここに集中している。ドライビングは改善して、マシンにも慣れて来ているよ」

ーーF1への明確なタイムラインを設定した事がある?

「そうだね。F1で大事なのは、準備ができた状態で辿り着くことだ。すべてのドライバーは異なる成長をするからね。今だと自分で感じたとしても。F1には限られたチーム数しか無いし、それぞれふたつのポジションしか無い。フォースインディアに関われた事は本当に感謝しているし。F3で結果を出してスーパーライセンス・ポイントが十分になったとき、フォース・インディアか他のチームが興味を持ってくれたら嬉しいね」

ーー現在はアルフォンソ・セリスが務めているフォースインディアのFP1走行。セッションを走る準備はできている?

「アルフォンソは年上だし、より経験がある。テストでは良いポテンシャルがあることは示せたと思うよ。自分を他のテストドライバーをと比べるのは難しい。たった2日間務めただけだし、皆が異なる戦略を持っているからね。だけど、チームは僕を考慮に入れるべきだと思う。アロンソと同等かひょっとするとより使えるかもしれないからね」

「彼等次第さ。僕は愛用のヘルメットとレーシングスーツで準備はできているからね。乗って欲しいと言うことなら、僕は彼等のものさ」

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この記事について
シリーズ F1
ドライバー Nikita Mazepin
チーム Force India
記事タイプ インタビュー