ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

【F1メカ解説】ウイリアムズの”低速用”アップデート

ウイリアムズは、バーレーンに新パーツを持ち込み、低速域でのパフォーマンス向上に重点を置いて、今季のチャンピオンシップに足場をしっかりと作ることを目指している。

ノーズとフロントウイングを変更

 2015年より、”ショートノーズ”と名付けられたノーズが登場していたが、ウイリアムズは今季のマシンのために、この部分の開発に注力している。新型ノーズの開発は締め切りギリギリまで行われたが、バーレーンに持ち込まれたのは1個だけで、そのノーズを試すことができたのは、フェリペ・マッサのみだった。中国GPには、より多くのパーツが持ち込まれる予定である。

Williams FW38 nose detail
Williams FW38 nose detail

Photo by: Giorgio Piola

 新型ノーズは、先端部分僅かに後退している。その一方、後退したノーズに接続するため、後方に向かって傾斜する形にステーの形状が見直された。これにより隙間が大きくなり、後方に向け気流を送りやすいようにしている。

 これらの変更は、ノーズ下の気流を改善することに焦点を当てているが、より重要なのは、メインプレーンの中央部分の圧力配置である。ノーズのようにメインプレーンの中央部に影響を及ぼすモノの考え方は、さらに下流で影響を受けるコンポーネントやその他の部分によって異なる。

 先端の短縮によりノーズの両サイドが若干高くなったが、クラッシュテストの基準を果たすため、僅かに球状の整形となっている。

Williams FW38 nose and front wing detail
Williams FW38 nose and front wing detail

Photo by: Giorgio Piola

 ノーズの変更により、フロントウイングにもいくつか変更が加えられました。まずフラップについては、メインプレーンの中央部との接合個所が修正されている(1)。ここで空気の渦を発生させ、クルマの中心線に沿って流すことでパフォーマンスを向上させることが狙われている。

 フラップの内側エッジの形状も変更されている。ここは、フラップの末端部というだけではなく、気流の渦に影響を及ぼすため、メインプレーンの中央部分の接合部と縦に並ぶ形で修正されている。

”r”カスケード(3)は新しく追加されたもので、ふたつの意味を持っている。ひとつは操作性を向上させ、もうひとつはフロントタイヤ周りの気流を整える手助けをしている。

スプリッターとウイングレット

Williams FW38 detail
Williams FW38 detail

Photo by: Giorgio Piola

 またウイリアムズは、バーレーンGPの週末が始まる前に、スプリッターにも変更を加えている。スプリッターの前の縁に背の高い垂直フィンを搭載。またこのフィンは、バージボードとサイドポッドのアンダーカット周りの気流を整えるため、外向きになっている。これは気流がスプリッターの外側のチャネルに巻き上がるように流れるのを整えるとともに、ディフューザーの性能向上にも役立てているようだ。

Complex rear brake ducts

Williams FW38 rear axle, airflow details
Williams FW38 rear axle, airflow details

Photo by: Giorgio Piola

 オーストラリアでの観察では、ブレーキダクトにも有効な変更が加えられているのが確認できた。ブレーキを一度通った空気の処理は、ドラム径の半分に沿って配置された複数の開口部から出したり、ホイールの中心部に吐き出したりと、ディフューザーなどで使われるものとは根本的に異なっている。

 これらの開発が彼らの低速域の問題を解決したか、レースペースの改善に役立ったかということが気になる一方、ウイリアムズが彼ら独自の方法を試していることがよく分かる例である。これは、他のトップチームとは対照的な、FW38独特のソリューションだと言えよう。

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 バーレーンGP
サーキット バーレーン・インターナショナル・サーキット
チーム Williams
記事タイプ 分析
Topic ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】