【F1】ホンダF1総責任者の長谷川祐介に訊く、2016年の総評①

長谷川祐介が2016年のマクラーレン・ホンダを振り返る。

 ホンダがF1に参戦し始めて今季で2年目。最終戦アブダビGPが今日の日本時間22時よりスタートする。

 ホンダ長い間トップを走り続けた経験のあるチームとして、ここ数年の低迷は目を覆うばかり。それでもホンダがエンジン供給を始めた昨年と比べれば、今年はかなり戦闘力の向上が見られた。

 ホンダF1総責任者の長谷川祐介はシーズン2をどう評価したか。motorsport.comが最終戦アブダビで直撃した。

--2016年シーズンを振り返って感想を。

「もちろん、我々の2年目というステージを考えれば、みんな良くやってくれたし、それなりの進化は見られたが、結果には全然満足出来ない。ようやくレースに参加出来るようになったという感じ。この2年という短期間の中でみんなよく頑張って、よくここまで来たなという感じ。またオーバーオールの絶対的な成績で見ると、まだまだだなという感じですね」

--2015年が終わってシーズン2に向けパワーユニットの何を変えようとしたのですか?

「チーム全体として信頼性の問題ですね。パフォーマンスもそうですけれど、昨年は信頼性の問題でまともにレースが出来なかったり、クルマを走らせることが出来なかったという問題が非常に大きく感じましたので、まずやっぱりちゃんと走る、ちゃんとグリッドに着く、ちゃんとレースを完走するということですね。そうじゃないとパフォーマンスを計ることさえ出来ないですから」

--”信頼性”とは、具体的にどこが問題だったのですか?

「昨年起きた問題は本当に様々で、いわゆるメタルが焼き付くとかの問題ではなかったので、逆に大変でした。そういう意味では、いろんな経験不足でしたから。でも、去年いろんな問題を起こしたことによってそういうところを直せたというのがひとつあります。あとはプロセスとして、日本の研究所で洗い出す段階できちんとレースマイレッジを確認してから出すという、まあ当たり前のことですけど、プロセスをきちんとしようよ、というのを今年は考えましたね」

--ベンチではクルマの挙動をちゃんと実現しながらエンジンの試験をするということですよね。

「それすら去年は出来ていなかったということですね。というか、去年でいうと最初にトラブルが起きて、そのトラブルを直すけど時間がなくてそのまま行かなくてはならないと。ですから、今年は冬の間にレースを完走できるレベルのパワーユニットを用意しましょうと。そうすれば、何があっても、もちろんパフォーマンスはアップしていくんだけど、いざというときに戻るところがある。まずその戻るところというか、ベースを作ろうというのを冬の間に一番考えましたね」

--今年のパワーユニット開発で一番力を入れたのは?

「開発で一番大きかったのはターボですね。今年一番進化しました。ターボを大きくしてエネルギー回生をしてデプロイ出来るようにしたというのがパフォーマンス的にも一番効いていますし、そこだけ取ればトップチームに引けを取らない、ほとんどのサーキットでドライバー達もうちのアシストの時間が一番長かったよと言ってくれましたから。そういう意味では、そこは十分誇れるところだと誇れるところですね」

--エンジン本体の効率アップはもう限界ですか?

「エンジンもインテークだとか、内燃機関も含めてアップしてきました。たぶん、過去の第3期とかいままでの開発でいえば十分に上がってきてるんですけど、他社とのギャップという考えでいうと、詰め切れていなかったですね。他社というのはメルセデスですね。ギャップというのは数字は申し上げられないですから、というか正直いって分からないですから。まあ、トップスピードの差で見てこれだけエンジン出力がないと追いつけないねと、でもそれは必ずしもエンジンの差だけでは本当はないので」

--エンジンやターボ、ハイブリッドシステムなど、個々の機器で改良を施したもの、個所はありますか?

「具体的にはお話しできませんが、ターボの形状だとか、要はタービンのコンプレッサーのフィンの形状の特性をいまのものに合うようにしたということです。それはごく普通のことですので、具体的に何枚にしたとか角度をどうしたとかはお話しできませんし、僕も説明できないところもありますので。エンジンでいえば当然燃焼室の形状、ピストンの形状、ポートの形状・・・いわゆるエンジンの開発のところです」

--今年になって、いつ頃から手応えが出て来ましたか? まず、開幕戦はどうでした?

「最初のレース、オーストラリアは割と期待を持って臨みました。ただ、アロンソの事故があって赤旗中断で波乱のレースになってしまったので、正直言ってパフォーマンスが良く読めない状況でした。ポイントは取れるかなと思っていましたが、そうはいかなかったんです。次のバーレーンはバンドーンが1点取ってくれたので、ポジション的にはあの辺にいるんだなあと思っていました。次の中国で完走して、波乱の全くないレースで12、13位かな。個々で改めて全然駄目だなあと。実際、あのときもエンジンを本当にフルパワーでは使っていませんでした。信頼性の問題もあったので、少し出力を落として走っていたんですが、これじゃあ話にならないというのをそこで感じ、そこからエンジンをフルパワー側に振るようにしました」

--それまでは信頼性第一ですか?

「信頼性を優先していたというのはあります。さっきお話しをしたように、まずはベースラインを作ってこれだったら完走できるというレベルを作らなければと思っていたのが最初の2戦ぐらいでしたから。バトンはバーレーンでリタイアしましたが、それはエンジン本体のトラブルではなかったので、エンジンの方はそこそこ見えてきたという感じでした」

--その後、ドカーンとステップアップしたのはいつですか?

「カナダで新しいターボを入れて、シルバーストンで新しいインテークを入れて、それはシーズン中の新しいスペックを投入するにしたがって当然パフォーマンスは上がって来ました。それでもやっぱりパワーが足りないというのがあったので、その後の夏休み明けのスパで現在使っているスペック3という新しいエンジンを入れるときが一番苦しかったですかね。入れるのが間に合わないかもしれない。でも何としてでも、スパ、モンザに少しでもパフォーマンスを上げたものを持ってこないと。ドライバー達も期待していましたから」

--スパまではなぜ苦労したのですか?

「燃費ですね。スパに投入したスペック3になるまで、燃費で相当苦労しました。ベルギーからはレース中の燃費が心配になることはなかったので、そういう意味では大きく変わりましたね」

 今季の日本GPについては、ホンダF1総責任者の長谷川祐介に聞く、2016年の総評②に続く。

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シリーズ F1
記事タイプ インタビュー