【F1】ホンダF1総責任者の長谷川祐介に訊く、2016年の総評②

長谷川祐介が2016年のマクラーレン・ホンダを振り返る。

 ホンダのF1グランプリ参戦(第4期)2年目が終了した。コンストラクターズ選手権はフォースインディア、ウィリアムズの後塵を浴びて6位が確定した。

 第1回のホンダF1総責任者の長谷川祐介に訊く、2016年の総評①に続き、長谷川へのインタビューは、今季の日本GPに触れていく。

 苦しい戦いになった日本GPからのホンダパワーユニットの課題、シャシーを担当するマクラーレンとのやりとり、来季の目標について長谷川は語った。

--クルマ全体としてのパフォーマンスはどうでしょう?

「馬力はいまでも足りているとは思っていませんね。先ほども言ったように、クルマのトップスピードが10㎞/hほど遅いわけです。それはエンジンパワーだけが理由ではないと思っていますけど、それを正確に計る方法はないですから、それはエンジンパワーだという前提で言うと、あと何kW必要だねという風に考えながらやっていました」

--タイヤが上手く使えていないのでは?

「そうですね。鈴鹿あたりから明確になったのは、高速コーナーとか、コーナーの立ち上がりでどうしても踏めない、オーバーステアが出てしまうという課題は明らかでしたね。その前までは我々もエンジンのアップデートに注力していたので余りそこを意識していなかったんですが」

--そうであればいくらエンジンパワーがあっても苦しいですね。

「鈴鹿ぐらいからの後半で言うと、トラクションがかからないというのは大きな課題だなあと言うのは、チームとしてもドライバーとしても我々としても認識していました」

--その問題の解決にはホンダ側からは何か出来ましたか?

「うーん、出来ることがないわけじゃないんでしょうけど、あまり積極的にはやっていないですね。いまホンダはエンジンサプライヤーなので。でも、当然議論の中でダウンフォースが足りないよねとか、ここが使えてないよねといったディスカッションには参加していますけど、それを実際に解決するのはチームだと思っていますけど」

--ホンダがクルマ(シャシー)に対してアイデアを出すわけではない。

「そこまではやりませんが、なんでこうなってんのとは言います。それは、向こうがなんでパワーが出ていないの、って聞いてくるのと同じです。聞いてくるんです。で、さっき言ったように今年それなりにクルマが走れるようになり、確実にパワーアップもしてきたことによってそういうことがちゃんと言い合えるような関係になれたとは思っています。ひとつのチームになったような感じです」

--一番ガッカリしたのは?

「結果でいうとポイントを落とすとどのレースもガッカリしていますが・・・やっぱり一番ガッカリしたのは鈴鹿ですね。鈴鹿は運もなくパフォーマンスもなく散々でした」

--鈴鹿のようなコースを速く走ることが出来るクルマは総合性能が良いということですね。

「そうですね。パワーもダウンフォースもメカニカルグリップも全部ないと、鈴鹿では良い成績は取れませんね。それにしても酷かったですね。来年のエンジンをあの辺の時期に注力するべきタイミングでもあったし、来年はもうこんなことにならないようにしようという話をみんなでしました」

--エネルギー回生のシステムなどは問題ないですか? ドライバーは上手く使えていますか?

「そこはそう思います。ただ、いまのエネルギー回生システムはレギュレーションで結構縛りがあるので、出力もそうですしエネルギー量もそうですから、その中でいえばレギュレーションいっぱいまで使っているという位置付けです。その縛りがなければ性能差が出て面白いでしょうが、まあレギュレーションの範囲で頑張るのがレースだと言えますけど、今後のレギュレーション変更でそこは議論の対象になると思います。2020年まではパワーユニットのレギュレーションは変えないというように決まっていますから」

--来年のパワーユニットとしての進化は?

「トップチームと戦えるレベルにはしないと、と思っていますが、いまはまだお約束できるレベルになっていないので、大きなことは言えないですね」

--こうやって世界各地でレースを戦いながら、日本のさくら研究所では来年のパワーユニットを開発しているわけですよね。来年のパワーユニットの方向性は?

「方向性として、いまの段階では明らかに差が見えているのでターゲットは立てやすいですね。第3期の頃はどこにターゲットを立てれば勝てるんだと悩みましたが、いまはそういう悩みはないですね。この数字を出せば勝てるだろうと」

--ターゲットが立てやすいということはクリアしやすいですね。

「そういうことはないです。ターゲットが余りにも高すぎて難しいですね。もしかしたら、そこに自分たちの誤解があってターゲットを無闇に高く設定しているのかもしれないです。でも、ターゲットは高い方が良いんです。それでクリア出来れば文句なしに勝てるんだというのは分かっていますから」

--パワーユニットだけでなく、シャシーも重要ですね。出来てきたシャシーの基本性能が良くないと1年間苦労しますね。

「そうですね。我々はパワーユニットの提供をするわけですが、それを生かすシャシーを作って欲しいという議論をいままさに始めたばかりですね。年内いっぱいぐらいはそういう議論をします。もちろん、基本的なコンセプトはそれぞれ決まっていますが」

--ホンダの来年用のパワーユニットはもう完成していますか?

「完成というか、ベンチで回っています。すでにたくさん回っていますが、結構問題も出ています。その問題を潰していかないといけませんね」

--長谷川さん個人的な話を聞きたいのですが、久し振りに戻って来て年間21レース。疲れたでしょ。

「大変でした。ただ、仕事の中身でいえば経験があるのでとまどうことはなかったですが、責任者という立場で皆さんにお話をすることはなかったので戸惑いますね。話すことを事前に決める方じゃないし、ほとんどのことは話してますしね。数値とか以外は余り隠すことはしていません」

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シリーズ F1
記事タイプ インタビュー