F1はマックス・フェルスタッペンを恐れるべきか?

スペインGPで驚きの初勝利を挙げたマックス・フェルスタッペン。彼が世界チャンピオンの資質を備えた本物の実力の持ち主だと思っていなかった人たちも、今は納得しているだろう。

 先週の日曜日、F1はその発端を目撃した。トップチームのマシンで初めてレースに出場した18歳のフェルスタッペンは、説得力のあるドライビングで優勝を勝ち獲った。

 だが、あの優勝をどのように理解したらいいのだろう? F1で彼を相手に闘うライバルたちは、マックス・フェルスタッペンを真剣に恐れるべきなのだろうか?

 まず最初に、彼がレッドブルのAチームに昇進した時点で、警戒アラームに気づくべきだった。2戦前に表彰台でフィニッシュしたドライバーを降格させるのは、いくらF1と言えども残酷なことだ。

 レッドブルは、もっともらしい理由を並べ立てた。その中でも最も筋が通っていると思えたのは、「また彼がレースに勝てるようになったら、我々と共に勝って欲しい」という説明だった。つまり簡単に言えば、優秀なドライバーを偉大なドライバーになる可能性を秘めた若手と交換したのだ。

初の大チャンスを手にして

”第3の目”でも持たない限り、今回の勝利を予測できた人はいなかっただろう。あの勝利の理由は明らかにこのふたつだ:メルセデスの内部抗争と、タイヤ戦略の賭が当たったことである。

 ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグが、1周目のターン4へ向かう途中で相討ちしなければ、未成年によるセンセーショナルな初勝利の記事なんて書くことにはならなかった。

 チームメイトのダニエル・リカルドが3ストップ戦略を選択して28周目に2回目のピットインをしなかったら、フェルスタッペンは上位3位にも入れなかったかもしれない。リカルドとセバスチャン・ベッテルが他から離れて一騎打ちになったのは、ベッテルがレッドブルに従うしかないと考えたからだ。しかし、結果的に彼らの選択は失敗。勝機が残されたのは、フェルスタッペンとキミ・ライコネンだけだった。

 フェルスタッペンがコースに残ったのは、彼が奇跡的な判断を下したわけではなく、ピットウォールのとっさの判断だった。しかし、ライコネンはレッドブルの新星からミスを誘い出すことができなかったのだ。

 この予期せぬ展開も、4年前のスペインGPでウイリアムズのパストール・マルドナドが見せた奇妙なレース(ポールポジションからスタートしたマルドナドは、決勝レースも逃げ切って初優勝した。しかし、その後のレースはふた桁着順が続いた……)にはかなわない。フェルスタッペンがフィニッシュラインを越えた瞬間も、私の中にはそんな気持ちがあった。

「氷の上を走っているみたいだった」

 32周を走り切ったミディアムタイヤでの最終ラップを、マックスはこのように表現した。難しい戦略を走りきると同時に、彼は出場選手の中でも最も経験豊富なドライバーを押さえ続けた。

 フェルスタッペンは、前例のない若さで、これをやってのけてしまった。FIAがスーパーライセンスの発給基準を改定したのは、彼が理由だ。「常に例外を許すわけにはいかない」というのが、FIAの言葉。しかし、こんな前例は他にはない。そして、この新ルールによって、今後、誰も繰り返すことはできなくなった。

フェルスタッペンの”短所”は?

 彼に欠点はあるのか? あまりないと言っていいだろう。チームの命令に対して反抗的だったり、初のモナコGPで怖い物知らずの走りを見せて大クラッシュし、肩をすくめて見せたことくらいだろうか。

 彼が、これまでに見せた全てがトップクラスである。カート、F3、F1の中段グループから、F1のトップグループへと、彼は一気に上り詰めた。しかも、安々とやってのけたのだ。今考えてみれば、こういう早熟な才能の持ち主に、簡単に初勝利を手に入れられるようなチャンスを、F1は与えてはいけなかったのだ。

 今後、困難が訪れた時に彼がどんなことを成し遂げるかは分からない。史上最年少チャンピオンのセバスチャン・ベッテルが初優勝した21歳の誕生日までに、何度ものグランプリ優勝を果たしてしまうかも分からない。

 18歳のグランプリウイナーは、今後史上最長のF1ドライバーとしてのキャリアを歩むことになるのかもしれない。

 だから、F1はマックス・フェルスタッペンを恐れるべきなのだ。

 

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この記事について
シリーズ F1
ドライバー Max Verstappen
チーム Red Bull Racing
記事タイプ コメンタリー