F1イギリスGP決勝:ハミルトンが連勝。完璧なレースで大観衆に応える
F1イギリスGPの決勝レースが行われ、メルセデスのルイス・ハミルトンが優勝。オーストリアに続き連勝を果たした。
写真:: XPB Images
レーススタート直前に降った豪雨
F1イギリスGP決勝レース。レーススタート30分前、各車がレコノサンスラップに出ていった際はまだドライコンディションだった。しかし、徐々に雲行きが怪しくなり、スタート20分前には強い雨が降り始める。
この雨は一瞬でコースを水浸しにし、ウエットレース宣言。セーフティカー先導でのスタートが決まる。
ただ、スタート時刻には雨が上がり、上空には青空が広がる。そんな複雑なコンディションで、SCが先導しスタートが切られた。ただ、コース上の水量はかなり多く、激しいウォータースクリーンが上がる。ただ、コンディションは徐々に良くなり、いくつかのチームは無線で「もうインターミディエイトでいける」と話し合う。
そんな中、5周を終えたところでセーフティカーがピットレーンに戻り、6周目からレースがスタートする。
レーススタート! 各車が早々にタイヤを交換
先頭のルイス・ハミルトン(メルセデス)はうまいスタートを決め、2番手ニコ・ロズベルグとの差を広げてメインストレートへ。以下、マックス・フェルスタッペン、ダニエル・リカルドと続いていく。
しかし、セーフティカーがピットに戻ったのとタイミングを同じくして、多くのマシンがピットイン。いきなりインターミディエイトに換える。この中にはフェラーリの2台、ウイリアムズのバルテリ・ボッタス、トロロッソのカルロス・サインツJr.、マクラーレンのフェルナンド・アロンソなども含まれている。
しかし、まだインターミディエイトに換えるには早すぎたのか、各車のペースは上がらない。それでも、続く周回にリカルド、フェリペ・マッサ(トロロッソ)、ジェンソン・バトン(マクラーレン)らもインターミディエイトに換える。
この直後、マノーのパスカル・ウェーレインがコースオフしバーチャル・セーフティカーが発令。これを好機と見て、まだ少し早すぎるとはいえ、上位3台もピットに入り、インターミディエイトにタイヤを交換する。メルセデスは人為的に差を広げ、ダブルストップを成功させている。これでほぼ全車がインターミディエイトを履いたことになる。
各車がインターミディエイトに換えた後は徐々に差が詰まる。特にフェルスタッペンの勢いがあり、ロズベルグに徐々に近づいていく。そして、16周目にフェルスタッペンがロズベルグを捉え、2番手に浮上。メルセデスの牙城を崩しにかかった。
フェラーリ、ギャンブルが功を奏さず
その直前の15周目終了時点で、コースのコンディションが好転したと見たセバスチャン・ベッテルが、全車の先陣を切ってドライタイヤに交換。翌周にはキミ・ライコネンもドライタイヤに履き替えている。ただ、インターミディエイトに交換した際もそうだったが、フェラーリのギャンブル的戦略はあまり功を奏さず、大きくポジションを上げるには至らなかった。
17周目を走りきったところで、ハミルトンとロズベルグもピットイン。ドライタイヤに換える。2番手を行くフェルスタッペンはピットインを1周遅らせ、18周終了時点でタイヤを交換。2位をキープすることに成功する。
コースはライン上はほとんど乾き、各車のペースはどんどん上がっている。しかし、1コーナだけは”川”がラインを横切っており、多くのマシンがこれに足を取られてコースオフ。ハミルトンやフェルスタッペンなど、上位を走るマシンも例外ではなかった。アロンソもこれに足をすくわれたひとりで、サンドトラップの向こうまで滑って行ってしまう。幸いクラッシュには至らなかったが、これでポジションを大きく落とす。
ピットインのタイミングを活かしてポジションを上げていたのは、フォースインディアのセルジオ・ペレスで、一時4番手まで上がった。しかし、路面が乾いてくるとレッドブルのペースには及ばず、リカルドにポジションを奪い返されてしまう。
ロズベルグが無線違反? 審議対象に
3番手に落ちていたロズベルグは、ドライタイヤを履いた後、フェルスタッペンとの差を徐々に詰めていき、31周目の時点でピタリと真後ろに着く。フェルスタッペンはなんとかこれに耐えていくが、38周目に力尽き、ロズベルグの先行を許してしまう。
2番手に上がったロズベルグは前が開け、力の限り飛ばし、ファステストラップを連発してハミルトンを追う。8秒以上あった差はみるみるうちに縮まっていき、45周目に入ったところでその差は6秒を切るところまで近付いた。
しかし46周目のセクター3で、ロズベルグのペースがガクリと落ちる。ロズベルグにギヤボックスの不具合が発生したのだ。慌てるロズベルグ。そして、ピット側も慌てたのが、エンジニアが設定変更の指示を無線で飛ばす。ただ、今季は”ドライバーの補助”となる無線交信は禁止されており、このやりとりはこれに抵触する可能性がある。結果、レース後に審議されることが決まった。
ロズベルグはなんとかペースを取り戻し、2番手の座をキープするも、トラブルが発生した瞬間にハミルトンが10秒以上まで差を広げた。
ハミルトン完勝。母国ファンが熱狂
ハミルトンはその後ペースをコントロール。52周を走りきり、トップでチェッカーを受けた。2位にはロズベルグが入ったが、前述の無線指示の問題でペナルティを課せられる可能性がある。3位にはフェルスタッペンが入り、4位はリカルドとなった。
フェラーリはライコネンが5位に入ったが、ベッテルはなかなかペースを上げられずに9位。途中、ウイリアムズのフェリペ・マッサを妨害したとして5秒加算ペナルティを受けたが、なんとか0.9秒差でダニール・クビアト(トロロッソ)を抑えた。マクラーレン・ホンダも、うまくレースを立ち回ることができず、ノーポイントに終わった。
ハミルトンはこれでオーストリアGPに続いて連勝。ここ5戦で4勝を果たし、ランキング首位を行くロズベルグとのポイント差を急激に縮めてきた。その差はわずかに4ポイント(ロズベルグ171、ハミルトン167)。審議の結果次第では、その差が更に変わる可能性もある。2016年のF1もシーズン半分が経過し、タイトル争いは混沌としてきた。
F1イギリスGP決勝結果
Cla | Driver | Chassis | Engine | Gap |
---|---|---|---|---|
1 | Lewis Hamilton | Mercedes | Mercedes | 1:34'55.831 |
2 | Nico Rosberg | Mercedes | Mercedes | 6.911 |
3 | Max Verstappen | Red Bull | TAG | 8.250 |
4 | Daniel Ricciardo | Red Bull | TAG | 26.211 |
5 | Kimi Raikkonen | Ferrari | Ferrari | 1'09.743 |
6 | Sergio Perez | Force India | Mercedes | 1'16.941 |
7 | Nico Hulkenberg | Force India | Mercedes | 1'17.712 |
8 | Carlos Sainz Jr. | Toro Rosso | Ferrari | 1'25.858 |
9 | Sebastian Vettel | Ferrari | Ferrari | 1'31.654 |
10 | Daniil Kvyat | Toro Rosso | Ferrari | 1'32.600 |
11 | Felipe Massa | Williams | Mercedes | 1 Lap |
12 | Jenson Button | McLaren | Honda | 1 Lap |
13 | Fernando Alonso | McLaren
|
Honda | 1 Lap |
14 | Valtteri Bottas | Williams | Mercedes | 1 Lap |
15 | Felipe Nasr | Sauber | Ferrari | 1 Lap |
16 | Esteban Gutierrez | Haas | Ferrari | 1 Lap |
17 | Kevin Magnussen | Renault | Renault | 1 Lap |
Jolyon Palmer | Renault | Renault | ||
Rio Haryanto | Manor | Mercedes | ||
Romain Grosjean | Haas | Ferrari | ||
Marcus Ericsson | Sauber | Ferrari | ||
Pascal Wehrlein | Manor | Mercedes |
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