F1モナコGP予選:リカルドが魂の走りで初PP。決勝SSスタート
F1モナコGP予選は、レッドブルのダニエル・リカルドが、ものすごいアタックを決め、自身初のポールポジションを獲得した。
Daniel Ricciardo, Red Bull Racing
Red Bull Content Pool
前戦優勝のフェルスタッペン、激しいクラッシュ!
モナコGP予選は、派手なトラブルで幕を開けた。ザウバーのフェリペ・ナッセは、トンネルを走行中にエンジンがブローアップ。激しく白煙を吹きながら、ヌーベルシケインを直進。タバココーナーの手前でマシンを止めてしまう。これにより赤旗が掲示され、セッションが中断となる。
マシンの撤去はすぐに済み、セッション再開。まずタイムを計測したのは、ハースのロマン・グロージャンである。ただこのグロージャンのタイムはそれほど速くなく、すぐさまルイス・ハミルトン(メルセデス)がトップタイムを記録。セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がこれに続き、このふたりの間にニコ・ロズベルグ(メルセデス)が割って入る。
マクラーレンのジェンソン・バトンがこれに次ぐ4番手となるが、タイム差は非常に大きく、この隙間にダニール・クビアト、カルロス・サインツJr.のトロロッソ2台が分け入ってくる。5グリッド降格が決まっているライコネンはクビアトらに及ばない。
コースインのタイミングを他とは少しずらしたのが、レッドブルの2台。ダニエル・リカルドは4番手タイムを記録するが、スペインGPで自身初優勝を果たしたマックス・フェルスタッペンが大ミス! プールサイドシケインふたつ目の右コーナーでイン側のウォールに接触してしまう。これでアームが折れてしまったため、フェルスタッペンはコントロールを完全に失い、ウォールに直進。激しくクラッシュしてしまう。これでこのセッション2回目の赤旗となってしまう。
フェルスタッペンは最初のアタック中に事故を起こしてしまったため、結局ノータイム。最後列からのスタートとなる。
フェルスタッペンの事故前の時点でフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)もノータイムだったが、セッション再開後のアタックで11番手を確保し、Q1突破を果たしている。チームメイトのジェンソン・バトンは13番手だった。
Q1で脱落したのは、マーカス・エリクソン(ザウバー)、ジョリオン・パーマー(ルノー)、マノーの2台そしてクラッシュしたフェルスタッペンと、エンジントラブルで止まったナッセということになった。
Q2トップはハミルトン、リカルドはSSタイヤで最速タイム
予選Q2でまず好タイムを出したのは、クビアト。しかしこれをベッテル、ハミルトン、ロズベルグらが上回っていく。この中でも特に素晴らしいタイムを出したのがハミルトンで、1分14秒056。これは、チームメイトのロズベルグに対して0.435秒もの差をつけるものである。
トップ3チームとトロロッソが7番手までを占める中、フォースインディアとマクラーレンによるQ3進出争い。ウイリアムズは苦しんでおり、ノックアウト圏内から抜け出すことができない。
すでにQ3進出が確定しているマシンも含め、全車が2回目のアタックへ。この中で特筆すべきはリカルドである。各車ウルトラソフトタイヤでアタックを行う中、リカルドだけはスーパーソフトタイヤで2回目のアタックへ。そして、このタイヤで自身のウルトラソフトタイヤでのタイムを上回ってみせたのだ。これで、Q3進出を決めたドライバーの中で唯一、デグラデーションの面で有利なスーパーソフトでのスタートを決定させた。これで、決勝戦略の面で非常に有利になったと言える。あとは、Q3の順位がどうなるか? ということだ。
結局このQ2でノックアウトされてしまったのは、ウイリアムズの2台、バトン、ハースの2台、ケビン・マグヌッセン(ルノー)である。アロンソはフォースインディアの2台に負けたものの、10番手で2戦連続のQ3進出を果たした。
またもハミルトンを襲う試練。リカルドの渾身ラップ
そして迎えたQ3。先頭でコースに飛び出していったのは、リカルドである。一方、ハミルトンにはまたもトラブル。コースに出ていく際にパワーがダウンしてしまい、ピットレーン出口手前でストップ。ヘルメットの前で両手を合わせ、落胆を示す。そして彼はピットに押し戻され、貴重な時間を失う。
リカルドは2周にわたって入念にタイヤを温め、そしてアタック。なんと1分13秒622という圧倒的なタイムを叩き出す。ベッテルとライコネンをもってしても、1秒遅れだ。ロズベルグもセクター1でリカルドを上回るペースでアタックを行うが、0.3秒弱届かない!
その間にハミルトンがコースに復帰。タイヤを温めてアタックに向かう。しかし、パワーユニットは本調子ではないのか、なかなかタイムが出ない。
ヒュルケンベルグが好アタックを見せる。ヒュルケンベルグは、ライコネンを追い抜いて4番手に上がる。
そして、生き返ったハミルトンがアタックを開始する。セクター1で全体のベスト、セクター2で自己ベストを叩き出してフィニッシュラインを目指すが……結局はロズベルグにも届かずに3番手止まり。ロズベルグもアタックを行うが、これもリカルドには及ばず。結局リカルドがトップタイムのままセッション終了、自身初のポールポジションを決めた。以下ロズベルグ、ハミルトン、ベッテル、ヒュルケンベルグ、ライコネン、サインツJr.、ペレス、クビアト、アロンソの順である。
前回のスペインGPで、非常に悔しい想いをしたリカルド。今度こそ、勝ちを手にすることができるか? スーパーソフトタイヤを履いてスタートできるという点も、前述の通り非常に有利なはずだ。またもトラブルに見舞われてしまったハミルトンが、その想いをレースにどうぶつけてくるのか? この点も実に興味深い。
モナコGP決勝は明日。すごいレースになりそうだ。ただ、明日の決勝レースは、雨の予報も出ている。素晴らしいレースに、文字通り”水を差す”ようなことにならなければいいが……。
■F1モナコGP 予選結果
Pos | Driver | Team | Q1 | Q2 | Q3 | Laps |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | Daniel Ricciardo | Red Bull Racing | 1:14.912 | 1:14.357 | 1:13.622 | 21 |
2 | Nico Rosberg | Mercedes | 1:14.873 | 1:14.043 | 1:13.791 | 24 |
3 | Lewis Hamilton | Mercedes | 1:14.826 | 1:14.056 | 1:13.942 | 21 |
4 | Sebastian Vettel | Ferrari | 1:14.610 | 1:14.318 | 1:14.552 | 23 |
5 | Nico Hulkenberg | Force India | 1:15.333 | 1:14.989 | 1:14.726 | 25 |
6 | Kimi Raikkonen | Ferrari | 1:15.499 | 1:14.789 | 1:14.732 | 25 |
7 | Carlos Sainz Jr. | Toro Rosso | 1:15.467 | 1:14.805 | 1:14.749 | 23 |
8 | Sergio Perez | Force India | 1:15.328 | 1:14.937 | 1:14.902 | 28 |
9 | Daniil Kvyat | Toro Rosso | 1:15.384 | 1:14.794 | 1:15.273 | 23 |
10 | Fernando Alonso | McLaren | 1:15.504 | 1:15.107 | 1:15.363 | 26 |
11 | Valtteri Bottas | Williams | 1:15.521 | 1:15.273 | 15 | |
12 | Esteban Gutierrez | Haas F1 Team | 1:15.592 | 1:15.293 | 22 | |
13 | Jenson Button | McLaren | 1:15.554 | 1:15.352 | 15 | |
14 | Felipe Massa | Williams | 1:15.710 | 1:15.385 | 19 | |
15 | Romain Grosjean | Haas F1 Team | 1:15.465 | 1:15.571 | 22 | |
16 | Kevin Magnussen | Renault F1 Team | 1:16.253 | 1:16.058 | 22 | |
17 | Marcus Ericsson | Sauber | 1:16.299 | 12 | ||
18 | Jolyon Palmer | Renault F1 Team | 1:16.586 | 12 | ||
19 | Rio Haryanto | Manor Racing | 1:17.295 | 12 | ||
20 | Pascal Wehrlein | Manor Racing | 1:17.452 | 12 | ||
21 | Max Verstappen | Red Bull Racing | 1:22.467 | 3 | ||
22 | Felipe Nasr | Sauber | 1 |
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