”同士討ち”ハミルトンとロズベルグの見解
スペインGPの1周目に起きた、メルセデス同士のクラッシュ。その原因については、当事者の主張が食い違う。ふたりのドライバーの主張を聞いてみよう。
Lewis Hamilton, Mercedes AMG F1 W07 Hybrid on the formation lap
XPB Images
ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグのスタート直後に発生した同士討ちのおかげで、メルセデスは2011年以来初めての全滅となった。
スチュワードは「レーシングインシデント」という判断を下し、メルセデスの代表トト・ウォルフは、どちらか片方を責めるのは間違いだと述べた。このことからも分かる通り、両ドライバーが責任を背負い込むべきでないのは明らかだ。スチュワードの裁定からすぐに、両ドライバーは彼等の視点から事故を説明するためにメディアと顔を合わせた。
ハミルトンの見解「追いつけそうだから行った」
「差を縮めようとしたんだ。ワンツーフィニッシュで獲得できるかもしれなかった43ポイントをクラッシュで失った事で、チーム全体に失望感が漂っている。今はそれを乗り切ることしか考えられない」
「チームには誰よりも先に謝罪した。僕が今日のレースを行えるように、チーム全員が行ってくれたすべてのハードワークを考えると、マシンが止まったときに一番勇気のいることだった」
「彼等を失望させたくなかったが……僕はチーム全員のために長い間レースをしてきて、このような事故は滅多に起こさなかったのだけれど、とにかく全員にとってとても辛い経験だった。ただひとつ言える事は、僕らは固く団結しており、もっと強くなって戻って来る」
しかし、彼は接触事故に関して何も間違った事をしたわけではないと断固として主張した。ロズベルグが間違ったエンジンモードにあったため、パワーが低下したので、追いつくチャンスが目の前にあり、彼は直感に従っただけだと言う。
「扉がまだ閉まりきっていなかったから、芝生を横切っただけだ」彼は言った。「レーシングドライバーならそうするように、追いつけそうだったから行った。それだけだ」
クラッシュが起きた瞬間を振り返ってハミルトンは説明した。
「基本的に良いスタートが切れた。ターン1でスリップストリームに入られてしまったが、ターン3ではニコよりもかなり速かった」
「ニコは間違ったエンジンモードのせいで、パワーが低下してしまった。でも僕は問題なかったから、適正なスピードで彼に追いついた」
「彼がマシンの位置取りをしたとき、レーシングラインの右側には1台分のスペースがあった。彼との差は急激に縮まってしまったから、あまりスペースのない左側に行くか、右側に行くか決断しなければならなかった」
「誰だってインサイドのラインはいつも狙っているし、そこにアウトサイドよりもスペースがあったから行ったんだ。そこに入った時には、ウィングとタイヤは白線の内側に収まっていた。そして急激に狭くなったんだ」
「衝突を避けるために急いで芝生に乗り上げたけれど……とにかく一瞬の出来事だった」
ロズベルグとの差が縮まるスピードに驚いたかと尋ねたところ、ハミルトンはこう答えた。
「驚きはしなかった。パワー低下のライトが見えたけど、すぐに消えたから何が起きてるかなんて、深くは考えなかった」
「けれど、コーナーに向けて、僕の方が良い走りをしていた。彼はパワーが出なくて……その後、すぐに彼はスイッチを切り替えたみたいだけど、100mは反応しないから、すぐに変化は見られなかったはずだ」
ロズベルグの見解「スペースはなかった」
「スペースが無かった事を彼は理解するべきだ」
ロズベルグは、エンジンモードが適切ではなかったことが事故を発生させる要因になったことは十分承知した上で、ポジションを守るために取った行動は間違えていなかったと主張した。
「素晴らしいスタートを切れた。第1コーナーでリードを奪った時には本当に興奮して、このレースは貰ったと思った」
「ターン3を抜ける時に、エンジンパワーが低下して、ルイスが近づいて来くるのが見えた。後から分かった事だが、自分は間違ったエンジンモードに入っていたみたいだ」
「出来るだけ早くスペースを閉じたんだ。そこにスペースが無い事を彼に対して明確にするために、かなり激しくインサイドを取りにいった。それにも関わらず、彼がインに入って来たのはびっくりした。そして僕たちは身動きが取れなくなったのさ」
ロズベルグがエンジンモードの解決に気を取られていたせいで、ハミルトンが近づいている事に気づかなかったのではないか、と言う憶測が飛び交っている事について、彼は否定した。
「エンジンモードの解決は、ただボタンを押すだけなんだ。普段いつも使っているオーバーテイクボタンだから、見なくてもどこにあるかは分かっているし、それを実際に押した。でも、僕はルイスとのバトルに完全に集中していた」
彼がハミルトンの行く手を塞いだ方法は「非情だ」と言ういかなる議論も彼ははねのけた。
「僕の動きに対する考え方はこうだ。僕がインサイドをカバーすると言う意志表示をルイスに示すために、できるだけ早く、そしてとても明確に動いたんだ。通常のレーシングドライバーなら、誰だってそうするはずだ」
「彼がオーバーテイクしないようにインを塞いだ。これが僕が行った事だ」
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