”技術”が進展したシーズン。その中で光ったドライバーたち:FE第2シーズンレビュー

技術面での進展が多かったシーズン2。しかしその中でも、ドライバーたちの才能が光った

 2015年10月から年をまたいで行われたフォーミュラE(以下FE)のシーズン2は、7月第1週にダブルヘッダーで行われたロンドンe.Prixで幕を閉じた。2代目のチャンピオンには、シーズン1のタイトルに僅か1ポイント差で届かなかったルノー・e.ダムスのセバスチャン・ブエミが輝いた。

バッテリーの自由化は将来へ先送り

 FEのシーズン2を振り返ると、様々な意味で大きな進展のあったシーズンだったと言える。これは主宰団体のフォーミュラEホールディングス(FEH)が臨機応変にルールやレギュレーションに対応した結果だろう。FEが新シーズンとして開幕する前、FEHは早期の発展を願ってルールやレギュレーションの改善を視野に入れてきた。しかし、シーズン1を経て、計画の見直しを行った。シャシーやバッテリー、あるいはモーターやギヤボックスの自由化を、一部に於いて先延ばししたのだ。チームやマニュファクチャラーの声を聞いての上での決定だった。

 特筆すべきはバッテリーの自由化を先延ばししたことだ。当初はバッテリーの自由化をシーズン2から行う予定だったが、FEに使用する高性能大容量バッテリーの開発は簡単ではないことが判明、自由化を先送りしたのだ。バッテリーはFEの要の技術だ。バッテリーの寿命次第でレースの時間や距離が決まり、クルマの乗り換えも不要になる。

 シャシーの自由化は、理想的にはF1のようにチームがマニュファクチャラーとなって開発・製造を行うことを前提に決められていたことだ。しかし、F1チームと比べて遙かに経費の少ないFEチームにとれば無理な注文で、シャシーの変更はシーズン5以降になった。それも自由化ではなく、現行のシャシー同様にワンメイクになる。日本から童夢が入札に応募している。

技術力に長けたルノー&アウディ

 予定通りシーズン2から自由化になったものもある。モーターとギヤボックスだ。これは技術的に十分熟成された製品が簡単に手に入るからだ。

 例えばモーター。シーズン1はマクラーレン製のワンメイクだったものが、シーズン2は自由になった。その結果、ルノーやシェフラーといった自動車メーカーやパーツメーカーが開発したモーターが登場、性能を競った。

 搭載モーターの数も2基を上限に自由に設定でき、チームによって1個、2個と別れた。レース用ギヤボックスはヒューランドかXトラックしか選択肢がないが、ほとんどのチームがヒューランドを選択。差はギヤの数で、1速から5速までチームによって異なった。モーターの数とギヤの段数の差で、トルク重視、スピード重視と差がついた。

 こうして始まったシーズン2は、やはり独自の技術開発力に長けたチームが圧倒的に強かった。ルノーに全面的技術支援を受けるルノー・e.ダムスは、モーターの性能だけではなく制御システムに関しても一歩先を走っており、パワーコントロールなどでは非常に有利なポジションにいた。このルノー・e.ダムスを駆るセバスチャン・ブエミは開幕戦の北京ePrixでポールポジション、優勝、最速ラップと全てでトップをとり30点満点を獲得した初めてのドライバーになった。

ブエミvsディ・グラッシのタイトル争い

 ルノー・e.ダムスとブエミの活躍はシーズン最後まで続くが、ブエミは時にミスをしてせっかくの予選、レースを落とすことがあった。特に予選でミスを犯してそれがレースの成績に響くこともあった。10戦中3勝を挙げた結果、念願のチャンピオンに輝くのだが、彼の行く手を阻んだのはアプト・シェフラー・アウディ・スポートのルーカス・ディ・グラッシ。彼は実際には4勝を挙げたが、第5戦では車両重量が規定を1.8Kg下回っており失格。結局ブエミと同じ3勝だった。

 このふたりが153ポイントの同点で最終戦ロンドンePrixに臨み、激しいでタイトル争いを展開した。しかし、ディ・グラッシがブエミに突っ込んで両者レースは完走ならず。しかし、ファステストラップを取ったブエミが2ポイント上回ってチャンピオンに輝いた。禍根を残すシーズン終焉になったが、盛り上がりは最高だった。ブエミはシーズン1で僅か1ポイント差でタイトルを逃しており、今回は念願が叶った。

 ブエミとディ・グラッシ以外で活躍したドライバーに、DSヴァージンのサム・バードがいた。小柄なイギリス人は存在感すら希薄だが、実力派ドライバーで玄人に受ける走りをする。勝利数こそ1勝だが、選手権4位に付けた。このバードを最終2戦で逆転したのがブエミのチームメイトであるニコラ・プロスト。シーズン途中は最高位3位で鳴かず飛ばず。ところが最終戦ロンドンのダブルヘッダーを連勝で制してバードを蹴散らした。プロスト115点、バード88点。続くのがドラゴン・レーシングのジェローム・ダンブロジオ。彼は第5戦を勝利して83点で選手権5位だった。彼は好不調の波が激しい。コンスタントなレース運びができればさらに上位を狙えるだろう。

 他にもステファン・サラザン、ジャン-エリック・ベルニュ、ニック・ハイドフェルド、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ、ネルソン・ピケJr.……といった実力派ドライバーが揃っているFE。シーズン3も激しい戦いが展開されるはずだ。

取材・文/赤井邦彦

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この記事について
シリーズ フォーミュラE
記事タイプ 速報ニュース