【FE】バッテリー”熱問題”への対処が、フォーミュラE制覇の近道

フォーミュラEのシーズン3では、増加した回生エネルギーをいかにコントロールするかが、勝敗を分ける肝となっている。

 セバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)が勝利を収めたフォーミュラE第3シーズン開幕戦の香港ePrix。このレースの後半、多くのマシンが熱の急上昇に苦しんでいた。

「今年は、レース中の熱が限界に近い。バッテリーとその周辺の温度が高くなりすぎるため、必要なパワーを出したり、回生ブレーキを使いたいだけ使うことができないんだ」

 アプト・シェフラー・アウディ・スポートのルーカス・ディ・グラッシは、motorsport.comに対してそう語った。

「気温、冷却、そしてバッテリーセルの作動など、関連する要因がたくさんあるんだ。僕の気持ちの中では、このようなシナリオは、フォーミュラEではあってはならないことだ」

 一部のドライバーは、フォーミュラEのシーズン2と3の特徴ともなっている、長くなったレースに懸念を表明している。そして今シーズンからは、エネルギー回生のエネルギーが100kWから150kWに増強されている。この回生エネルギー量の増加がバッテリーに負荷をかけており、これがバッテリーの発熱を促進する。この問題を解決するために、チームやドライバーは、効率的なエネルギーの利用方法を考えねばならない。

 気温も、特に回生エネルギーを充電する際のバッテリー温度変化の、大きな要素のひとつになる。ただ、マラケシュの長期的な天気予報によれば最高でも25度までしか上がらないとみられており、32度に達した香港に比べれば、パワートレインにとっては使いやすいコンディションとなる。

 またマラケシュのレースは、香港よりも若干レース距離が長くエネルギーを節約する必要性にせまられるが、これは同時にバッテリーを酷使しないということも意味することになるため、発熱のリスクは低減されるものとみられる。

「僕らは、バッテリーに関連する温度の問題を持つべきではない。なぜなら、クルマの違いを生み出すのは、バッテリーをどううまく使うかということがすべてだからだ」

 ディ・グラッシはそう意見を述べた。

「今年は回生エネルギーの量が増えている。そのため、去年までに比べてこの手の問題が多くなってきているんだ」

シーズン4では、バッテリーの熱問題がより重要になる

 バッテリーの熱問題は、暑い気候に見舞われたレースを中心に、シーズン1から主要なトラブルのひとつになっている。

「レース中は常にそれを管理しておく必要がある。多くの場合、それが素晴らしい結果(もしくは最悪の結果)の原因になるんだ。昨年のブエノスアイレスの例を出せば、(ジャン-エリック)ベルニュは、最後の数周で2番手から6番手まで落ちてしまった」

 アンドレッティのテクニカルチーフであるロジャー・グリフィスは、motorsport.comに対してそう語った。

「バッテリーの熱の問題がなくなれば、チャレンジが容易になる。フォーミュラEは電気自動車の開発であり、すべてのマシンがバッテリーを搭載している。そのため、我々はそれに関連する温度の問題に対処する必要がある」

 バッテリーは2018年まで現在の物を使うことになっている。そしてバッテリーの冷却(ラジエター、フルード、空力等)についても、変更することができない。そのため、ソフトウエアで対策を行う必要がある。

「結果として、バッテリーはチームによってコントロールすることができる。どのようにエネルギーを使い、そしていつ、どこで回生機能を使用するかということを選択することができる」

「ある時点で、バッテリーの競争が解禁される時が来る。そして我々は今、温度の管理について将来役立てることができるように、学んでいる段階だ」

 そうグリフィスは語った。

「私は、バッテリーに違いがあるとは思わない。バッテリーの温度は、数値でモデル化できる。すべてのバッテリーは同じモデルだし、フィールド全体に同等の性能を提供している」

「どうやってバッテリーの性能が落ちるのか、そしてその時にチームは回生をどのくらい、いつ、ドライバーがどう安定させるのか。もしパワートレインのパッケージが効率的ではなかった場合、多くのエネルギーを消費してしまうだけではなく、同時にバッテリーの発熱量も多くなってしまう可能性がある」

「追加の回生をいかに行うかは、ある程度レースの結果に影響してくるだろうと私は確信している。しかし、良いチームはそれを行うことができるだろうが、そうではないチームはそんなことできない」

 そうグリフィスは付け加えた。

 シーズン1以来、いくつかのチームはバッテリー温度のモデリング/予測集計表を用意し、使用している。そしてレース中に最大温度を可視化するために、毎周ごとにチームが所持するすべての温度データに基づき、内容を更新している。

 ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングが設計し作り上げたバッテリーは、温度が高すぎる時、パワーを追加で出そうとしても温度の限界が存在する。そして来年秋に開幕するシーズン4からは、レースでは180kW、予選では220kWまで出力が増やされ、回生も200kWまで引き上げられる予定となっている。

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この記事について
シリーズ フォーミュラE
記事タイプ 分析