フォーミュラE2代目王者ブエミ「こういう勝ち方は悲しくて仕方がない」

フォーミュラE第2シーズンのチャンピオンに輝いたブエミ。しかし、タイトルを争ったディ・グラッシの行動に対し、怒りが収まらなかった。

 シーズン2の最終戦ロンドンe.Prix第2レースは、苦い終焉を迎えた。この最終戦はルーカス・ディ・グラッシ(アプト・シェフラー・アウディ・スポート)かセバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)のどちらかにチャンピオンが決まる大事な1戦。両者はポイント153点と全くの同点で最終戦に臨んだ。

 レースはポールポジションのブエミがリードして始まったが、3番手からスタートしたディ・グラッシが1周目第3コーナーで予選2位のニコラス・プロスト(ルノー・e.ダムス)を抜いた瞬間、前を走るブエミに激しく追突したのだ。

「この追突事故の原因は早すぎるブエミのブレーキ」とディ・グラッシが非難すると、ブエミは待ってましたとばかりにディ・グラッシを口擊した。

「フォーメーションラップもないフォーミュラEでは、ブレーキは他のレースと違って当たり前だろ。ブレーキもタイヤも冷えている。そのことを考慮しない奴は馬鹿だ」

「正直いってぶつかってきた奴は軽蔑に値する。判断はスチュワードに任せよう。ただ、僕は良い仕事はしたと思う。そのことに関しては幸せだ」

「それにしても奴の言うことはとても信用ならない。最初は嘘をついていて、次には誰か他の人間を責めるようなミスを犯したんだ」

 事故の後、ふたりはピットに戻って2台目のクルマに乗り換えた。しかし、レースで10位以内に入る希望が断たれた今、ふたりのどちらかがチャンピオンになるにはファステストラップを叩き出して2ポイントを獲得しなければならなくなった。

 まずディ・グラッシが最速タイムを記録したのだが、その後でブエミをブロック、ライバルのタイム向上を阻止した。

「クルマを乗り換えた後、僕は我々のクルマが速いことを知っていたので大丈夫だと思っていたんだ。すると、とんでもないことが起こった。彼が出て行って速いタイムを出すと、速度を落として僕を待っているんだ。それが一度や二度じゃない」

「最後にベストラップを叩き出すまでにバッテリーの60%を使ってしまった。信じられないよ。前に邪魔がいなければ速く走ることが出来たけど、バッテリーがどんどん減っていくんだからビクビクものだった」

 最終的にファステストラップを叩き出し、ブエミは晴れてチャンピオンに輝いた。しかし、怒りは収まらなかった。

「悲しくて仕方ない。まず、こういう勝ち方をしたこと。次にディ・グラッシがやったこと。僕はこれまで彼のことを尊敬していた。彼の運転は素晴らしかったんだ。彼はこの週末、クルマが悪いってずっと言っていた。彼のような素晴らしいドライバーが僕のクルマに乗ると、0.5秒は速いはずだ」

「スタートでは彼はプロストとフェンスの間にいた。ブレーキングの時には彼にはふたつの選択肢があったと思う。右によけるか僕のクルマに突っ込んでくるか。彼は後者を選んだわけだ。でも、ちょっと強すぎたね。おかげでふたりとも飛び出してしまった」

「彼には、そうするしかなかったんだと思うと、寂しいね。まともに戦っていたらレースにならない差。僕らのクルマはそれほど完璧だった」

 ブエミは1週間前のル・マン24時間レースの勝利を、ゴールまで1周を残して失っている。その時の悔しさ、悲しさといったらなかった。もし今週末も不本意な形でタイトルを逃していたら、どこまで落ち込んでいたか分からない。

「ル・マンに続いてここでも駄目だったら、もう立ち直れないかもしれないと思った。しかし、ここでは辛い思いをしながらもタイトルを手にすることが出来た。ル・マンの結果から100%復活したかって? いや、まだだよ。でも、ここでタイトルを手にすることが出来て、女神が少しは微笑んでくれたのかなと思う。僕に出来ることは、これからも止まることなく突き進むことだ」

取材・文:赤井邦彦

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この記事について
シリーズ フォーミュラE
イベント名 ロンドンePrix
サブイベント 日曜日 決勝レース
サーキット ロンドン市街地
ドライバー Sébastien Buemi
チーム DAMS
記事タイプ 速報ニュース