【F4】マルタ・ガルシアは最もF1に近い女性ドライバーか?

カートで成功を収め、今年はF4にも出場したマルタ・ガルシアに、これまでの経験や、F1への夢を尋ねた。

 モータースポーツ界において、最近はより多くの女性たちがF1への夢を語り始めたようだ……しかし、本当のスターが躍進するまで、まだ長くかかりそうだ。

 ふたりの女性ドライバー、オランダ人のベイスク・フィッセールとコロンビア人のタチアナ・カルデロンは、それぞれフォーミュラ3.5とGP3で着実に結果を残しているが、両者とも、これまで一貫して勝利を争うまでには至っていない。

 昨年、ドイツ人のソフィア・フルーシュは、ジネッタ・ジュニア・チャンピンシップとADAC フォーミュラ4に参戦していた。しかし彼女は、フォーミュラ4では経験あるドライバーたちに対し、テストでの走行距離が短かったため、苦戦を強いられた。

 今年は、F1へ向けて前途有望な16歳のスペイン人ドライバー、マルタ・ガルシアが現れた。彼女はここ数年、カートでトップクラスの成績を納めてきている。

 彼女は昨年、カートのCIK-FIA アカデミーシリーズで勝者となり、イタリアのトロフェオ・デッレ・インダストリー(Trofeo delle Industrie)のKFJクラスでも勝利を挙げた。なおこのカテゴリーでは、F1ドライバーのルイス・ハミルトン(メルセデス)やダニール・クビアト(トロロッソ)、フェラーリのリザーブドライバー就任が決まったアントニオ・ジョビナッツィ、DTMチャンピオンのマルコ・ウィットマンなども勝利を挙げている。

カートからフォーミュラへ

 今シーズンは、CIK-FIAのヨーロッパ選手権へステップアップした。ヘンク(ベルギー)で行われた最終戦では、タイトルを狙える可能性があったものの、彼女のカートにはいくつか問題があり、最終的には4位でシーズンを終えた。

 当初の計画では、カートに参戦しつつ、彼女はナバラ(スペイン)でF4プレシーズンテストに参加し、開幕戦からスペインF4に出場する予定だったが、最終的に9月24-25日に開催された第4大会バレンシアラウンドでF4にデビューすることになった。

「今シーズンは、序盤からF4に出場できると考えていました」とガルシアは説明した。

「でもスペインのチャンピオンシップは新しい選手権だったので、競争力のあるものなのかどうか私たちにはわかりませんでした。でもADACやイタリアのF4に出る資金もなかったのです」

「(カートからフォーミュラへの変更は)とても難しかったです。このふたつにはとても大きな違いがありました。コイラネンGP(Koiranen GP)で何度かテストをしましたが、回数を多くこなした訳ではありません。それに初めてレースをした時点で、私は3カ月もマシンに乗っていなかったのです」

「でも最後の4レースはうまくやれたと思います。今では当時よりも経験があるし、来年はもっとやれると思っています」

 結果を見ても、彼女の成績は特別なものではなかった。11レース(バレンシア3レース、カタルニア2レース、ハラマ3レース、ヘレス3レース)に出場し、F4の年間ランキング8位につけた。自己ベストは5位で、その5位に5回入賞している。それでも彼女たちはこの結果から、ガリシアが2017年にこのシリーズか、もしくは別のシリーズでF4にフル参戦を果たす際の、土台となるものを得た。

「来季もF4でレースをするのが理想です。でもそれは資金次第だと思います」と彼女は話した。

「もし十分な資金を得ることができたら、私たちはフランスのシリーズか、スペインか、SMP(北米)でレースをするかもしれません」

「ADACかイタリアでレースをするための資金を得られるとは思っていません。そういったチームでレースをするにはお金がかかりすぎます。でも(スペインやSMPで活動している)コイラネンは同じレベルのシリーズであり、コストの面でも助けになると思います」

「目標はF1に乗って勝つこと」

 ガルシアは、女性F1ドライバーとしてレースに出たいという野望を持っている。そしてすでに、フェラーリが彼女に興味を示している。昨年の冬には、フェラーリは彼女をマラネロに招待し、そこで数名の若手ドライバーたちと3日間のプログラムを体験させた。

 ガルシアはマラネロでのプログラムについて、「初日はフィジカルワークをこなしました」と話した。

「2日目はシミュレーターに乗りましたが、とても良いものでした。他にも、私たちの反応を試すために、いくつかのゲームもしました」

「3日目はお昼からトラックに出ました。ドライバーたちは、半日間トラックに出ていました。すでにシミュレーターでトラックのことを学んでいたので、4セッションをこなすことができました。本当に良い経験になりました」

「もちろん、目標はF1に乗って勝つことです」とガルシアは答えたが、F1にたどり着くまでに”4年”はかかると考えている。

 尊敬しているドライバーはいるのか、という質問にはこう答えた。

「マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がF1でベストなドライバーだとだと思います。彼のドライビングスタイルが好きです」

「最初にカートを始めた時、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)が私のヒーローでした。もちろん今でも彼は素晴らしいドライバーですが、今はマクラーレンでそれほどうまくやれていないと思います」

「今も彼のことはすごいと思いますが、マックスの方がそうだと思います。他にも、ルイス・ハミルトンやダニカ・パトリック(NASCARドライバー)も好きです。ダニカはとても良いドライバーです」

ヨーロッパの”ダニカ・パトリック”は?

 ガルシアについては、10年前に前出のダニカ・パトリックが初めてインディ500に出たときよりも、あらゆる点で大きな驚きがある。しかしヨーロッパではまだ、パトリックと同じレベルであり、トップクラスのカテゴリーでレギュラードライバーを務める女性を輩出することはできていないようだ。

 スイス人のシモーナ・デ・シルベストロは、おそらくその立場に最も近づいた人物だが、ザウバーF1チームで時間を無駄にしてしまった(後援者と決別し、ザウバーとの関係も終了した)ことで、フォーミュラEにフル参戦することもできなかった。そのため彼女は、自身の成功を取り戻すため、2017年からはオーストラリアのスーパーカーシリーズに戦いの場を移すことになる。

 ガルシアはそういった流れに逆らうことができるだろうか? FIAの役員を務めるミシェル・ムートンは、ガルシアにはそれが可能だと考えている。ムートンには先日、現在の女性ドライバーの中で、ガルシアが最も才能あるドライバーなのか、ということを尋ねた。

「マルタはもっと高いレベルに行けるだろうということに、私は自信を持っています」とムートンは答えた。

「彼女はカートで素晴らしい成功を収めてきましたし、まだとても若いので、見込みはあると思います」

 彼女のコメントをガルシアに伝えると、ガルシアはこう答えた。

「彼女がそう話してくれてよかったです。とても励みになります。今年、彼女は大いに私たちを助けてくれましたし、彼女がそう言ってくれることはとても良いことです」

 カートで実力を示すことができれば、それは”プロのドライバーとして長くキャリアを続けることができるチャンスを持っているかもしれない”と認められると思うが、そういう意味では、ガルシアはここ最近で、最も前途有望な女性ドライバーであると言えるだろう。

 しかし、彼女がF1にたどり着くまでのステップアップを果たせるかどうかは、また別の問題である。そして、男性ドライバーと同じく、資金問題に左右されるだろう。

 だがもう一度言うと、ガルシアのように非常にポテンシャルのあるドライバーが成功できなかったら、今後成功できる女性ドライバーがいるのかと、不思議に思うことだろう。

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シリーズ Formula 4
ドライバー Marta Garcia
記事タイプ インタビュー