ホンダの“ドゥカティ化”を目指すロレンソ、鍵はブレーキングにアリ?
ホンダへ移籍したホルヘ・ロレンソは、RC213Vのブレーキングの改善を目指して、ドゥカティ時代に使用していた要素を導入しているようだ。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
第6戦イタリアGPの後、レプソル・ホンダのホルヘ・ロレンソは日本のファクトリーでRC213Vのエルゴノミクス(人間工学)面の改善が必要だと考え、渡日。ただ、ロレンソはムジェロでテレメトリー(自身と他のホンダライダー)を学習し、適応速度を上げる試みを行っていたと認めた。
またロレンソは、ブレーキングが最も重要な部分であり、かつ改善の余地が大きい場所だと繰り返し語っている。
「このバイクから最大限のものを引き出すために分析をしている。ブレーキング下ではドゥカティとほとんど正反対なんだ」とロレンソは言う。
「まだコーナー進入の部分を僕のライディングスタイルに修正する必要がある」
チームメイトのマルク・マルケスの素晴らしい結果を考えれば、最も賢明な戦略はマルケスのブレーキングをコピーすることだと考えられるかもしれない。だが、現チャンピオンであるマルケスのDNAと、ロレンソのものは全くと言っていい程似ていない。そのため、ロレンソは我が道を進んでいるのだ。
こうしたロレンソの進み方は、1年前にドゥカティで勝利の道に戻ってくることを助けたものでもある。ひとつの例として、デスモセディチを自由に操る助けとなったタンクカバーがある。ロレンソはホンダに対しても同様の物の作成を依頼していた。
「ホルヘはホンダのマシンでのブレーキング時にフィーリングがしっくり来なかったようだ。そのため、我々はドゥカティと実施していた開発の全てを(ホルヘのマシンに)適応した。それは、ホンダが使用していないものだったし、例えばマルクは使うのを好んでいなかった」
ブレンボのチーフエンジニアであるアンドレア・ペレグリーニはmotorsport.comに対し、そう説明した。
Brake from the bike of Jorge Lorenzo, Repsol Honda Team
Photo by: Gold and Goose / LAT Images
ロレンソのマシンの細部をよく見ると、マルケスのマシンで使用されていない要素が見つけられる。例えば、ロレンソはアンチドラッグシステム(※キャリパーが意図せずブレーキディスクに接触することを防ぐ仕組み)を使用している。
そして第5戦フランスGPからは、ロレンソは“アンチノックバック”バルブの使用も始めた。これは基本的に、ライダーが何か危険な状況につながる可能性がある時にブレーキレバーを引いた際、マシンの動きによってブレーキが一時的に働かなくなることを防ぐ物だ。ロレンソはこのパーツをホンダ勢で唯一使用している。
ロレンソによるブレーキングの“ドゥカティ化”という意向があるが、それでもデザインの面からは破るのが難しい制限もある。それはブレーキディスクだ。
「ホンダはほとんどのサーキット(オーストリア、もてぎ、タイを除く)でフロントのブレーキディスクに320mmの物を使っている。他のメーカーが340mmの物を搭載している中で唯一のメーカーだ」とペレグリーニは付け加えている。
ホンダライダーのブレーキングをみると、ライディングスタイルの違いによって、データでもその相違が明白になっている。ロレンソの強みは常にコーナリングスピードであったが、マルケスはコーナーの中まで深く入り、サッとマシンをターンさせることを好んでいるのだ。
「私が言えることは、両者は共に最初はキツくブレーキをかけているが、その後マルケスは徐々にブレーキレバーを離していくのに対して、ロレンソはより速く、即座に離しているということだね」とペレグリーニは両者の違いを締めくくった。
Jorge Lorenzo, Repsol Honda Team, Marc Marquez, Repsol Honda Team
Photo by: Gold and Goose / LAT Images
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