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スーパーフォーミュラ関係者に訊く”ストフェル・バンドーン”

来季のF1昇格が規定路線と言われるバンドーン。今回PPを獲得したバンドーンの凄さとは何なのか? 富士スピードウェイで訊いた

ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
スタートでフロントをロックさせるバンドーン
ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ストフェル・バンドーンと村岡潔監督(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
表彰台、山本尚貴(TEAM 無限)、国本雄資(P.MU / CERUMO · INGING)、ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ストフェル・バンドーン、DOCOMO TEAM DANDELION RACING
Stoffel Vandoorne, McLaren MP4-31 Test and Reserve Driver
Stoffel Vandoorne, McLaren MP4-31 Test and Reserve Driver
(L to R): Jenson Button, McLaren with Stoffel Vandoorne, McLaren Test and Reserve Driver, and Fernando Alonso, McLaren
Jenson Button, McLaren, runs the circuit with Stoffel Vandoorne, McLaren Test and Reserve Driver
Fernando Alonso, McLaren, Stoffel Vandoorne, third driver, McLaren F1 Team
Stoffel Vandoorne, McLaren MP4-31 Test and Reserve Driver
Stoffel Vandoorne, McLaren MP4-31 Test and Reserve Driver
Stoffel Vandoorne, third driver, McLaren F1 Team and Jenson Button, McLaren Honda
Stoffel Vandoorne, McLaren MP4-31 and Sergio Perez, Sahara Force India F1 VJM09
Stoffel Vandoorne, McLaren

 スーパーフォーミュラ第3戦富士の予選で、参戦3戦目にして初のポールポジションを獲得したストフェル・バンドーン。初挑戦の富士、そして路面が徐々に乾いていくという難しいコンディションの中、最適なラインを見極めてのトップタイムだった。

 すでにF1デビュー(今年のバーレーンGP)も果たしているバンドーン。その凄さはどこにあるのだろうか? バンドーンが今年在籍する、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの村岡潔監督は、次のように証言する。

「ドライビングは当然速いです。英才教育をされたのか、元々才能があったのかはわかりませんが、過去のリザルトを見ても、どんなカテゴリーでも1年目にはランキング2位か3位になり、次の年にチャンピオンになっています。無難に行けば、(今年も)そういう能力を発揮して、来年F1ドライバーになるんでしょう。それくらいのポテンシャルを見せてますよね」

”F1ドライバー”の人間性

 ただ村岡監督は、ドライビング以外のところにも、バンドーンの完成度を感じると語る。

「人間性のすべてに、『F1ドライバーというのはこういうことなんだな』というのを身に沁みて感じています」

「例えば、F1をスポンサードする企業のVIPがいらっしゃっても、きちっとした対応をすることができる。それができないと、F1ドライバーにはなれないんでしょう」

 F1ドライバーの仕事は、走るだけではない。スポンサーのイベントに出席したり、サーキットに訪れる関係者をもてなすこと、これもF1ドライバーに求められる重要な役割である。バンドーンはまだF1フル参戦を果たしていないが、そういう役目をすでに認識し、それに応じる術を身につけている、そう村岡監督は断言する。

 バンドーンは、今年限りでスーパーフォーミュラへの挑戦を終え、来季はF1にステップアップするのが規定路線と言われている。しかしそうなった場合、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGとしてはバンドーンを1年限りで手放すということになるわけだが、それについて村岡監督は「来年いなくなるのは、全然残念じゃない」と語る。

「そういうドライバーがウチに乗ったということが、何よりも光栄ですよね。F1というヒエラルキーのトップを目指すドライバーが、本当に旬な時に我々のマシンに乗ってくれるわけですから。本当に旬のドライバーの凄さを、感じています」

日本人ドライバーとの”走り方”の違い

「縦のグリップの使い方がすごく上手い」と語るのは、ホンダの佐伯昌浩スーパーフォーミュラ・プロジェクトリーダーである。

「日本人ドライバーの多くは、コーナリング中の速度を下げない方向なんです。でもバンドーンは、ブレーキでしっかり止めて、クルッと向きを変えて、横Gがない状態でドンと加速していくような走り」

 また、彼のライン取りも独特なのだという。

「ヨーロッパのグリップの低いサーキットを走っていたこともあってか、走行中は色々なラインを試しています。例えば、ブレーキが一番効くラインを探しながら、走っていたりするんです」

 スーパーフォーミュラ第3戦の予選は、まさにこのライン取りが重要となった。その時のバンドーンのラインは「僕とは違った」と、彼の後方200〜300mのところを走り予選3位になったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)も語っている。つまり佐伯プロジェクトリーダーが言うように、”色々なラインを試すこと”が、ポールポジション獲得に大きく貢献したと言うことができるだろう。

セナより上かもしれない

 さらに佐伯プロジェクトリーダーは、その才能を絶賛する。

「性格は常に冷静で、温厚ですね、頭も相当良いと思います」

 それが、レースぶりにも活きていると佐伯リーダーは語る。

「彼は天才ですね。ひょっとしたら、(アイルトン)セナより上なのかもしれません」

「(ミハエル)シューマッハーが出てきた時も、上からレースを見ているような感じがありましたが、それに近いレベルのドライバーなのかもしれません。まだ若いし、モータースポーツの歴史を変えるドライバーになる可能性もあります」

 そして最後に佐伯プロジェクトリーダーは、こう付け加えた。

「ヨーロッパで走っている松下(信治)をはじめ、日本人ドライバーたちにも頑張ってもらいたいですね」

 富士スピードウェイ戦はブレーキトラブルでリタイアとなってしまったバンドーン。しかし、開幕戦で表彰台、ここ富士でポールポジションと、その才能をしっかりと発揮している。世界中から注目を集めるその存在は、参戦する他のドライバーにも良い刺激となっているはずだ。

 昨年のスーパーフォーミュラ王者、石浦宏明(P.MU / CERUMO・INGING)のレース後の言葉が印象的だった。

「1周目の1コーナー、僕としては絶対に(バンドーンに)競り負けたくなかった。結局止まり切れませんでしたけど、負けなくてよかったです。相手がバンドーンだからという思いは、もちろんありましたよ。それを意識しすぎましたね」

Additional reporting by 梅原康之

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