まだまだ発展途上。「感動的」に軽くなった新型プリウスGT

今季から新型が投入された、スーパーGTのプリウス。昨年までの旧型と今年からの新型、一体何が変わったのか? ふたりのドライバーの証言から検証する

 今季から新型となったプリウスGT。まだ決勝での好結果は出ていないものの、第2戦富士では予選3位と上位につけ、決勝でもピットストップでトラブルが発生するまでは上位を走っており、表彰台の期待すらあった。

 では新型プリウスGTは、昨年までのプリウスとどう違うのか? 嵯峨宏紀、中山雄一のふたりのドライバーの証言から、検証してみよう。

サスペンションレイアウト変更&70kgの軽量化

「設計段階からドライバーが関わり、乗りやすさとポテンシャルアップを目指したマシンです」

 新型プリウスGTについて、こう語ってくれたのは嵯峨である。

「最大の違いは、フロントサスペンションのレイアウトです。プッシュロッドなのは同じですが、これまでダンパーが直立していたのが、倒立式に変わりました。これは、唐突な動きをするのを防ぐためで、サードダンパーの動きもマイルドにするようになっています。これがよく効いていて、フロントの入りが良くなった。つまり、回頭性が上がったと思います」

 つまり、センシティブなマシンの反応を減らすことで、ドライビングのしやすさを追求したということなのだろう。また嵯峨はこうも教えてくれた。

「フレームの剛性を保ちつつ、軽量化できています。フレーム全体で70kgくらい軽くなっている。その分バラストを積んで、重量配分をコントロールしています」

 この点については、中山も「感動的だった」と語っている。

「もう3カ月乗ってきたんで薄れてきましたが、はじめて乗った時は感動的でした。『重荷を降ろした』っていう感じで、車重が軽くなっていました。剛性感はそのままで。ハコ車よりフォーミュラカーがなんで面白いのかと言えば、軽いからなんですが、それに近づいた印象です。乗ってて楽しいですよ」

 これらの変更により、パフォーマンスのベースアップは成し遂げたと感じているようだ。

 富士の土曜日フリー走行を終えた直後、嵯峨はこう言う。

「全体的なポテンシャルは上がってる感じはします。今回(富士)は決勝向きのタイヤ選択だったのに、しっかりと一発タイムを計測できましたから」

熟成はまだまだ。秘める多くの”伸びシロ”

 ただ、熟成はまだまだだ。

 嵯峨「まだまだこれからです。やらなければならない事はたくさんあります。例えば今回の富士では、フェンダーの形状を変更しました」という。

「このクルマは、市販のプリウスの面影を残して作ったクルマなんですが、風切音の対策となった形状が、レーシングカーでは空気抵抗になってしまうんです。まあ、ここを変えても1km/hとか2km/hの違いなので、ドライブしていてもなかなか感じることができませんでしたが、データ上では間違いなく良くなっています」

 

#31 TOYOTA PRIUS apr GTの開幕戦/第2戦比較
#31 TOYOTA PRIUS apr GTの開幕戦/第2戦比較

Photo by: Motorsport.com

 JAF-GTマシンのメリットのひとつは、FIA-GT3マシンに比べて開発できる余地が多いということである。一箇所の効果は薄くとも、全てをまとめれば、大きなパフォーマンス向上に繋がる。新型プリウスGTは、まだ大きな伸びしろがありそう……と言うことができよう。

「もちろん何年後かには、当然トップを争いに加われるマシンにしたいし、できれば今年中にもトップを争えるクルマにしていきたい」

 そう語る嵯峨。富士のレースは残念な結果だったが、まだ投入2戦目である。確かに、今季から投入されたメルセデス・ベンツAMG GT3やBMW M6 GT3など、新型FIA-GT3マシンの強さが目立つ。そんな中でも、今後の可能性を見せた、そんな予選3位だったと言えるだろう。

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この記事について
シリーズ スーパーGT
記事タイプ 速報ニュース