苦手コース無し? 投入2戦目BMW M6の可能性

開幕戦3位、2戦目でPP+2位。コーナリングも直線スピードも速いBMW M6 GT3。一躍今季の主役に?

ザ・GT3マシン

「最初は嫌だなと思った」

 スーパーGT第2戦富士500kmレース。GT300クラスでポールポジションを獲得し、決勝でも2位フィニッシュした#55 ARTA BMW M6 GT3。今季数ある新型GT3マシンの中で、勝利こそ逃したものの、富士で最も活躍した1台だ。冒頭の言葉は、この#55 ARTA BMW M6 GT3に乗る高木真一の、M6 GT3に対するファーストインプレッションである。

「ザ・GT3カーという感じでした。ロールが大きくて、ABSが効いて、トラクション
コントロールがあって……レーシングカーじゃないような感じ」

「一番重くて、一番ロールが大きくて、一番タイヤに負荷のかかるマシン」

 そうM6を評していた高木。しかも、GT3マシン特有の弱点にも、悩まされていたと言う。

「マザーシャシーや、昨年までのCR-Zだったら、チューニングやセッティングが広範囲でできるんですよ。100通りや1000通りもある。でもGT3マシンはその1/10くらいしかできない。その難しさを感じています」と高木。しかも、セッティング用のパーツが、開幕戦の時点では全く届かなかった。

「開幕戦の時には、スプリングだとかキャンバー用のシムが全然無い状態でした。なので、セッティングが全くできない状態だった」

コーナリングも速く、最高速も速い

 しかし、富士ラウンドにはそれも届き、「セッティングが少しできるようになった」と言う。

 そんな中でも、ポールポジションと2位表彰台を確保できた。その結果の裏には、まずマシンの特性が挙げられる。最高速が優れているのだ。

「CR-Zと比べると、毎回ハイブリッドを押しているような感じ。それは楽ですよ。ストレートで抜かれる感じがあまりないですから。ただ、GT-Rは直線がさらに速いので、上には上がいるという感じですが」

 これと同じことを言っていたのは、#7 Studie BMW M6に乗る荒聖治だ。荒は昨年までZ4を操っていた、まさに”BMWマイスター”とも言えるひとりである。

「Z4はコーナリングマシンだった。ストレートスピードは遅かったんです」と荒。M6は、Z4のコーナリング性能の良さに、ストレートスピードを上乗せしたようなマシンだと言う。

「でも、M6はターボエンジンになって、ストレートスピードが上がっています。コーナリングの速さはそのままに、最高速が上がったので、バランスが取れてきた感じです」

Z4のような理解度はまだ。しかし強い

 とはいえまだ実戦2戦目。いずれのチームも、M6 GT3への理解度はまだまだである。そんな中での好結果に、高木も荒も、今後への期待感を露わにした。

「富士でも、公式練習ではエンジンが止まってしまい、全く走れなかった中、ぶっつけ本番でポールポジションを獲ることができた。ブリヂストンも、まだM6への理解を深めている途中なのに、優れたシミュレーション技術を活かして、クルマに合ったタイヤを作ってくれた。そしてセッティングの幅も少ない中で、2戦目にしてここまで合わせ込めたというのは、素晴らしいと思う。そして500kmを走りきったことで、方向性も見えてきた。これから、期待できると思います」と語るのは高木である。

 荒もやはり「Z4みたいに何年もかけて進化したパッケージにはなっていないけど、今後バランスが良くなっていけば、レースは強い」と語る。

「決勝ではパワステのトラブルが出てしまったけど、クルマとしては良かった。M6はどんなサーキットでも速いと思います。能力は高いですね」

 #7 Studie BMW M6は決勝でトラブルに見舞われたとはいえ、予選3位。しかも、全く特性の異なるサーキットである岡山で行われた開幕戦で表彰台を獲得しているのだ。他の新型GT3マシンのように、”ダウンフォースが大きい分、ドラッグも大きく、最高速に難がある”というような弱点も見えないBMW M6 GT3。例えば開幕戦で#65 LEON CVSTOS AMG-GTが勝利したメルセデス・ベンツAMG GT3は、富士では最高速が伸びず、苦戦を強いられた。つまりM6 GT3は、高いパフォーマンスを備えている上、コースを選ばないマシン……と言うことができよう。

初勝利はどちらのM6?

”重さ”と”ロールの大きさ”がM6 GT3の弱点といえば弱点だろうが、それが足を引っ張っている様子はない。そして、まだ勝利はないものの、2戦目で見せたパフォーマンスは、今後に相当な可能性を感じさせる。

「早く勝ちたいね。今回、隣(#55 ARTA BMW M6 GT3。ちなみに#7 Studie BMW M6と#55 ARTA BMW M6 GT3のピットは隣同士である)に勝たれなくて良かった。M6の初勝利は、こっちで達成したい」と荒。

 一方の高木も「今年もGT-Rは強いので、戦略を考えていかなきゃいけないけど、M6が好きになりました!」と、初走行時と比べて評価がガラリと一転したことを教えてくれた。

 今季、数多くの新型GT-3マシンが投入された、スーパーGTのGT300クラス。その中でも、BMW M6 GT3は、中心的な存在感を放つマシンになっていくのかもしれない。

Be part of something big

コメント
コメントを書く
この記事について
シリーズ スーパーGT
記事タイプ 速報ニュース