インタビュー:マーク・ウェーバー②「レースの週末は頻繁に目が醒めるようになった」

今季限りでレーシングドライバーを辞めることを決めたマーク・ウェーバーにその心境を訊いた。

 今季限りでレーシングドライバーを引退することを発表した、マーク・ウェーバー。彼は2013年までF1で活躍し、その翌年からはWEC(世界耐久選手権)に活動の場を移して輝いてきた。

 そのウェーバーが、引退を決めた理由を、実に正直に語ってくれた。その彼のロングインタビューを連載形式でお届け。今回はその2回目である。

ーー記者会見でも言っていましたが、引退はモチベーションが下がったせいですか?
「ブラジルの事故が理由だ。ブラジルでは僕は非常に幸運だった。幸運以外の何物でもない。衝撃で死ぬ可能性もあった。クラッシュから立ち直るのに、これまでで一番時間がかかった。勉強になった。今年のシルバーストンのブレンダン(ハートレー)の事故もあった。事故はレースの一部で避けられないが、でも、それをいつも受け入れる必要はない。もうごめんだ」

ーーしかし、次のクルマの開発も楽しみにしていたとか聞きましたが。
「いや、それはやらない。気持ち的に安心するためだ。ティモ(ベルンハルト)もブレンダンもそのことは分かっていると思う。クルマを開発するということは、すごく大変な仕事だ。思いついてすぐにできる仕事ではない。僕はもっとゆっくりしたい。朝3時に起きてアラゴンのサーキットへテストに来いと言われても難しいだろうね。仕事をするには気持ちを切り換えなければならないけど、それが僕にはもう難しい。ブレンダンは25歳だからそれをやれるだろうが、彼と同じ気持ちでやることはできない。というか、僕はもうそれをいやと言うほどやってきた。メルセデスでそれをやり、F1でもやった。その時は若かったので熱中して行うことができた。でも、年齢を重ねた今は、余り多くを期待されても困る。僕の中のバッテリーの使い方を考えなきゃ」

ーー大変な仕事だとは分かっていますが。
「仕事量が多くても、減らしてくれって要求はできない。表彰台へ立つには仕事をしなきゃいけないから。それを実感した。チームではそういう風にしなければいけない。今まで、そこから逃げたことはない。テストも自分がやるべき量以上のことをやってきた。それも楽しかった。結果に繋がると思うからだ。でも、レースの週末は頻繁に目が醒めて、どこか違うところへ行きたいと思うようになった。それは良くない」

ーーここまであなたは人間的な面を語ってくれましたが、ここに来てあなたのレースは残り3戦になった(※WEC富士ラウンド決勝前にインタビュー)。最後までモチベーションを高めるにはどうするのですか?
「過去3レース、我々は勝利を収めてきた。残りのレースも勝ちたい。でも、上海に本当に行きたいかといえば……行きたくはない。でも、上海には行って、ベストを尽くして勝利を目指すしかない。それは自分で選択した」

ーー過去3年間のポルシェでの冒険を振り返って後悔は?
「ない。今年は、自分が全力を尽くしたということが明らかになった。昨日(富士ラウンドの金曜日)はポルシェで最速だった。でも、メディアはそれを報道してくれなかった。何を報道したらいいか分かっていないからだ。あれは残念だった」

ーー正式に発表するまで、チームのスタッフにも引退を伝えられなかった。その時は苦しくなかったですか?
「5月からずっと秘密にしてきた。何カ月も秘密にしてきた。でも、僕にとれば難しいことではなかった。気持ちは固まっていたから。一緒に働いたメカニックのみんなに話をするのは僕にとって大切なことだった。引退の決断について自分がどう思っていて、どうやってその決断にたどり着いたかを話した。感動的な15分間だった。チームの全員にとって特別な時間だったと思う」

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この記事について
シリーズ WEC , F1
ドライバー Mark Webber
チーム Porsche Team , Red Bull Racing
記事タイプ インタビュー