トラブルで脱落も、高パフォーマンスは確認:トヨタのWECスパ決勝

トラブルにより2台揃って後退してしまったトヨタTS050ハイブリッド。しかし、決勝ではトップを独走するシーンもあるなど、その高いパフォーマンスを確認できた。次なるル・マン24時間までに、課題は克服できるのか?

「シルバーストンのままズルズルとここに来ていたら辛かったですが、クルマの性能が明らかに向上していたことが確認出来たので、結果的にエンジンが壊れはしましたが、サッパリした気持ちです」

 こう言うのは6号車トヨタTS050ハイブリッドを走らせた小林可夢偉。彼のクルマは予選5番手からスタートし、マイク・コンウェイが4番手を走行。可夢偉に替わって3番手に上がるものの、レースが半分を消化したころエンジンから異音が出てピットイン。暫く作業をした後、ステファン・サラザンに交替してレースに復帰するも、1周でピットに戻ってきてリタイアを決めた。

 リタイアの原因は、電気系のトラブルから来たエンジントラブル。残念な結果に終わった。しかし、可夢偉が言うように開幕戦シルバーストンと比べるとクルマの性能は飛躍的に向上し、コンウェイが接触事故を起こすまではコンスタントに好タイムを刻んだ。

「その後はダウンフォースが著しく減少した」、と可夢偉は言う。ダウンフォースがなければタイヤの磨耗は早い。「ズルズルでした」と言いながらも、アウディを抜き去る速さを見せたのだから、可夢偉の攻撃的な走りはチーム全体の刺激になった。

 一方の5号車トヨタTS050ハイブリッドは、セバスチャン・ブエミのドライブでスタートし、1号車ポルシェ919ハイブリッドと激しい首位攻防戦を繰り広げた。

 1回目の給油時にタイヤ交換をせず、ドライバーもブエミのままでダブルスティントをこなした。このタイヤ無交換でトップに躍り出た5号車を、ポルシェの1号車が激しく追い上げた。しかし、36周目に1号車ポルシェは左前輪がパンク、さらに2度目のパンクを経験し、同時にフロントのハイブリッドシステム不調でフロントギヤボックス交換などをしたおかげで、すっかり後退してしまった。

 これでトヨタ5号車はトップに躍り出て安泰と思われたが、アンソニー・デビッドソンから中嶋一貴に交代してレースが残り2時間を切った113周目、白煙を吐きながらピットへ滑り込んだ。こちらもエンジントラブルだ。しかし、ゴールを迎えた午後8時半前、5号車はモーターだけで1周走行し、最終的に29位完走を果たした。WECのルールでは、完走すればポイントを獲得出来る。

「我々のクルマはダウンフォースを効かせれば、タイヤに非常に優しい。そのことが分かっていたのでタイヤはダブルスティントをこなす作戦を取った。これが功を奏し、その後のポルシェのパンクなどでトップを堅持できた。エンジントラブルは残念だが、高いパフォーマンスは確認出来た」と、テクニカルディレクターのパスカル・バセロン。

 だが、ル・マンまで1カ月の時点で出たエンジントラブルは、パワートレーン開発陣に大きな課題を残した。「東富士研究所に持ち帰って開けてみないと本当のトラブルは分からないが、おおよその見当はついている」と、村田久武パワーユニット開発部長は語ってくれた。それが、軽量化を突き詰めた結果としての強度不足といった設計の根本的なところに関わるトラブルではないことを願うばかりだ。トラブルが襲うまでの素晴らしい走りがあれば、念願のル・マン制覇も夢ではなかろう。

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この記事について
シリーズ WEC
イベント名 スパ-フランコルシャン
サブイベント 土曜日 決勝レース
サーキット スパ・フランコルシャン
ドライバー Kamui Kobayashi , Kazuki Nakajima
記事タイプ 速報ニュース