【WEC】バーレーン国際サーキットCEOに訊く、バーレーンのモータースポーツ事情

バーレーン国際サーキットのサルマン・ビン・イサ・ハリファCEOに、バーレーンでのモータースポーツ事情について語った。

 今週末WEC(世界耐久選手権)とCIK-FIA 選手権の両方が行われているバーレーン国際サーキット(BIC)。このサーキットは2004年、中東アラブ諸国で初めての国際サーキットとして建設され、F1グランプリ「バーレーンGP」の開催を成功させた。以来12年、同サーキットは着実な経営で中東アラブ諸国のモータースポーツのメッカとして機能している。建設に尽力し、開場以来このBICの経営を担ってきたBICの最高経営責任者サルマン・ビン・イサ・アル・ハリファに話を聞いた。

ーーBICが作られたのが2004年。以来12年です。なぜサーキットを作ろうと考えたのですか?

「サーキットの建設には3つの理由がありました。サーキットが出来る前には砂漠ラリーなど幾つかの競技があり、1983年にはFIAのラリーもありました。でも、サーキットがなかった。最初の自動車連盟ができたのは1952年です。つまりFIAの管轄団体(ASN)が出来たわけです。しかし、モータースポーツを発展させるにはサーキットが必要だということになり、1999年に立案し、2004年にサーキットが完成しました。これがひとつめの理由。ふたつめは地図の上にしっかりと印を残すことで、F1グランプリなどの国際レースを誘致しました。3つめは経済の底上げをすることで、国際レースが行われたらホテルは満杯になり、レストランは客で賑わいます。それらが計画通り上手くいけば、国のイメージが上がり、経済は潤います」

「スポーツに関しては、バーレーンのモータースポーツのグラスルーツはアメリカから入って来たドラッグレースです。バーレーンでは非常にポピュラーで、ここには世界最速記録を出したクルマがありますし、大勢の人が見に来ます」

「サーキットレースに関しては、2004年当時の予定通りには進んでいません。当初は、3〜4年でレースドライバーを育て、国際レースに送り込む予定でした。しかしある時気付いたのですが、バーレーンにはカート用のサーキットが無い。これでは若い人がレースを始める場所が無い。そこで2000年から建設を始め、2008年、09年、10年には全国11個所のカート用コースが活用されるようになり、現在のカート人口は3000人にも膨れ上がった。これから先は、この3000人から4輪のカテゴリー、例えばフォーミュラ・フォードなどに何人が出て行くか楽しみです。300人? 400人? 今は子供達が4輪のレースに出始めました。息子もポルシェのレースに出ています。バーレーンにとって最初のモータースポーツ世代と言えます。予想より時間はかかっているが、やっと4輪レース世代に入った」

ーーバーレーンには自動車メーカーがない。マーケットとしても大きくない。バーレーンが抱える問題のひとつかも知れない。

「グローバルな観点で言えば、自動車の販売は20〜30%低下しています。これまでバーレーンにあるポルシェのディーラーがレースに出る人を支援していたが、今年は止めてしまいました。今はどこも大変な時期。でも、プッシュし続けるしかない」

ーーF1、WEC等のビッグレースはバーレーンにとって大きな意味を持ちますか?

「ここは国際サーキットです。国際サーキットには国際レースが必要。それは、人々にこのサーキットの存在を知らしめるためなんです。F1を持って来たのはF1はよく知られているから。WECやGTレースは、参加しているクルマをみんなが知っているために開催は楽です。アストンマーチン、フェラーリ、ポルシェ……。それからプロトタイプに繋げる。順番としては簡単。技術に関することは、あまり興味を持たれません。技術的なことや、クルマはどうやって走っているかとか、ハイブリッドだとか、ブレーキだとかは二の次。我々が最も大切にしていることは、まずドラッグレーシング、次にGT、それからF1が3番目。でも、我々が最初に開催したのはF1です。他には何もなかった」

ーーバーレーンが中東諸国で初めてビッグレースを開催しました。

「2004年の事です。”Home of Motorsport of Middle East”というのが売り。最初にレースを開催したし、我々の国に最も適したレースを持って来た。そして、ローカルの選手権、地域の選手権を推進しました。近隣国の選手権と同じようなものを開催してもいいと思っています。ドバイは素晴らしい24時間レースを行っていますが、我々だって出来ないことはない。中東のマーケットには2レースあれば十分だという声があります、私はそうは思わない。F1は隣のアブダビでもやっていて、中東には2つある。でも、シーズン最初と最後で、問題は何もない」

ーー近隣諸国との連携は上手くいきつつあるのですか?

「ゆっくりですが、上手くいきつつある。ただ、やらなければならないことは非常に多い。例えばフォーミュラレースはフォーミュラ・フォードを始めるとか。我々が8年間続けているポルシェ主体のGTレースはそれなりのポジションを獲得しているが、フェラーリが好きな人もいる。そこで今年は新しい選手権も行う予定です。Middle East Championshipでもより下のランクで、適正な費用で参加が可能なレースだ。そうやって広げていこうと思っています」

ーーBICでは自動車レース以外のイベントも開催していますか?

「アイアンマンレース、バーレーン・マラソンなどを開催しています。BICをスタートし、ゴールするのです。コンピュータゲームの会場としても提供しています。サーキットも10月から3月まではほとんど毎日が埋まっています。1日に2イベント以上行われることもある。自動車ディーラーが貸し切って試乗会も行われています」

ーー12年間BICで働いて、今はCEOです。

「最初はマーケティングとPR担当だった。1年目はPRと行政担当だった。以前はBAF(バーレーン自動車連盟)の副会長だったが2004年に辞し、BICに来て仕事を始めた。出身はロイヤルファミリーですが、仕事に関してはまったく問題はありません。我々のチームはモータースポーツが大好きで、そのために一生懸命仕事してくれています」

ーーサルマン(ビン・ハマド・アル・ハリファ)皇太子は兄弟ですか?

「従兄弟です。素晴らしい人で、BICの支援も忘れない。国際会議などで非常に忙しい身ですが、時間を見つけては来てくれて援助を申し出てくれる」

ーー最後に、将来の目標を。

「3つの価値を持っています。何をやるにしろ、誇り、情熱、能力の3つを忘れません。この3つがBICの根幹にある。将来どんなビジネスを展開する時でも、この3つの柱は忘れません」

 

【Interview by Kunihiko Akai and Khodr Rawi(Movie)】

【関連ニュース】

WEC:アウディ、最後のレースを1-2で完勝。チャンピオンはポルシェ2号車

WEC:アラン・マクニッシュ「アウディの撤退で僕のレース人生も終える、感無量だ」

F1バーレーンGP決勝レポート:ロズベルグ完勝で5連勝。バンドーンが初戦で入賞

Be part of something big

コメント
コメントを書く
この記事について
シリーズ WEC
記事タイプ 速報ニュース