【WECバーレーン】アウディ、最後のレースを1-2で完勝。チャンピオンはポルシェ2号車

WEC最終戦バーレーン6時間レースが行われ、このレースで撤退するアウディが1-2フィニッシュの完勝。ドライバーズタイトルはポルシェの2号車が獲得した。

 WECの2016年シーズンが幕を降ろした。4月に行われた開幕戦シルバーストンから8ヶ月。長いシーズンが終了し、マニュファクチャラーズタイトル、ドライバーズタイトル共にポルシェの手に渡った。しかし、最終戦バーレーン6時間レースは特別だった。WECからの撤退、18年間に及ぶスポーツカーレースからの撤退を発表したアウディが、見事なレースを展開して1位、2位を獲得、完璧なレースを見せつけて幕を引いた。

 幕切れはいつも感傷的になるものだが、最終戦バーレーン6時間レースは特別だった。WECの現在の隆盛を担ってきたアウディがこのレース限りで舞台から降りるというのだから、レース前から誰もが心の準備のようなものをしていたはずだ。まだ決まっていないドライバーズタイトルの行方より、アウディの撤退の方が話題に上がった。そして、レースはまさにアウディのためにあったようにプログラムされ、そのプログラム通りに進行した。

 今回のレースを最初から最後まで席巻したのはルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービスの乗る8号車アウディR18だった。彼らはポルシェ、トヨタを蹴散らしてポールポジションを獲得した。そして、決勝レースは見事に予選2番手の1号車ポルシェ919ハイブリッドを抑えてレースのイニシャティブを握った。

 レースが開始2時間目に入るとアンドレ・ロッテラーの操る7号車アウディに抜かれるが、7号車がロッテラーからブノワ・トレルイエに交替する時に時間を食い、再び8号車がトップに立った。8号車のスタートを担当したデュバルは、「スタートは上手くいった。問題は無し。最初からギャップを開くことが出来た。路面温度が下がってきたので我々がどこまでポルシェやトヨタより速く走っていられるか見ていて欲しい」と、自信のほどを覗かせた。

 レースが1時間を終えた頃、ポルシェ2号車がGTポルシェにヒットされて左後輪をパンクさせ後退した。リヤのボディワークにまでダメージを負い、交換の必要があった。この2号車のロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブはドライバーズタイトル最有力候補。このパンクでそのチャンスを失うことを恐れたが、2周ほど遅れただけで戦列に復帰、レースを続行した。選手権ポイントはレース結果の順位で決まる。例え周回遅れでもLMP1クラスであればポイントは獲得出来る。

 トップ争いは2台のアウディによって繰り広げられたが、レースが半ばを過ぎた頃に出たフルコースイエローを使ってアウディは2台に異なる作戦を取った。8号車アウディはピットに入り、7号車アウディはコースに留まる。これは一時7号車に有利に働くかと思われたが、ニュータイヤに換えた8号車の速さは別格で、ディ・グラッシが1分41秒511という最速タイムをマークした。その後のピットストップなどで、レースが残り1時間ほどになると、8号車はデュバルのドライブで2位の7号車に20秒もの差をつけてディ・グラッシに交替、ディ・グラッシは2位に16秒の差をつけて見事に勝利を勝ち取った。

「言葉にならない。アウディ最後のレースを完璧に終えられた。ポールポジションを取り、優勝することが出来た。チームメイト、チームスタッフが素晴らしい仕事をしてくれた。最高の気分だ」と、ディ・グラッシ。
 アウディ最後のレースでアウディが1、2位。歴史的な勝利と言えるだろう。

 3位に入ったのは1号車ポルシェ。このクルマにもこのレースでヘルメットを脱ぐドライバーがいる。マーク・ウェバーだ。しかし、アウディの撤退騒動で彼の引退は影が薄くなった。ウェバーと組むブレンドン・ハートレー/ティモ・ベルンハルトの2人は、ウェバーの最後を好成績で飾ろうと、追いすがる5号車トヨタTS050ハイブリッドを抑えて3位でゴールを迎えた。同チームの2号車ポルシェはパンクから立ち直ったものの2台のトヨタの後ろ6位を走行、そのままゴールした。

 2台のポルシェに挟まれて4位、5位でレースを終えたのはトヨタ。今回のレースではトヨタはまったく良いとこなし。序盤は中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソンの5号車がポルシェを追ったが、結局届かず4位。小林可夢偉/ステファン・サラザン/マイク・コンウェイの6号車の前でゴールしたが、トップから周回遅れの体たらくだった。

 6号車のドライバーは優勝すればドライバーズタイトル獲得のチャンスがあったものの、実際にはまったく歯が立たなかった。この結果、2号車ポルシェの3人はドライバーズタイトルを獲得、すでに手に入れているマニュファクチャラーズタイトルに花を添えた。

 LMP1のプライベートカテゴリーにはレベリオンとバイコレスの2台のクルマが参加していたが、レベリオンが7位、バイコレスは4周遅れの結果だった。

LMP2クラスは、後方から追い上げたG-ドライブが優勝

 LMP2クラスは、26号車G-ドライブのルネ・ラスト/アレックス・ブランドル/ロマン・ルシノフが後方から追い上げ優勝を果たした。26号車は予選後の車検を通過できず、予選タイムが抹消。クラス最後方からのスタートで勝利を掴み取った。
 優勝を決定づけたのは、6時間レースの残り20分。ブルーノ・セナ/リカルド・ゴンザレス/フェリペ・アルバカーキの43号車のRGR・スポーツ・byモランドを、26号車がオーバーテイクしてトップに立った。

 31号車のエクストリーム・スピード・モータースポーツ(ライアン・ダルジール/ルイス・フェリペ・デラーニ)が、シルバードライバーのカミングにロングスティントを取らせるという型破りの戦略を取り、カテゴリトップを独走していたが、アルバカーキとラスト、さらには36号車シグナテック・アルピーヌのニコラス・ラピエールにも抜かれてしまい、表彰台に乗ることはできなかった。

アストンマーティン、LM-GTEプロクラスのタイトル獲得

 LM-GTEプロクラスは、ニッキ・ティーム/マルコ・ソーレンセンの95号車アストンマーティンがドライバーズタイトルを獲得した。
 レース前半をリードしていたダレン・ターナー/ジョナサン・アダムの97号車アストンマーティンだが、レースの折り返しが過ぎる頃に右前輪が脱落してしまう。
 その結果、95号車が2台のAFコルセ・フェラーリに大きなアドバンテージを持ってレースをフィニッシュした。
 トラブルにより後退した97号車はクラス5位まで挽回したものの、GTEプロクラスのコンストラクターズタイトルはフェラーリが獲得した。

 LM-GTEアマクラスは、83号車AFコルセ・フェラーリ(エマニュエル・コラード/フランソワ・ペロード/ルイ・アグアス)が3位でフィニッシュし、タイトルを獲得した。

 タイトルを争う98号車アストンマーティン(ペドロ・ラミー/ポール・ダラ・ラナ/マティアス・ラウダ)がチャンピオンを獲得するには、優勝をするしかなかったのに対して、83号車はこのレースで1ポイントを獲得すればよかった。

 その98号車はレースが折り返す頃に、エンジンがブロー。コース脇にマシンを止めてしまった。これにより、83号車のタイトルは決定的なものになった。

 このレースでクラス優勝を果たしたのは、88号車アブダビ・プロトン・レーシングのポルシェ911(ハレド・アル・クバイシ/デビッド・ハイネマイスター・ハンソン/パトリック・ロング)。今季2勝目を記録した。

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この記事について
シリーズ WEC
イベント名 バーレーン
サーキット バーレーン・インターナショナル・サーキット
記事タイプ レースレポート