WEC第2戦スパ 決勝詳報

8号車アウディR18が優勝したWEC第2戦スパ6時間レース。その詳報をお届け

 ベルギーのスパ・フランコルシャンで行われたWEC(世界耐久選手権)第2戦。今週末のスパは、”スパウエザー”を呼ばれる特異な天候に見舞われることなく、素晴らしい天気が続いている。

 現地時間の14時半にスタートした決勝レース。3番グリッドの6号車トヨタTS050ハイブリッドは、1コーナー”ラ・ソース”で2号車ポルシェ919ハイブリッドの前に出ようと狙うも、これは叶わず。逆にケメルストレートでアウディの2台に先行されてしまう。今回のアウディR18はローダウンフォース仕様であり、ストレートスピードが圧倒的である。逆にトヨタはハイダウンフォース仕様であり、コーナーではアウディに近づくものの、抜くまでには至らない。

 後方ではLMP2クラスの45号車マノーがスピン。37号車SMPレーシングもタイヤをバーストさせ、ボディワークも大破させてしまいピットに戻っている。2周目には31号車エクストリーム・スピードと35号車バクシィ・DCレーシング・アルピーヌがレ・コンブで接触。揃ってスピンしている。

 6周目、5号車トヨタのセバスチャン・ブエミが、6号車トヨタの前へ。7号車アウディ追撃体制に入る。その次の7周目、2号車ポルシェにハイブリッドシステムのトラブルが発生。ペースががくりと落ち、アウディやトヨタに次々とオーバーテイクされていってしまう。

 9周目、5号車トヨタのブエミと7号車アウディのブノワ・トレルイエが並走状態でオー・ルージュへ。ここでの順位変動はなかったが、この周の最終コーナーで5号車が前へ。前が開けたブエミのペースは素晴らしく、7号車アウディの前に出た後は、先頭の1号車ポルシェと遜色ないペースで走っていく。また、6号車トヨタのマイク・コンウェイも、12周目に7号車アウディを抜き、4番手に上がっている。今回のレース、ペースだけ見ればトヨタの方がアウディよりも速そうだ。

 レースも開始から30分を越え、LMP1クラスは相変わらず1号車ポルシェが先頭。LMP2クラスは26号車G-ドライブ・レーシング、LM-GTE Proクラスは51号車AFコルセ、LM-GTE Amクラスは83号車が先頭である。

上位陣に相次ぐトラブル

 19周目に5号車トヨタが8号車アウディをパスし、これで2番手に浮上。ただ、8号車アウディのルーカス・ディ・グラッシは簡単には諦めず、コースサイドに片輪を落として再び追い抜きにかかるが、そうはいかず。これで5号車トヨタが2番手に浮上だ。この周、5番手に下がっていた7号車アウディが上位陣では最初のピットイン。タイヤの交換も行う。右フロントのタイヤが異常に磨耗しているとの情報もある。

 21周目には6号車トヨタも8号車アウディに追いつくが、最終コーナーで周回遅れの37号車SMPレーシングに追突してしまう。これにより、フロントカウルを破損。さらにドライブスルーペナルティが課せられてしまい、大きく順位を落としてしまう。

 22周目に8号車アウディがピットイン、その次の周に1号車と5号車が最初のピットインを行う。アウディとポルシェはタイヤ交換を行ったものの、トヨタは無交換。これにより、5号車がトップに踊り出る。

 ただし、タイヤを交換した1号車ポルシェは、タイヤを交換しなかった5号車トヨタよりも1周あたり2秒近く速い。これにより、みるみるうちに差が縮まっていく。ただ、このレースで使うことが許されているタイヤは6セットのみ。6時間レースでは8 スティントほどを要すると考えられるため、いずれかのセットで2スティントをこなす必要が出てくるはずだ。トヨタは、最初のピットストップでこの無交換を選択してきたというわけである。

 35周目には、1号車ポルシェが5号車トヨタの真後ろにつく。最終コーナーでブエミはブレーキングミスを犯し1号車に先行させるが、36周目の1コーナー立ち上がりで再びオーバーテイク。首位のポジションをキープしていく。

 そして続く37周目、1号車ポルシェは5号車の真後ろについていくが、オー・ルージュの手前で突如スローダウン。なんと右のフロントタイヤをバーストさせてしまったのだ。これで1号車ポルシェも大きく後退していくことになる。また、5号車トヨタにとっては、非常にツキが回ってきた感じだ。

 44周目、1号車ポルシェの右フロントが再びバースト。ピットに戻りガレージにそのままマシンを入れてしまう。バーストの原因は、先のバーストの際にボディワークが壊れており、それがタイヤに干渉してしまったからと思われる。また、フロントのモーター用のギヤボックスの交換も行う必要があったため、多くの時間を要している。
 さらには3番手を走っていた7号車アウディがピットに戻り、ガレージイン。フロントのカウルを外して大掛かりな作業に入っている。上位を走るマシンに、多くのトラブルが発生し、荒れた展開になってきた。

トヨタ6号車にトラブル発生

 47周目に5号車トヨタらがピットイン。5号車は今度はタイヤを換えた。

 48周目に95号車のアストンマーチンが、横転して飛んでいく激しいクラッシュ。これにより、フルコースイエロー(FCY)となる。ドライバーに大事はなかったが、ウォールを修復するのに少々時間がかかっている。この間に、8号車アウディがコースに復帰。マシンの下面に損傷があり、ダウンフォースを失っていたようで、パーツをごっそりと交換したようだ。

 先頭の5号車が51周目を走行していたところでレースが再開。FCY中に6号車トヨタは2号車ポルシェの直後につけており、再開と同時に2号車を交わして3番手に躍り出る。これでトヨタは1-3体制だ。

 LMP2クラスは、44号車マノーと26号車G-ドライブ・レーシングの首位争いとなっていたが、26号車はGTクラスのポルシェに追突され、左リヤタイヤを破損。これで大きく順位を落としてしまい、44号車にとっては非常に楽な展開となってきた。

 間も無く残り3時間というところで、このレース2回目のFCY。コース上のデブリを排除するためのものである。

 FCYが解除され、残り3時間を切ったところで、先頭は5号車トヨタ。2番手の8号車アウディに1分以上の差をつけている。6号車トヨタが相変わらず3番手だ。

 LMP2クラスは44号車マノーが首位、LM-GTE Proクラスは51号車AFコルセがトップを堅持、LM-GTE Amクラスは98号車アストンマーチン・レーシングが先頭を走っている。

 残り2時間50分というところで、36号車シグナテック・アルピーヌが1コーナーでスピン。8号車アウディが追突してしまったのだ。

 その直後、トヨタ6号車が緊急ピットイン。どうもエンジンのノイズに異常があったようで、リヤカウルを開けての修復を行う。ノイズの原因はターボのオイル漏れだったようで、修復はなったものの、6番手まで落ちてしまう。ただ、やはり修復は完了していなかったようで、翌周再びピットインを余儀なくされてしまう。結局、電気系トラブルによるエンジントラブルのようで、ここでリタイアとなってしまった。

5号車トヨタにもトラブル。優勝の可能性潰える

 LMP2クラスでは、首位を争うバトルが展開される。長く首位を走ってきた44号車マノーに、36号車シグナテック・アルピーヌが接近。テール・トゥ・ノーズ状態になっていく。

 しかし、決着は意外な形でついた。この2台のバトルにLMP1クラスの13号車レベリオン・レーシングが追いつき、交わそうとした際に44号車マノーに追突。44号車はスピンさせられた上、リヤセクションにダメージを負ってしまう。この間に36号車が先行。LMP2クラスの首位が入れ替わる。

 残り2時間14分というところで、1号車ポルシェがコースに復帰。修復になんと100分以上もかかってしまった。その直後、LMP2クラス2位の44号車マノーがスピン。これ以前から左フロントのカーボンダスト量が多く、ブレーキのオーバーヒートが原因と考えられる。

 残り2時間を切ったところで、今度は5号車トヨタに異変。マシン後方から白煙を吹いてしまっている。これでピットイン。5号車のトラブルは6号車と同じオイル漏れのようで、これでリタイア。今回のトヨタは2台揃ってのリタイアで、次のル・マンに向け、大きな課題を抱えてしまったことになる。

 その間に、8号車アウディ約1周の差を埋めて前に出て、首位を奪う。2番手にはハイブリッドシステムにトラブルを抱えている2号車ポルシェ919ハイブリッド。3番手にはノンハイブリッドクラスの13号車レベリオン・レーシングが上がっている。

 残り1時間9分というところで、66号車フォードGTがオー・ルージュでスピン。コース左側のウォールに激しくクラッシュしてしまう。オー・ルージュ通過中にタイヤがバーストしたようだ。

 66号車はこれでコース中央に止まってしまい、セーフティカー出動。隊列が一気に縮まる。66号車をドライブしていたステファン・ミュッケは、足を負傷したものの命には別状がない模様だ。

 残り48分、セーフティカーラン中に多くのマシンがピットイン。その中にトップを走る8号車アウディの姿もあった。その8号車はなんとガレージにマシンを入れ、リヤカウルを外してなんらかの作業を行う。一瞬ヒヤリとしたが、大きな問題ではなかったようで、すぐに作業を終え、コースに復帰していった。

レース再開。最終盤にドラマが連発

 先頭が141周目に入ったところからレース再開。LMP1クラストップの8号車アウディと2番手2号車ポルシェの差は2周あるが、その他のクラスは大接戦。LMP2クラス先頭の36号車シグナテック・アルピーヌと31号車エクストリーム・スピード・モータースポーツの差はわずか3秒である。LM-GTE Proクラスは、51号車AFコルセと71号車AFコルセの差は2秒、LM-GTE Amクラスの首位83号車AFコルセと2番手98号車アストン・マーチン・レーシングとの差も2秒である。

 残り34分というところで、126周目を走っていたLM-GTE Amクラスの83号車AFコルセと98号車アストンマーチン・レーシングがバトル。98号車に乗っているのは元F1ドライバーのペドロ・ラミーである。ラミーは83号車を交わして首位に浮上。83号車のペースは上がらず、88号車アブダビ-プロトン・レーシングにも抜かれ、3番手に落ちてしまう。

 残り24分というところで、LMP2クラスの245号車マノーが31号車エクストリーム・スピードを交わしてクラス2番手に浮上。しかし、ピットレーンに赤信号で進入してしまったとして、45号車にはドライブスルーペナルティを課せられてしまう。

 残り15分を切ったところで、7号車アウディが12号車レベリオン・レーシングまであと9秒というところまで迫ってきた。しかし、1コーナーでこの7号車にLMP2クラス3番手の43号車RGRスポーツbyモランドが追突。7号車はコース左のウォールにクラッシュしてしまう。

 一方、LM-GTEプロクラスは、残り10分というところで71号車AFコルセが51号車AFコルセを交わして先頭に。51号車AFコルセはマシントラブルのようで、このままピットインしてしまう。

 LMP2クラスは36号車シグナテック・アルピーヌがピットに入ったため、首位は31号車エクストリーム・スピード・モータースポーツが立っていた。しかし、これに36号車が追いつき、残り5分というところで再び首位に浮上。ドライバーはニコラス・ラピエールである。周回遅れのマシンをうまく使った、見事なオーバーテイクだった。また、最終ラップには45号車マノーのロベルト・メリが、43号車RGRスポーツbyモランドを交わしてクラス3番手に浮上。

 そしてチェッカーフラッグが振られた。

 結局LMP1クラスは、8号車アウディR18が優勝。2位には2号車ポルシェ919ハイブリッドが入り、3位で13号車レベリオン・レーシングが入っている。LMP2クラスは36号車シグナテック・アルピーヌが、LM-GTE Proクラスは71号車AFコルセが、LM-GTE Amクラスは98号車アストンマーチン・レーシングが優勝を果たしている。5号車トヨタは最後に1周のみ走り、クラス7位でフィニッシュしている。

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この記事について
シリーズ WEC
イベント名 スパ
サブイベント 土曜日 決勝レース
サーキット スパ・フランコルシャン
チーム Audi Sport Team Joest , Toyota Racing , Porsche Team
記事タイプ レースレポート