WEC開幕戦決勝レポート:波乱の激戦は7号車アウディR18がポール・トゥ・ウイン

FIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦シルバーストン6時間レース決勝が行われ、7号者アウディR18がポールポジションからスタートし、見事ポール・トゥ・ウインを果たした。

 雨のみならず雪も降った、悪天候の予選日から一転、ドライコンディションで行われたWEC開幕戦決勝。とはいえスタート時の気温は8.1度、路面温度は6.7度と寒々しいコンディションである。

 昨年までLM-GTE Amクラスにドライバーとして出走していたパトリック・デンプシーがグリーンフラッグを振り、各車がセーフティカー先導で走り出していく。

 ポールポジションは7号車アウディR18。スタートドライバーにはアンドレ・ロッテラーを指名し、序盤から飛ばしていく作戦だ。

 2周のフォーメーションラップの後、戦闘開始、ロッテラーがホールショットを決めると、8号車アウディR18のオリバー・ジャービスがこれに続く。ポルシェの2台はこれについていくが、トヨタはやや置いて行かれ気味。土曜日のトラクション・コントロールのトラブルからは立ち直ったものの、ドライコンディションのレースでもアウディ、ポルシェについて行くのは苦しそうだった。

 6周目に1号車ポルシェ919ハイブリッドが8号車アウディR18を交わし、先頭を行く7号車アウディR18追撃体制に入る。そして17周目の1コーナーでオーバーテイク成功。ついにポルシェが先頭に躍り出る。先頭に躍り出たウェーバーは快調に飛ばし、2位との差を広げていく。各車が最初のピットストップを終えた28周目の時点では、ピット作業のアヤで2番手に上がっていた8号車アウディR18に対して12秒のリード。盤石なレースを展開していくように見えた。

アウディとポルシェにまさかのトラブル!

 間もなくレースが60周を迎えるかと言うところで、8号車アウディR18にトラブルが発生。無線では「ブレーキ温度が上がっている」との交信が飛び、一気ペースが落ち、トヨタ勢の先行も許してしまう。後にわかることだが、MGUにトラブルが発生していたようだ。

 70周目に衝撃のシーンが、会場内のモニターに映し出される。ブレンダン・ハートレーのドライブで首位を行く1号車ポルシェ919ハイブリッドがLM-GTE Amクラスの86号車と接触。マシンはもんどり売ってコース脇にすっ飛んでいく。ドライブしていたブレンダン・ハートレーに怪我はなかったがレース復帰は難しく、昨年チャンピオンはここでリタイア。この事故を片付けるためにフルコースイエロー(FCY/追い抜き禁止)が出された。

 

 このFCY中、今度はトラブルに苦しんでいた8号車アウディR18がコース上にストップ。エンジンも止まってしまっている。ドライバーのルーカス・ディ・グラッシはなんとか再起動を目指すも、次第にマシンからは白煙が上がり始め、万事休す。これで、あっという間にポルシェとアウディの1台ずつが消えたことになる。

 これで先頭に立ったのは2号車ポルシェ919ハイブリッド。しかしFCY中に、後方から7号車アウディR18がヒタヒタと迫ってくる。約20分のFCYを経てレース再開。2号車ポルシェ919ハイブリッドは周回遅れのマシンを交わすが、すぐ後ろには7号車アウディR18が迫る。とここで2号車ポルシェ919ハイブリッドが急減速。前方のイエローフラッグ(追い越し禁止)が目に入ったためだ。しかし7号車はスピードを緩めず、一気に2号車をパス。「イエローフラッグ区間での追い越し」を疑われ、一時審議対象となるが、追い越し禁止区間にさしかかる手前でオーバーテイクが完了したと認められ、7号車アウディR18がついに首位を奪還する。

トヨタにもトラブル。タイヤがマシンを”破壊”

 レースはこのまま首位7号車、2番手に2号車の順で進行。3番手は5号車トヨタTS050ハイブリッドである。しかし、次のトラブルの餌食となるのはこの5号車だった。

 中嶋一貴のドライブで走行していた5号車TS050ハイブリッドは、101周目終了と同時にピットイン。作業を完了してコースに復帰した直後、GTクラスのマシンと絡んでしまう。これで右リヤタイヤがバースト。潰れたタイヤが鞭のように、容赦なくボディを叩く。中嶋はなんとかピットまでマシンを戻そうと奮闘するが、ボディワークはバラバラに。いたるところにパーツを撒き散らし、なんとかピットに辿りつく。この時撒き散らされたパーツの清掃のため、今度はセーフティカーが出動する事態となる。

 ピットに戻った5号車トヨタTS050ハイブリッドは、タイヤによりマシンの各所が大きく破壊されており、オイルのラインまで切ってしまった。これで、フロアまで外しての大修理となり、結局修復には約40分を要した。

 107周目からレース再開。ここからは7号車アウディR18がリードを広げていく展開になる。120周目には2号車ポルシェ919ハイブリッドが、67号車フォードGTと接触。両者スピンしコースアウトするも、大事には至らずコースに復帰。これで勝負あった。

完勝のアウディ。可夢偉はLMP1初戦表彰台

 結局7号車アウディR18は194周を走りきってトップチェッカー。2位ポルシェ919ハイブリッドの2号車に46秒の差をつける完勝だった。3位には6号車トヨタTS050ハイブリッドが1周遅れで入っている。「遅いクルマをどうやって抜いていくか、初めての経験なので緊張する」と話していた小林可夢偉が、LMP1クラスデビュー戦で表彰台を獲得。最後のスティントを担当したもの可夢偉だった。

 5号車トヨタTS050ハイブリッドはなんとか最後まで走りきり、総合17位でのフィニッシュとなった。

 LMP2クラスは、レース序盤はあたかもスプリントレースのような丁々発止の争い。そんな中、31号車エクストリーム・スピード・モータースポーツがリードを築いていた。しかし、ドライバー交代後は26号車G-ドライブ・レーシングらに首位を明け渡す。しかし終盤には今度は43号車RGRスポーツbyモランドがトップに立ち、そのまま優勝を果たした。

 LM-GTE Proクラスは71号車AFコルセが盤石のポール・トゥ・ウイン、LM-GTE Amクラスは83号車AFコルセが勝利と、GTクラスはフェラーリ勢が強さを見せた。なお、今年からWECへの参戦を開始したフォードGT勢は、67号車フォード・チップ・ガナッシ・チームUKが総合21位、同66号車が総合22位でフィニッシュしている。

 

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この記事について
シリーズ WEC
イベント名 シルバーストン
サブイベント 日曜日 決勝レース
サーキット シルバーストン
記事タイプ レースレポート