エクストリームE第3戦グリーンランド、アンドレッティ・ユナイテッドが優勝! ハミルトン率いるX44はパンクに泣く
アンドレッティ・ユナイテッドは、グリーンランドで行なわれたエクストリームE第3戦アークティックXprixで初優勝を飾った。一方、ハミルトン率いるX44はパンク、ロズベルグ率いるロズベルグXレーシングはマシントラブルに見舞われた。
写真:: Colin McMaster / Motorsport Images
『アンドレッティ・ユナイテッド』のケイティ・マニングス&ティミー・ハンセン組は、グリーンランドで開催されたエクストリームE第3戦アークティックXprixで勝利を収め、開幕から続くニコ・ロズベルグ率いる『ロズベルグXレーシング』(RXR)の連勝に終止符を打った。
スパーク・レーシング・テクノロジー社製の『オデッセイ21 E-SUV』を用いてオフロードレースを行うエクストリームEは、2021年からスタート。地球温暖化による気候変動への喚起を促すべく、顕著にその影響を受けるエリアでレースを執り行う。
開幕戦は砂漠化に悩むサウジアラビア、第2戦は海面上昇により土地が減っていくセネガルで開催された。第3戦アークティックXprixが開催されたグリーンランドのカンゲルルススアークでは、地球温暖化の影響により平均気温が上昇。国土を覆う氷床が融解し、海面上昇に拍車をかけているのだ。
また、同シリーズの特徴とも言えるのが、男女の機会均等を目的としたドライバーラインナップだ。各チームは男性と女性のドライバーをひとりずつ起用し、予選や決勝を通じふたりがドライバー交代を行う「スイッチゾーン」を挟んでコースを2周する。
Catie Munnings, Timmy Hansen, Andretti United Extreme E, Molly Taylor, Johan Kristoffersson, Rosberg X Racing, and Mikaela Ahlin-Kottulinsky, Kevin Hansen, JBXE Extreme-E Team
Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images
第3戦ではレースフォーマットにまたも修正が加わった。ドライバー交代を含めたタイムトライアル形式の予選結果から、全9チームが3つの準決勝ステージに進むことに変わりはない。しかし、予選トップから3番手までが出場する「準決勝1」と予選4番手から6番手が出場する「準決勝2」からそれぞれ上位2チーム、そして予選7番手から9番手が出場する「クレイジーレース(元シュートアウトレース)」から1チームが決勝へ進む方式へ変更された。
決勝のグリッドは開幕戦では3、第2戦は4だったが、第3戦は5へと増えたことになったわけだ。
準決勝1から勝ち上がった2チームは、ルイス・ハミルトン(メルセデスF1)がオーナーのセバスチャン・ローブ&クリスティーナ・グティエレス組の『X44』と、2度の世界ラリー(WRC)王者カルロス・サインツSr.&ライア・サンズ組の『アクシオナ・サインツXEチーム』だった。
準決勝1に出走していたもう1チームである『ヴェローチェ・レーシング』は、エマ・ギルモア(Wシリーズへ出場するジェイミー・チャドウィックの代役)からステアリングを引き継いだステファン・サラザンが岩場の“ロック・ガーデン”セクションで他の2台のインを差しトップに躍り出た。しかし尖った岩の餌食となり、左フロントアームを損傷。決勝進出を逃した。
準決勝2からは、ヨハン・クリストファーソン&モリー・テイラー組のRXRとアンドレッティ・ユナイテッドが決勝へ進んだ。
クリストファーソンがコース脇に立つ旗に接触したことで、RXRには10秒のタイムペナルティが科されたが、3番手のユタ・クラインシュミット&マティアス・エクストローム組の『アプト・クプラ』には大差をつけていたため、決勝へ駒を進めることができた。
残り1席を争うクレイジーレースから決勝へと這い上がったのは、F1王者ジェンソン・バトンがチームオーナーを務めるケビン・ハンセン(ティミー・ハンセンの弟)&ミカエラ・オーリン=コツリンスキー組の『JBXE』だ。
JBXEのライバルとも言えるサラ・プライス&カイル・ルドゥック組『チップ・ガナッシ・レーシング』はレース序盤で右フロントアームを損傷しマシンストップ。スイッチゾーンでのタイヤ装着違反による30秒のタイムペナルティを消化したJBXEのハンセン弟が、トップのオリバー・ベネット&クリスティーナ・ジャンパオリ・ゾンカ組の『XITEエナジー・レーシング』を猛追。着地の衝撃でXITEのマシンに電気的なトラブルが発生したことで、約1.5秒後方まで差を縮めていたハンセン弟が抜き去り、決勝への切符を手にした。
Mikaela Ahlin-Kottulinsky/Kevin Hansen, JBXE Extreme-E Team
Photo by: Colin McMaster / Motorsport Images
迎えた決勝では、各準決勝ステージから勝ち上がった5台が横並びで一斉にスタート。
スタートを決めたX44のローブとRXRのテイラーが序盤のバンプで接触する中、アンドレッティ・ユナイテッドのマニングスがターン1でインを差しトップに躍り出ると、一時的に400kwまで出力を上げる“ハイパードライブ”を緩やかな右カーブ“サンド・ハザード”セクションで使用してリードを保った。その一方、JBXEのハンセン弟とアクシオナ・サインツのサンズは、発進直後に接触して出遅れる形となった。
ターン1で3番手に落ちたローブも同様にハイパードライブを使用し、テイラーとマニングスの間にマシンをねじ込む。そして続くタイトな左コーナーでローブは2台の前に出ることに成功。テイラーが2番手、4番手を走るハンセン弟は3番手のマニングスの隙を伺うも、狭いコース幅とバンクに阻まれた。
トップに立ったローブは2番手に18秒までリードを築き、スイッチゾーンへ。2番手争いをするRXR、アンドレッティ・ユナイテッド、JBXEはテール・トゥ・ノーズで1周目を終えた。
しかし大量リードを稼いだX44だったが、右リヤタイヤがパンク。エクストリームEではスイッチゾーンへの立ち入りが各チーム3人までと制限されており、グティエレスがマシンに乗り込む中、ローブとメカニックふたりでタイヤを交換することになった。
Tyre change at Cristina Gutierrez, Sebastien Loeb, X44
Photo by: Sam Bagnall / Motorsport Images
マニングスからドライブを引き継ぐ中、ハンセン兄が先頭でスイッチゾーンを離れる中、X44は貯金を失い、1周目で大きく遅れたアクシオナ・サインツのサインツSr.とサイド・バイ・サイドでコースへ復帰した。
テイラーからマシンを引き継いだクリストファーソンは、2番手からトップを狙った。横並びで飛んだジャンプで一瞬前に出たが、着地の衝撃でまたもマシンがシャットダウン。マシン再起動にクリストファーソンが追われる中、2番手にJBXEのオーリン=コツリンスキー、グティエレスを抜いたサインツSr.が3番手表彰台圏内まで浮上した。
アンドレッティ・ユナイテッドのハンセン兄はハイパードライブを駆使し、2位のJBXEオーリン=コツリンスキーに2.6秒の差をつけて初優勝。これまで2戦2勝だったRXRの牙城を崩してみせた。また、JBXEはクレイジーレースから勝ち上がり、チーム最高位の2位表彰台を手にした。
その後方では3位争いが白熱。一度抜かれたグティエレスは、最終コーナーで3番手サインツSr.に肉薄するも0.05秒届かなかった。しかもX44は、所定のチェックポイントを逸脱したとして5秒のタイムペナルティが後に科された。
RXRはトラブルに見舞われ5位に沈んだものの、ランキングでは2番手のX44に9ポイントのリードを保っている。
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