エクストリームE第2戦セネガル、元F1王者ロズベルグのRXRチームが初戦に続き連勝…バトンやハミルトンのチームは決勝でクラッシュ
セネガルで開催されたエクストリームE第2戦オーシャンXprix決勝を制したのは、2016年度のF1世界チャンピオン、ニコ・ロズベルグ率いる『ロズベルグXレーシング』(RXR)だった。同チームはサウジアラビアでの初戦に続きRXRは2連勝を遂げた。
写真:: Colin McMaster / Motorsport Images
2016年度のF1世界チャンピオン、ニコ・ロズベルグ率いる『ロズベルグXレーシング』(RXR)が、サウジアラビアでの『エクストリームE』初戦デザートXprixに続き、セネガルで開催された第2戦オーシャンXprixでも勝利を収めた。
2021年からスタートした新たな選手権であるエクストリームEは、電動SUVを用いて競われるオフロードレースで、砂漠化が進むサウジアラビアや海面上昇の影響を受けるセネガルなど、気候変動による被害に危ぶまれる世界5ヵ所において開催される。
またジェンダーの平等を促進すべく、エクストリームEに参戦する9つのチームは、それぞれ男性と女性のドライバーをひとりずつ起用。予選や決勝においても、ドライバー交代を行なう「スイッチ」ゾーンを挿んで、ふたりのドライバーがコース一周ずつ走ることになる。
エクストリームEでは予選結果によって、それぞれ異なる3つのステージに振り分けられる。予選1番手から3番手までのチームが出場し、上位2チームのみが決勝へ進める準決勝第1レースと、同じフォーマットで予選4番手から6番手が出場する準決勝第2レース。ふたつの準決勝レースで勝ち残った計4台が決勝レースに出場できる。また、予選7番手から9番手のチームは最終的な順位を決めるシュートアウトレースに進むことになる。F1やその他のカテゴリー同様に、最終的な順位に応じてポイントが与えられる。
準決勝1レースで勝ち残ったのは、予選1番手だったルイス・ハミルトンがオーナーを務める『X44』のセバスチャン・ローブ&クリスティーヌ・グティエレス組と、ヨハン・クリストファーソン&モリー・テイラー組のRXR。
準決勝第2レースからは、ジェンソン・バトンがオーナーのケビン・ハンセン&ミカエラ・オーリン=コツリンスキー組『JBXE』と、ジェイミー・チャドウィック&ステファン・サラザン組の『ヴェローチェ・レーシング』が決勝に進んだ。ハミルトン、ロズベルグ、バトンとF1世界チャンピオン経験者がオーナーを務める3チームが勝ち進んだことになる。
4台横並びでスタートした決勝は、X44とJBXEの2台が序盤でクラッシュし、対決はRXRとヴェローチェ・レーシングの2台に絞られることになった。
X44は、準決勝ではローブがスタートを担当したが、決勝ではグティエレスが最初にステアリングを握った。グティエレスは、海岸線沿いのストレートでJBXEとヴェローチェ・レーシングの2台を振り切ったものの、ワイドな走行ラインを取ったターン1で、RXRのテイラーにイン側を抑えられクリッピングポイントを逃し、2台は接触。グティエレスは大きく走行ラインを外れた後、ステアリングトラブルと思われる症状でマシンを止めた。
JBXEのスタートドライバーを担当したオーリン=コツリンスキーは、ストレートでヴェローチェ・レーシングに抜かれ4番手に後退した後、ターン1に向けてイン側の走行ラインを選択肢したが、ビーチの起伏にヒットした衝撃で右後輪が脱落しリタイアとなった。
Molly Taylor, Johan Kristoffersson, Rosberg X Racing, Cristina Gutierrez, Sebastien Loeb, X44
Photo by: Charly Lopez / Motorsport Images
RXRのテイラーは、ヴェローチェ・レーシングのサラザンの追撃を振り切り、1.53秒のリードを築き1周目を終えたものの、スイッチゾーンに差し掛かった際に先述のクラッシュの影響で赤旗が出された。
RXRは、スイッチゾーンでテイラーから3度の世界ラリークロス王者であるクリストファーソンにドライバー交代を行なったが、一方ヴェローチェ・レーシングのサラザンはマシンの中でチームの指示を待っていた。
レースディレクターのスコット・エルキンスは、ヴェローチェ・レーシングにドライバー交代を指示し、サラザンに代わりチャドウィックがマシンに乗り込む。決勝レースは仕切り直しとなり、残った2台はもう一度スターティンググリッドに。先にスイッチゾーンにたどり着いたRXRのクリストファーソンがイン側につけた。
再スタート直後から、クリストファーソンは一定時間出力が上昇する「ハイパードライブ」を使い、ターン1ではWシリーズのチャンピオンであるチャドウィックよりも先行することになった。
ターン1以降、クリストファーソンはチャドウィックを徐々に突き放し、最終的には14.676秒差をつけてチェッカーを受けた。RXRは、2戦という短いエクストリームEの歴史の中で勝率100%を維持している。
Molly Taylor, Johan Kristoffersson, Rosberg X Racing
Photo by: Andrew Ferraro / Motorsport Images
一方、7位から9位を決めるシュートアウトレースでも激しいバトルが展開された。レースで勝利を収めたのは、ここまでツキが無かった『チップ・ガナッシ・レーシング』だった。
予選で冷却系にトラブルが出た『アクシオナ・サインツXEチーム』のカルロス・サインツSr.は、横並びのグリッド中央からスタートし、フェラーリでF1を戦う息子サインツJr.に引けを取らないブレーキングをストレートエンドのターン1で見せた。
ティミー・ハンセンが駆るアンドレッティ・ユナイテッドが、コーナーの立ち上がりで失速したサインツSr.に並びかけるも、行く手を阻まれリードを許した。
アンドレッティ・ユナイテッドのマシンは起伏が激しいコース中盤で安定せず、3位のチップ・ガナッシ・レーシングのサラ・プライスが追いすがった。プライスは、狭いミドルセクターでイン側からオーバーテイクを試みたが、ハンセンはその追撃をかわし、スイッチゾーンにたどり着いた。
Sara Price, Kyle Leduc, Chip Ganassi Racing
Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images
アクシオナ・サインツXEチームのサインツは、8.87秒の差をつけライア・サンズにバトンタッチしたが、彼女は無線を接続せずにコースに復帰してしまう。2番手で戻ってきたアンドレッティ・ユナイテッドのハンセンはケイティ・マニングスにマシンを引き継いだ。
チップ・ガナッシ・レーシングのプライスはカイル・ルドゥックにバトンタッチ。ルドゥックは、コース脇の木に接触したことでマシンがシャットダウンしてしまうという”トラブル”により予選を満足に戦えていなかったが、週末を通して速さを見せており、シュートアウトでも3番手からライバル勢を追い詰めた。
半周に渡りルドゥックは2番手のマンニングスに抑え込まれるも、クレストが連なるストレートセクションでエクストリームEのマシン『オデッセイ21』を左に振り、オーバーテイクを完了する。さらにルドゥックは、先行するサンズがワイドに走った隙を見逃さず、勢いそのままにトップに躍り出て、サンズとそれに迫るマンニングスに7.74秒の差をつけシュートアウトレースを制した。
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments