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MotoGPコラム番外編:新カテゴリMotoE、“トロン”の世界にご招待?

MotoGP第9戦ドイツGPで、新たなカテゴリーMotoEが開幕を迎えた。電動バイクによる新時代のレース、その魅力を現地からお伝えしよう。

Tech3 E-Racing bike detail

Tech3 E-Racing bike detail

Gold and Goose / Motorsport Images

 第9戦ドイツGPで大きな注目を集めたもののひとつが、MotoEこと、FIM Enel MotoE World Cupの開催だ。

 当初はシーズンのもっと早い時期にスタートする予定だったが、ヘレステストの際に火災で機材が焼失するという不幸な出来事に見舞われたために、スケジュールを組み直し、今回のドイツGPでの開催がシーズン第1戦となった。

 MotoEは、イタリアのエネルジカ・モーターカンパニーが製作する電動バイク、エネルジカ・エゴ・コルサで争われるワンメイクマシンのカテゴリーだ。タイヤも、ミシュランが公式サプライヤーとなっている。

■MotoEの魅力……それはカッコよさ?

 電動バイクという特性上、コースサイドで観察している際に聞こえてくる走行「音」は、マシンが風を切る音や、モーター音が近づいて去って行く際のかすかなドップラー効果、といったものがせいぜいのところだ。

 レシプロエンジン特有の排気音がまったくしないために、「ロードレースの未来形かもしれないけれども、少なくとも自分の未来ではない」等といった表現で、この競技に対する違和感を表明する人々もいる。ただし、コース上を疾走するマシンを至近距離で観察すれば、静謐だからこそバイクが高速で駆け抜けていく迫力を明確に感じ取れる、という側面があるのも事実だ。

 コーナー進入時のサスペンションの挙動や、加速時にチェーンがピンと張る様子、効率的なラインを取って旋回していく際にタイヤがゼブラに乗り上げる音なども、まるで手に取るようにつぶさに聞こえてくるような気さえする。騒音とも言えない音量で周波数の高いモーター音が目の前を走り去る様子は、まるで映画『トロン』が現実の世界に飛び出してきたような感もある。いわば、〈厨二病〉ごころを刺激するカッコよさ、とでも言えばいいだろうか。

 その反面、逆説的な言い方になるが、MotoEの電動バイクレースは、轟々と響く排気音というわかりやすい迫力の「記号」を持たないだけに、テレビや動画配信などの映像では、その魅力を充分に伝えきれないのでないか、とも感じた。ただし、選手とマシンの高速域での激しいバトルこそが二輪ロードレースの魅力、という本義に立ち返るならば、「音」という要素はレースの魅力を語る際の充分条件ではあっても必要条件ではないのかもしれず、その意味では画面上に緊迫した争いが映し出されさえすれば、それで充分に「娯楽」としては成立しているのかもしれないのだが。

 参考までに、エネルジカ・エゴ・コルサの定格では、最高速度は270km/h。今回のドイツGPウィークでの最高速は、決勝中に6台のマシンが228km台を記録している。Moto3の場合は214.0km(小椋藍)、Moto2は257.8km/h(ホルヘ・ナバッロ)という数字と比較しても、MotoEのスピードがもたらす迫力は結構なものであることがよくわかる。一方、ラップタイムの記録はMoto3が1分26秒044(2019年:マルコス・ラミレス)であるのに対して、MotoEは1分27秒456(ニキ・トゥーリ)とやや劣っている。これは、MotoEの車重が260kgということもおおいに関係しているだろう。

 また、MotoEバイクのこの大きな重量は、意外なところにも影響を及ぼすことが今回の決勝レースで判明した。

 MotoEの決勝レースはバッテリー容量等を勘案して周回数が短く、今回の場合は全8周が予定されていた。日曜未明から午前の雨により、レースはウェット宣言が出されてさらに1周短くなり7周に減算(ただし、レースそのものはスリックタイヤのドライコンディションで行われた)。レース開始後は、転倒したマシンがグラベルを滑走し、衝突したエアフェンスを破壊してしまったために赤旗中断。5周目でレースが成立した。260kgの重さを持つバイクの慣性モーメントに対応するには、より広いランオフエリアと強靱な構造で衝撃吸収力も高いフェンス材が求められるようになっていくかもしれない。

 ともあれ、史上初のMotoEクラス優勝者はニキ・トゥーリ(Ajo MotoE)。2位はブラッドリー・スミス(One Energy Racing)、3位はマイク・ディ・メリオ(EG 0.0 Marc VDS)という結果になった。

■MotoEマシンは戦い方も別物か

 レース後の彼らに、コンベンショナルなレーシングバイクとMotoEでの戦い方の違いについて訊ねてみた。

「数週間前にバレンシアで模擬レースをやったけれども、そのときと実戦はやはり違っているので、実際にレースを戦うまでわからないことがあるのは面白いね。車重があるのでオーバーテイクの際には難しい面も多いけど、速さのあるバイクだからバトルは愉しいよ」(トゥーリ)

「エンジンキャラクターは、モーターのバイクでもレシプロエンジンのバイクでも、正直なところ、ほぼ同じ。最大の違いは、MotoEのバイクが260キロもあること。だから、誰かに抜かれたときも、アウト側でかなり近いところに張りついていなければならない。距離を開くと、バイクが重い分スピードが一気に落ちるんだ。今は、戦い方のコツやマシンのポテンシャルを最大限に発揮する方法を、皆が模索している最中だね」(スミス)

「常にトップグループで戦うように心がけなければいけない。レース周回が短いので、ミスをするとそこから復帰を狙う周回の余裕がない。だから、Moto3のようにいつもトップ集団で走らないといけないんだ」(ディ・メリオ)

 次回のMotoEは第11戦オーストリアGPで開催される。その後、第13戦サンマリノGPと最終戦バレンシアGPでそれぞれ2レースを行い、計6戦で年間総合優勝を争う。

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