スーパーフォーミュラ、F1彷彿とさせる新エアロキットの完成度に自信。追い抜き増加は間違いない?
スーパーフォーミュラは鈴鹿での開発テストで新ボディワークのテストを実施したが、関係者はその成果に相当な手応えを掴んでいるようだ。
写真:: JRP
鈴鹿サーキットで行なわれるスーパーフォーミュラ最終ラウンドに先駆けて、主催者の日本レースプロモーション(JRP)による第6回カーボンニュートラル開発テストが10月26日(水)、27日(木)にかけて実施された。
今回のテストでは引き続きカーボンニュートラル燃料や新タイヤのテストも実施されたが、何と言っても今回の目玉は新投入のボディワーク。フロントウイングやリヤウイング、そしてサイドポンツーンの形状などが新しくなっている。
フロントウイングに目を向けると、メインプレーンの上につけられた2枚のフラップの形状が波打つような曲線となっており、翼端板も従来のような垂直ではなく、より曲線的でメインプレーンと一体化したような形状になった。これは新規則となった今季のF1マシンとも似たコンセプトに見える。
これまでは翼端板を通過した空気が車体の外側に大きく膨らむような形になっていたものの、新しい翼端板ではフロントタイヤの真横付近に真っ直ぐに空気が流れるようになったようだ。
リヤウイングに関しても、これまた曲線的なレイアウトになっている。乱流を生み出す翼端渦をなくすため、F1のように翼端板とフラップを完全に一体化するという案も出たようだが、フラップ角度の調整が難しくなるなど懸念もあったため、翼端板がわずかに上方に飛び出したような形状となっている。
CFDデータから見る開発車両の特徴
Photo by: JRP
こういったコンセプト変更による乱流の減少は、CFDデータからも明らかとなっていた。写真の上にある図は、先行車から受ける後流の影響を可視化したものだが、開発車両の方が後方車両付近に濃い青色の部分が多く、影響が少なくなっていることが分かる。また、車両を上から覗いた下の図を見ると、後流の帯の幅も細く、影響の少ないものになっていることが分かる。
逆に言えば、これまではこの帯が太く(影響が)強いものだったため、お互いのラインがクロスする際に後方車両は局地的にダウンフォースが抜けるような形になってしまっていた。こういった現象が起きにくくなることで、コーナーでも思い切ってバトルを仕掛けられることが期待される。
永井洋治テクニカルディレクター(TD)によると、これらのCFDデータと今回の実走テストで得たデータには大きな食い違いがなかったという。実際、今回のテストでステアリングを握った石浦宏明も「想像していたよりも近づけました。全く乱気流を感じにくくなっていて、S字の中でラインがクロスしても全く平気でした。塚越(広大)選手がスプーンの2つ目で僕にぴったり付いた状態で、130RまでにOTSを使わなくても横まで来そうな感じになり、これはだいぶ効果があるなと思いました」とコメントしている。
Hiroaki Ishiura
Photo by: JRP
充実のテストを終えて頬を緩ませる永井TDは「追い越しに関しては100点。絶対いけると思います」と、新エアロでの追い抜き増加に自信を見せた。
また乱流対策を講じることでウイングで得られる絶対的なダウンフォース値が減少するとなると、フロアから得られるダウンフォースに頼らざるを得ず、その結果としてマシンが激しく上下動するポーパシングが発生してしまう可能性がある。今季序盤のF1がまさにその典型例だ。しかし永井TD曰く、SFの開発車両ではフロアに頼り過ぎないようなコンセプトとしているため、ポーパシングは起きていないという。
このように、新しいボディワークはテスト関係者から概ね好評となっているが、これが来季正式に導入されることになるかどうかに注目だ。なお、スーパーフォーミュラは11月にもてぎで再度開発テストを実施する予定である。
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