今季からハロ搭載。今のF1は、安全対策に過剰になりすぎているのか!?
レッドブルのレーシングアドバイザーであるヘルムート・マルコは、今のF1の安全対策は過剰すぎると考えている。
写真:: Sutton Images
レッドブルのレーシングアドバイザーであるヘルムート・マルコは、今年からF1マシンへの装着が義務付けられたコクピット保護デバイス”ハロ”を改めて「醜い」と批判。最近のF1における安全への対策は過剰すぎると指摘している。
「現在の安全に対する概念は、あまりにも誇張されすぎている。シンガポールでも、モンテカルロでも、そしてメルボルンでも、このハロは取り付けられる。このハロはとても醜い。信じられないほどだ」
マルコはそう語る。
「しかも、(ハロは)よく考えられたモノではない。マッサのような事故は、まだ起きる可能性があるからだ。だいぶ制限されるだろうがね」
またマルコは、事故が起きた時にどのようにドライバーを救出するのか、その対策も不十分であると指摘する。
「ドライバーが狭い場所に押し込められているということについても考えなければいけない。事故が起きた時、その衝撃やGによって、ドライバーが背中を痛める可能性がある。しかしハロが付いたマシンから彼を引き出すと、神経に損傷を与えてしまう可能性がある」
「これはF1が行くべき方向ではない」
ハロに開閉できるような機構を備えればいいのではないかと尋ねると、マルコは次のように語った。
「今のF1マシンは、すでに約735kgもある。これはスポーツカーのレベルだ]
「F1マシンは軽くなきゃいけない。これに戦闘機スタイルのキャノピーを装備すると、15〜20kgは重くなってしまうだろう。それはいい考えではない」
また、次のように問題点をさらに指摘した。
「ハロは、飛んでくるホイールから(ドライバーを)保護するためのモノだ。しかし、インディカーでのジャスティン・ウィルソンのクラッシュのように、車体のパーツが飛んできた時には、ハロにぶつかることで細かく砕け、さらに危険な状況になってしまう可能性もある」
レッドブルはハロに対抗して、エアロスクリーンの導入を主張してきた。FIAはハロの導入を採用したが、エアロスクリーンも依然として開発が進められているようだ。
「これ(エアロスクリーン)も、同じように進められている。しかし、それはFIAの仕事だ。チームが開発するようなモノではない」
そうマルコは語った。
「我々はこれまで、いくつかの死を経験してきた。(マルクス)ホッティンガーは、ホッケンハイムでホイールが当たり、首を損傷して命を落とした(1980年のF2レースでのこと)。最近では、アメリカでヘンリー・サーティースの事故が起きた」
「しかし、なぜ(ハロの導入が)F1なのだろうか? サーティースの事故は、当時のF2規格のレースだった。しかもインディカーのレースは、F2とは全く比較することができない。なぜなら、インディカーはオーバルコースで行われていて、平均速度も圧倒的に速いのだ」
「F4はどうだろうか? 経験の浅い、若いドライバー同士が走っている。しかし、そこにハロは取り付けられていない。こういう小さなマシンの場合、ハロをどう考えればいいだろうか?」
そうマルコは語ると共に、昨年の事故で両脚を切断する重傷を負ったビリー・モンガーについて語った。
「マシンが転倒してしまったり、ビリー・モンガーのような事故(前を行くマシンに追突し、マシン同士を引き離すことができなかった)があった場合、ハロが付いたマシンから、どのようにして彼らを救い出すのだろうか? モンガーは脚を切断しなければならなかったのだ」
Interview by Christian Nimmervoll
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