ホンダ浅木泰昭が振り返るF1 2022年前半戦。レッドブルの試合巧者ぶりを実感……一番の驚きは「メルセデスの苦戦」
ホンダのレース活動を司るHRCで四輪レース開発部長を務める浅木泰昭が、F1の2022年シーズンの前半戦を振り返った。
写真:: Motorsport.com / Japan
第13戦ハンガリーGPで前半戦を終えた2022年のF1。レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリへパワーユニット(PU)を供給する「レッドブル・パワートレインズ(RBPT)」の技術サポートを行なうホンダ・レーシング(HRC)の四輪レース開発部長、浅木泰昭がここまでのレースを振り返った。
2022年のF1は、テクニカルレギュレーションが”オーバーホール”され、グラウンドエフェクトカーが復活を遂げた。過去には大きなレギュレーション変更を機にスターダムを駆け上がるチームもいたが、やはり前年に壮絶なタイトル争いを繰り広げたレッドブルとメルセデスの二強はまず堅いと思われた。
しかしフタを開けてみると、開幕から優勝争いを繰り広げたのはレッドブルとフェラーリ。メルセデスは、第2戦サウジアラビアGP予選でルイス・ハミルトンがQ1落ちを喫するにまで低迷した。
その衝撃はF1の現場で長い時間を過ごした浅木にとっても、大きかったようだ。
「一番びっくりしたのは、メルセデスが本来の能力を発揮できていないということですね」
浅木はシーズン前半戦を振り返り、開口一番にそう語った。
「フェラーリが強くなるというのは想定内でしたけど。結果としてフェラーリとレッドブルの一騎打ちになったのは驚きでした」
Max Verstappen, Red Bull Racing RB18, 1st position, arrives in Parc Ferme
Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images
開幕から数戦はレッドブルとフェラーリによるシーソーゲームが続き、今年のF1も2チーム、そしてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)というふたりのドライバーによる一騎打ちという展開にもつれ込むかにも思われた。
しかし、フェラーリは戦略ミスやドライバーエラーによる取りこぼしが続き、ドライバーズランキングでは首位フェルスタッペンと2番手ルクレールの差は80pt。レッドブルが13戦中9勝を挙げている一方で、フェラーリは今季ポールポジションを8回記録しながらも、勝利数は4に留まっている。
それにより、コンストラクターズランキングでもレッドブルは2番手フェラーリに対して97ptと大きく差を開いている。浅木は、実際のパフォーマンス差が拮抗する中でレッドブルがこれほどまでにポイント差を開いている理由には、レッドブルの”レーシングチーム”としての強さがあると考えている。
「実際にフェラーリと戦うにあたって、レッドブルが試合巧者……ミスが少ないチームだということで、本来の力以上にポイント差が開いています」と浅木は続ける。
「コンストラクターズ、ドライバーズともにチャンピオンを狙える位置にいるので、このまま戦っていきたいと思います」
「本当のスタート時はトラブルが出て困ったこともありましたが、初期トラブルをそこで解決できたので、今があると思っています」
2022年のF1はマシンのシャシーが大きく変わったが、PUの面では今季から新配合の燃料を使用することとなった。そうしたチャレンジにもホンダとして、HRCとして上手く対応できたと浅木は言う。
「2022年のレギュレーションで一番変わったのは、E10燃料といって、アルコールを10%加えた燃料ということになっています」
「2026年からは完全にカーボンニュートラル燃料になりますので、(2022年から)10%入れたところで中途半端のように思いますが、これを決めた当時は、F1も積極的にカーボンニュートラルに取り組むという方向になっていった頃だと思います」
「技術的にいうと、燃料が持っているカロリーが減るんです。カロリーが減って馬力が下がるということじゃ困るんです。そしてアルコールが入るとノッキングという異常燃焼が起こりにくくなります。つまり外見は変わらないですが、中身は大幅に変えています」
「燃料に対応するところも、他社の性能と比較すると良い結果を出せていると思います。エンジンのパワー、発電量ともに十分に戦える分析結果になっていますので、それが今の成績につながっていると思います」
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