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インタビュー

福住仁嶺がGT300王座獲得と共に手にした“新たな改善点”

初めての“ハコ車”レースとは思えないほど安定した走りをみせ、高木真一とともにGT300王者に輝いた福住仁嶺。本人も「安定した走りができた」という2019シーズンの軌跡を追った。

福住仁嶺(#55 ARTA NSX GT3)

Masahide Kamio

 スーパーGT(GT300クラス)に初めてフル参戦したシーズンで、いきなりチャンピオンを獲得する偉業を成し遂げた福住仁嶺。参戦1年目とは思えないほど安定した走りで毎戦ポイントを積み重ね、高木真一と共に2019年のGT300クラスシリーズチャンピオンを獲得した。

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 開幕戦から#55 ARTA NSX GT3は安定したパフォーマンスを発揮し“チャンピオンに値するレース運び”をシーズン通して披露してきたが、その裏で福住は、様々な葛藤と戦いながら歓喜の瞬間を目指した。

「最初ゴールした時は『チャンピオン獲れて良かった』というくらいの気持ちで、正直『獲れて当たり前』というのは自分の中でもありました。クルマのポテンシャルとタイヤのマッチングもすごく良かったので、大きな失敗しなければチャンピオンを獲れるだろうと、最終戦の時は正直思っていました」

「実際にチャンピオンを獲得した瞬間から、あまり興奮することもなく“本当にひと安心”という気持ちでしたね」

 そう福住が語った“ひと安心”。そこには様々な想いが込められていた。

開幕戦からパフォーマンスを発揮できるよう、配信されるオンボード映像は“全てチェック”

#55 ARTA NSX GT3

#55 ARTA NSX GT3

Photo by: Masahide Kamio

 ここ数年はヨーロッパを拠点にしてGP3やFIA F2に挑戦してきた福住。しかし、2019年は日本に活動の場を移し、スーパーフォーミュラにフル参戦すると共に、スーパーGTのGT300クラスに#55 ARTA NSX GT3からレギュラーエントリーを果たした。

 特にスーパーGTの所属チームは、ここ数年チャンピオン争いに絡んでいる55号車のARTA。さらにパートナーは参戦歴20年以上の“大先輩”である高木真一。そして何より、自身としては悔しい結果に終わった2018年を挽回するべく、GT300でも結果を残したいという強い気持ちがあった。

 とにかくチームの足を引っ張るようなことはしたくないーー。

 そういった想いもあり、福住は“スーパーGTというレース”をしっかり分析してシーズンに臨んだ。

「僕の中では“とにかく確実なレースをしよう”というのを心がけていました。完走は絶対しないといけないし、ポイントを確実に獲らなければいけないと意識していました。それは2018年のLEON(#65 LEON CVSTOS AMG)の成績をずっと見て勉強したことでもありました。だから『最低でも絶対にポイントを獲るんだ!』と常に心がけていましたし、チームもその意識は非常に高かったです」

「(2018シーズンの)ポイントの推移はチェックしていましたし、各レースのハイライト動画も見るようにしていました。あとレース後にGT300クラスの数台のオンボード映像も公開されるので、特にスタート直後のGT500が来た時にどうやって避けているんだろう? というのを勉強しました。だから、割と最初から違和感なくレースができたと思います」

 その結果、55号車は開幕2戦連続で2位表彰台を獲得し、シーズン序盤からポイントランキング首位に立つ活躍を見せた。シーズン前のテストでは芳しい結果を残せていなかっただけに、福住も開幕戦での2位表彰台は「チャンピオンシップを考えると良い流れを作れた」と自信になった瞬間だったという。

2019年の中で“一番悔しかった”第6戦オートポリス

高木真一と福住仁嶺(#55 ARTA NSX GT3)

高木真一と福住仁嶺(#55 ARTA NSX GT3)

Photo by: Masahide Kamio

 その後も着実な走りを心がけ、その中でも結果を残していく強さをみせた福住。しかし、彼が一番悩み苦しんだレースがあったという。それが第6戦オートポリスだ。

「2019シーズン、高木さんに勝てなかったコースが一箇所だけあったんです。それがオートポリスでした。高木さんが出したQ1のタイムを僕はQ2で抜くことができなかったんです。その週末は練習走行の時から本当にうまく乗れなくて、セットアップ云々の話ではなくて、足りないところがあったんだなと思いました。あの週末が2019年の中で唯一悩んで落ち込んで……という感じでした。あのレースはすごく悔しかったです」

 決勝レースでもアンセーフリリースでドライブスルーペナルティを受けた55号車。最終的に6位に入りポイントは獲得できたものの、福住にとっては大きな課題が残ったレースだった。

 その悔しさを挽回してみせたのが、第7戦SUGO。前戦の悪い流れを一掃するようなアタックをQ2でみせ、GT300クラスの中で一番重いウエイトハンデを背負いながらも、2番グリッドを勝ち取った。

「SUGOも多少不安はありましたけど、ウエイトハンデが半分になって予選で良い位置に付けることができました。そこからうまく流れも乗ることができたと思います。決勝でのタイヤ選択も本当にうまくいきましたし、セーフティカーのタイミングも僕たちにとってはラッキーでした」

 決勝はウエットコンディションとなったが、後半スティントを担当した福住は冷静なドライビングを披露し、念願のシーズン初勝利をマーク。これでランキング2位との差を大きく開き、最終戦もてぎで悲願のチャンピオンを手中に収めた。

安定はしていたが、取りこぼしたポイントもあった2019シーズン

#55 ARTA NSX GT3

#55 ARTA NSX GT3

Photo by: Masahide Kamio

 地道に努力を積み重ねてきた結果がこのタイトル獲得につながった福住だが、改めてシーズンを振り返ると“完璧なシーズンだった”とは考えていない様子。取りこぼしたポイントは少なからずあったという。

「普通にクルマのポテンシャルで見れば、K-tunes(#96 K-tunes RC F GT3)は本当に手強かったと思います。僕も彼らのレースはよく見ていますけど、2019シーズンはセーフティカーのタイミングとかが本当に彼らは合っていなかったんですよね。最終戦も予選でミスがなければ、もっと前のポジションからスタートして脅威になっていたと思います。そういった取りこぼしがなければ、もしかすると彼らにタイトルを獲られていたかもしれません」

「あと……やっぱり初音ミク(#4 グッドスマイル初音ミク AMG)はすごいですね。どんな状況でも必ずポイントを獲ってきて攻めるところは攻める。レースの仕方もうまいし、GT500の行かせ方も本当にうまいです。あのチームからは勉強することが多かったです」

「僕たちもシーズンを振り返って、ドライブスルーペナルティを2回とられています。やっぱりあれは勿体無かったですし、第4戦タイも予選5番手からスタートして決勝は9番手に下がってしまいました。あそこも色々できたことはあったのかなと思いました」

 自分たちが勝利を収めたシーズンでも常に相手を分析し、良いところは“吸収”していくーー。そういった貪欲な姿勢が、チャンピオンを獲得できた要因のひとつであり、何より福住が見せてきた“安定感”の源となっていたのだろう。

「2020シーズンは悔いのないレースを1戦1戦していきたい」

#55 ARTA NSX GT3

#55 ARTA NSX GT3

Photo by: Masahide Kamio

 もちろん、2020年もさらなる挑戦が続いていく福住。まだ参戦カテゴリーについては明らかになっていないが、少なくとも2019年に課題として残った部分を克服できるレースをしたいと語った。

「僕らは与えられた環境でベストを尽くす……それだけですね。もちろん目指しているものは(カテゴリー問わず)1位でありシリーズチャンピオンです。もし2020年にGT500クラスに乗れることになったら、GT500ルーキーイヤーでも成績は残したいなと思っています」

「また2019年はSFでも走らせてもらって、(山本)尚貴さんのおかげもあってチームチャンピオンを獲ることができました。僕たちのポテンシャルの高さを証明できましたし、最終戦鈴鹿では3位とは言え、表彰台を獲得して終わることができました。少なからず次のシーズンに繋げられる結果だったと思います」

「2020年は取りこぼさないレースというか、本当に1戦1戦を大事に戦っていきたいです。まだどのレースに出ることになるかは分かりませんが、とにかく“後悔のないレース”を常に心がけていきたいです」

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