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ホンダF1、実は2021年にカーボンニュートラル燃料を実用化していた! HRC浅木部長「技術を先取りしたかった」

ホンダF1は2021年の段階で、カーボンニュートラル燃料を実際にF1で使っていたという。ホンダの四輪レース開発部部長が語った。

Max Verstappen, Red Bull Racing RB16B, leaves the garage

写真:: Simon Galloway / Motorsport Images

 2026年からF1は全車100%カーボンニュートラル燃料を使うことになっている。ただHRC(ホンダ・レーシング)の浅木泰昭四輪レース開発部部長によれば、ホンダのF1パワーユニットは、2021年シーズンの段階で既にカーボンニュートラル燃料を使っていたという。

 地球環境の悪化を防ぐため、世界中でカーボンニュートラル化が叫ばれている昨今。これを目指すために、二酸化炭素を排出するエンジン車の販売を将来的に禁じることを決めている国も多い。

 この流れはモータースポーツ界にも当然及んでおり、完全電動マシンによるレースであるフォーミュラEが立ち上げられるなどした。またホンダも、会社としてカーボンニュートラル技術開発にリソースを振り分けるために、2021年限りでF1活動を終了することを決めた。

 当初カーボンニュートラルを実現するためには、地球上を走る全ての自動車を電動車にするのが最善の策だという見方が強かった。しかし時代が進むにつれ、それは現実的ではないということも明らかになってきた。電動車で使う電力をどう作るのか、そして充電設備をどうするのか……そういった問題が表面化し、内燃機関の可能性が改めて見直されることとなったのだ。

 そこで重要な役割を果たすのがカーボンニュートラル燃料である。この燃料は大気中の炭素を取り込み、それを合成して作る燃料だ。エンジンで使えば当然二酸化炭素を排出するものの、製造する過程で大気中の炭素を取り込んでいるため、実質的には空気中の二酸化炭素量が増えないということになる。

 このカーボンニュートラル燃料はまだまだ開発途上であるが、世界中のモータースポーツでこのカーボンニュートラル燃料を使い、開発促進に役立てるという動きが強い。スーパーGTやスーパーフォーミュラでは実用化に向けた準備が進められていて、F1では2026年シーズンから全車がこのカーボンニュートラル燃料を使うことが決まっている。

 ただ2021年の時点で、ホンダはカーボンニュートラル燃料を先行して使っていたという。

「昨年F1を撤退する前に、ホンダとしてはカーボンニュートラル燃料を使っていました。ホンダが燃料の成分の一部を用意して、それをエクソンモービルさんにブレンドしてもらっていたのですが、我々が用意する部分はカーボンニュートラルのモノを使っていたりしました」

 HRCの浅木四輪レース開発部部長はそう語った。

「そこで出来上がった燃料は、化石燃料由来のガソリンと同じ成分です。なんとしてもカーボンニュートラルを一刻も早くやろう。そういう姿勢でやっていました」

「絶対にその方向に行くだろうという、私の読みでその燃料を使うことにしました。そして、ホンダとしてはその技術を先取っていきたいという思いもありました」

 ではホンダが用意したカーボンニュートラル燃料とはどんなモノなのか? そう尋ねると、詳細の明言は避けつつも、浅木部長は次のように説明した。

「カーボンについては大気中から成分を持ってきました。やり方は何種類かありますけどね」

「例えばバイオ由来で作る場合には、人が食べられない部分で作らなければいけないということです。例えばトウモロコシなどで燃料を作ってしまうと、人が飢えてしまう可能性があります。ですので、昨年使っていたのは、食物にならない植物から作ったバイオ燃料でした。食べられないと分類されている規定に則ったモノから作っていました」

「そういう原料をホンダとして開発しました。それを使ってブレンドして、F1に届け出ている規格通りの成分にするのはエクソンモービルさんでした」

「我々が調達した成分は、燃料の主成分だったと思います。燃料に占める割合の中では、それが一番多かったんではないかと思います」

「その技術を、ホンダとしてリードしたかったわけです。だから開発を指示して、担当者が一生懸命やってくれました。先進技術研究所の知見をもらって、レースで使う量をどう確保するかということについては我々が中心になって調整しました。オールホンダで作り上げたものです」

 現時点ではこのカーボンニュートラル燃料は非常に高価であるものの、レースで使うことで製造量を増やし、市販車で使う量を作るまでの繋ぎとしたいという浅木部長。そうすれば、今世の中を走っているガソリン車にも、そのまま使うことができるはずだ。そうすれば世の中の流れも、EVからやはりガソリン車へ……という流れに戻るかもしれない。

■レースは環境悪ではない……岸田総理にそう訴えた浅木部長

 浅木部長は、F1日本GPを訪れた岸田文雄内閣総理大臣に、現在のF1が取り組んでいるカーボンニュートラル化へ向けた動きを直接説明。そして岸田総理はF1を訪れた後の会見で、「F1においても2026年から合成燃料を使うなど、技術においても様々な進化が予定されているわけですが、こうした最先端の技術がモータースポーツにおいても活用されているという話も聞かせていただきました。正に走る実験室と言われるにふさわしい技術開発の最前線であるという姿も見させていただいたところです」と語った。

 岸田総理との会話について、浅木部長は次のように振り返る。

「実は私が、岸田総理に説明をさせていただきました。2026年からF1では、強力なモーターとバッテリー、そしてカーボンニュートラル燃料になるということを話させていただきました。その時には総理の側近の方からも『エンジンは残るんですね!』というお言葉をいただきました。その時の話が、文字になって発信していただけたんだと思います」

「そういう説明をさせていただけたのは、ありがたいことです。レースは環境悪ではないということを、一生懸命言わせていただけました。それをご理解いただけたとしたら、とても有意義だったと思います」

「総理にF1を見ていただけたのは、ありがたいことだと思います。前代未聞のことですからね。客層が若返ったのも含めて、世間からの見られ方が違う方向にいけばいいと思います」

 浅木部長は、カーボンニュートラル燃料を実用化することで、環境対策を行なうことはもちろん、レースのワクワク感を今後も残していくことができるはずだと期待する。

「エンジンは脈動があって、動物の心臓の動きとよく似ています。その脈動が生物である人間の感情を揺さぶるのを僕は感じているんです」

「鼓動があるモノって、動物とエンジンくらいではないでしょうか。だから何か直結するモノがあるんじゃないかと思っています。そういう鼓動、脈動のないレースが生き延びていけるのかと、そう疑問に思っています」

「脈動が残るということは、モータースポーツの今後に密接に影響するんではないかと思います」

 
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