F1分析|アロンソ&ノリス、中団グループを置き去りにする好ペース……ベッテルの終盤”ミディアム”選択は正解?
F1イギリスGPの決勝レースでは、フェルナンド・アロンソとランド・ノリスが好ペースを発揮し、ライバル勢を置き去りにした。またアストンマーチンのセバスチャン・ベッテルは、最後尾から追い上げポイントを獲得したが、終盤ソフトタイヤを選択していれば、より好結果が期待できたかもしれない。
Fernando Alonso, Alpine A522, Lando Norris, McLaren MCL36
Glenn Dunbar / Motorsport Images
F1イギリスGPは、既報の通りフェラーリのカルロス・サインツJr.が優勝。F1での自身初勝利を手にした。そんな中、セーフティカー明けのレース終盤は手に汗握る展開となり、ハードタイヤを履いたままのシャルル・ルクレール(フェラーリ)が、迫り来るライバルたちを懸命にブロックした。
最後の最後にルクレールを苦しめたのが、アルピーヌのフェルナンド・アロンソとマクラーレンのランド・ノリスだった。ふたりはあの手この手でルクレールを追い詰めたが、最終的にはソフトタイヤのデグラデーションが大きくなったか、ルクレールを攻略するには至らなかった。
ただこのアロンソとノリスは、中団グループから頭ひとつ抜け出したパフォーマンスを、今回のレースで披露した。下のグラフを見ていただきたい。
2022年F1イギリスGP決勝レースペース分析:中団グループ
Photo by: Motorsport.com / Japan
このグラフでは、アロンソのレースペースをピンク色の折線、ノリスのレースペースをオレンジ色の折線で示している。そしてグラフの上に行くにつれて、ペースが速いことを表す。
これを見ると一目瞭然。このふたりは、他の中団グループのマシンとはひとつレベルの異なったペースで周回数を重ねたということがお分かりいただけるだろう。
この2台の次点となるのが、緑の折線で表したセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)だ。ベッテルも安定したペースで周回を重ねたが、1周あたりほぼ0.5秒ずつアロンソやノリスよりも遅かった。
ベッテルは予選の失敗により18番手からスタート。そこから見事なリカバリーを見せ、9位入賞を果たしたわけだ。これだけ聞けば大成功と言えそうだが、実は7位フィニッシュの可能性もあった。
ベッテルはリスタートを7番手で迎えた。しかしその後、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とミック・シューマッハー(ハース)に立て続けに抜かれてしまった。これは本人などからの言及はないのだが、おそらくタイヤ選択の差によって生まれたものではないかと思われる。
フェルスタッペンとシューマッハーは、セーフティカー中にピットインし、新品のソフトタイヤに交換した。一方のベッテルは、ほぼ新品(1周だけ皮剥きしていた)のミディアムタイヤに交換。当然ミディアムタイヤの方が温まりにくいはずで、その差がこの順位変動に現れていたのではないかと思う。
現にベッテルは一度タイヤが温まると徐々にペースが上がっていき、最終ラップに自己ベストタイムが出ている。対するフェルスタッペンとシューマッハーは、ペースは横ばいか若干落ちていく状況……もちろんバトルをしたためペースが落ちたという面もあろうが、最終盤にはベッテルよりもペースが遅くなっている。
セーフティカーが入った際、残りの周回数は14周……ソフトを履くのか、ミディアムを履くのかは、難しいところだった。ただこれを見るとソフトを選んだのが正解。ただ、リスタートがもう数周早ければ、ベッテルなどミディアムタイヤを選んだドライバーたちに運が向くこともあったかもしれない。
さて、14位に終わった角田裕毅(アルファタウリ)は、レース中盤まで入賞圏内を走っていたが、チームメイトのピエール・ガスリーと接触したことでポジションを落とすこととなってしまった。その後もダメージによりペースの面で苦しんだと発言している。しかしレース序盤のペースも、かなり厳しいもの……これはガスリーも同様である。
今回のアルファタウリは初日から苦戦していたが、ついに決勝まで、その問題を解決することができず、ペースはハース勢にも及ばなかった。そのため、入賞は厳しい状況だったのは間違いない。ただ展開は明らかに彼らに向いていたため、もし相打ち前のポジションを最後までキープすることができていれば、大金星とも言える結果を手にしていたことだろう。そういう意味では実に惜しい結果だった。
最後に、青い折線で示されているのが、フェルスタッペンのレースペースだ。レース序盤は圧倒的なペースで走っているのがお分かりいただけるだろうが、その後ペースが一気に下落。1周あたり1.5秒も遅くなっている。この1.5秒が、アルファタウリの翼端板によって受けたダメージの影響と言っていいだろう。
ただそんな状況でも、フェルスタッペンのペースは十分入賞圏内に足るものだった。大きなダメージを負っても中団チームと同等のパフォーマンスを持っているというのは、末恐ろしいところだ。
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