2022年F1前半戦総括|角田裕毅、マシンのパフォーマンス不足に苦しみ入賞3回。しかしガスリーとの差は縮まった?
前半戦を終え、3回の入賞という結果で終えたアルファタウリの角田裕毅。昨年の同じ時期に比べ苦戦しているように見えるが、チームメイトのピエール・ガスリーとの差は縮まっているように思える。
写真:: Peter Fox
2022年のF1も、先日のハンガリーGPをもって前半戦が終了。束の間のサマーブレイクに入っている。
F1参戦2年目のシーズンを過ごしている角田裕毅(アルファタウリ)は、前半の13戦を終えたところで入賞3回、11ポイント獲得という成績を残している。チームメイトのピエール・ガスリーは、入賞回数は同じく3回であるものの、16ポイントの獲得である。
角田は昨シーズン、13戦を終えた段階では5回の入賞と18ポイント獲得という記録を残しており、それと比較すれば見劣りするように思える。しかしチームメイトのガスリーが、昨年同時期では48ポイント(入賞9回)を獲得していたことを考えれば、今季のマシンは昨年に比べて相対的に劣っていると判断することができるだろう。一方で角田とガスリーのポイント差は明らかに縮まっており、それだけでも今季の角田が成長しているということが見て取れる。
もう少し細かく見ていこう。
角田裕毅vsピエール・ガスリー、決勝結果比較(目盛20以下の時はリタイアを表す)
Photo by: Motorsport.com / Japan
決勝レースの結果では、角田は5レースでガスリーを先行している。一方でガスリーは8勝である。前年の13レースを終えた段階では、角田がガスリーを先行したレースは3戦だったので、着実に進歩していると言えよう。
角田裕毅vsピエール・ガスリー、予選結果比較
Photo by: Motorsport.com / Japan
予選結果に関してはもっと顕著だ。昨年はシーズンを通しても、角田がガスリーに勝ったのは1回……しかも最終戦のアブダビGPのみだった。しかし今シーズンは5勝と、大きく詰め寄っている。
順位もさることながら、そのタイム差も近づいている。下のグラフは、いずれかのドライバーが脱落したセッションでの角田とガスリーのタイム差を、そのセッションの最速ドライバーのタイムとの割合で示したものだ。ただタイムだけの比較では、コースの長短による差が出てきてしまうため、あえて割合での比較とした。パーセンテージがマイナスの場合はガスリーの方が速く、そのマイナス幅が小さければ小さいほど、角田のペースがガスリーに近かったということを示している。逆にパーセンテージがプラスの時は、角田の方が速かったということだ。いずれかのドライバーがノータイムに終わった時には点を打っていないため、折線グラフが途切れている。
角田裕毅vsピエール・ガスリー、予選タイム差推移
Photo by: Motorsport.com / Japan
この指標を基に見ていくと、角田が上回っているグランプリがあるのは前述の通りだが、その平均的な差は近づいている。
昨年の第13戦を終えた時点では、角田がQ1ノータイムに終わった2戦を除いても、平均で0.910%ガスリーに対して遅れていた。しかし今季は、平均の遅れが0.286%に留まっている。これは順位の差以上に、角田の予選ペースが改善してきているということの証左に他ならない。
ただ気になるデータもある。それは、グリッドから最終結果に向けて、どれだけポジションを上げることができたかということだ。
ラウンド | 角田裕毅 | ピエール・ガスリー | ||||
決勝 | グリッド | ポジションUP | 決勝 | グリッド | ポジションUP | |
1 | 8 | 16 | 8 | DNF | 10 | |
2 | DNS | -- | 8 | 9 | 1 | |
3 | 15 | 13 | -2 | 9 | 11 | 2 |
4 | 7 | 12 | 5 | 12 | 17 | 5 |
5 | 12 | 9 | -3 | DNF | 7 | |
6 | 10 | 13 | 3 | 13 | 14 | 1 |
7 | 17 | 11 | -6 | 11 | 17 | 6 |
8 | 13 | 8 | -5 | 5 | 6 | 1 |
9 | DNF | 20 | 14 | 15 | 1 | |
10 | 14 | 13 | -1 | DNF | 11 | |
11 | 16 | 16 | 0 | 15 | 14 | -1 |
12 | DNF | 8 | 12 | 14 | 2 | |
13 | 19 | 16 | -3 | 12 | 20 | 8 |
平均 | 0.4ポジションDOWN | 2.6ポジションUP |
角田は今季ここまで、スターティンググリッドからポジションを上げてフィニッシュできたレースが実は3戦しかない。開幕戦バーレーン、第4戦エミリア・ロマーニャGP、そして第6戦スペインGPの3戦……そう、入賞したレースは全て、スタート時からポジションを上げているのだ。他は軒並みポジションを下げており、その平均は-0.4となっている。一方でガスリーは、ポジションを下げたレースは完走11戦のうちただ1レースのみであり、それ以外の10戦はポジションを上げてチェッカーを受けている。そういう意味ではガスリーの方がレース巧者だということができそうだし、角田としては、ここが最も改善しなければならないところかもしれない。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、「彼は激昂することが多い」と語り、アルファタウリのフランツ・トスト代表は「クラッシュは別として、彼は残りのシーズンも同じような走りを続けていけば、来季も我々と共に働く良いチャンスがある」と評価している。それが、ここに表れているとも言えそうだ。
ただガスリーの方にも面白いデータがある。それは、入賞した時こそポジションの上げ幅が少なく、逆にポジションを上げた時ほど入賞には届いていないのだ。これは、ポジションを上げた時のみ入賞している角田とは傾向が大きく異なる部分だ。
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