FIA、ロシア人ドライバーの”中立的な立場”でのレース参加認める。出場危機のマゼピンに光明

　FIAは3月1日、世界モータースポーツ評議会（WMSC）の臨時会議を行ない、ロシアのウクライナ侵攻に対応した一連の措置を発表した。

　国際オリンピック委員会（IOC）は、ロシアや侵攻を支持するベラルーシの選手と役員を大会から除外するよう各国のスポーツ連盟に勧告しており、それに従うスポーツも出てきている。

　またウクライナ自動車連盟（FAU）も、ロシアとベラルーシが発行するライセンスでのレース出場を停止することを求めた。

　一方でFIAは、WMSCでロシアやベラルーシのドライバーが中立的な立場でレースに出場することを認め、次のように声明を出した。

「ロシア人／ベラルーシ人のドライバー、個々の競技者、オフィシャルが国際／地域大会に参加する際は、追って通知があるまで、平和と政治的中立の原則を遵守することを条件に、『FIAの旗』の下で中立的な立場で参加することを認める」

　ただしロシアとベラルーシでは追って通知があるまで競技は行なわれず、FIAのいかなるイベントでもこれらの国の旗、シンボル、国歌は認められないとしている。

　また、FIAは不可抗力を理由に、今季のF1ロシアGPを正式にキャンセルしている。

　FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は次のように述べた。

「ご存知のように、FIAはウクライナの動向を悲しみと衝撃をもって見守っており、現状の迅速かつ平和的な解決を願っている」

「我々はロシアのウクライナ侵攻を非難し、ウクライナの出来事で苦しんでいるすべての人々に思いを寄せている」

「FIAはプロモーターとともに先週この問題に積極的に取り組み、（ロシアでレース開催が予定されていた）F1、F2、WTCR、インターナショナル・ドリフト・カップについて適宜連絡を取っていることを強調したい。FIAインターナショナル・カレンダーの最新版は、バーレーンで開催されるWMSCの会合に提出され、承認される予定だ」

　FIAコミッションのロシア／ベラルーシのメンバーも、一時的にその役割から退くことが求められることになる。

　ベン・スレイエム会長はさらに、次のように付け加えた。

「スポーツと平和のために、これらの措置を決定した理事会のメンバーの迅速な行動に感謝したい。我々は、ウクライナ自動車連盟（FAU）のレオニード・コスティチェンコ会長と、同国のより広いFIAファミリーと連帯している」

「今回の措置は、ウクライナにおけるFAUの権威を認めるものであり、IOCが最近出した勧告にも沿ったものだ。我々は会員と積極的に話し合い、彼らが必要としている時に思いやりと支援を提供し続ける。我々は、彼らの耐え難い苦難が平和的に解決されることを心から願っている」

　ロシア人ドライバーのレース参戦が認められたことで、ハースのF1ドライバーであるニキータ・マゼピンが自動的にシートを失うことはなくなった。アメリカ資本のチームであり、ロシア企業のウラルカリから多大な支援を受けているハースにおける彼の運命は、今後数日のうちに確定されることになりそうだ。

　ハースチームは1日夜、FIAの決定に対する反応を求められた際、「ノーコメント」を貫いている。