FIA、シンガポールGPでポーパシング/バウンシング対策用の振動測定に微調整。バンピーな路面による予期せぬ違反回避へ
FIAは、バンピーな市街地サーキットで行なわれるシンガポールGPに向けて、垂直振動垂直振動の許容値を設定するエアロダイナミック・オシレーション・メトリックに調整を加えることがmotorsport.comの取材で明らかになった。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
技術レギュレーションが刷新された今季のF1で大きな話題を呼んだポーパシング問題。フロア下のダウンフォースの増減によって車高が高速で変化するという”空力由来”のこの現象は、グラウンドエフェクトカーで顕著に現れるモノで、今季はシーズン序盤から多かれ少なかれ全てのF1チームがこれを体験した。
さらに、路面がバンピーな市街地サーキットなどで行なわれるグランプリでは、フロア下の気流を一定にするために足回りを硬く設定されているマシンが路面のバンプに対応しきれずに跳ねるというバウンシング問題も発生……マシンの中で”シェイクされている”ドライバーからは、身体的な負荷や安全性への懸念といった声が上がっていた。
これを受けFIAは、カナダGPに先駆けて、垂直振動垂直振動の許容値を設定するエアロダイナミック・オシレーション・メトリック(空力振動測定法/AOM)を発表したが、シンガポールGPではそのAOMに変更が加えられるようだ。
AOMでは、各チームが走らせるマシンの1周あたりの振動量を許容値以下に抑える必要があり、許容値を上回ってしまった場合には、安全上の理由によりペナルティが科される。
実際、F1のシングルシーター担当ニコラス・トンバジスは「AOMの既定値を超えた車両は、レース結果からの除外勧告と共にスチュワードへ報告される」とカナダGPを前にチーム側へ送られた書簡で述べており、レギュレーションに違反した場合は当該マシンが失格処分となる可能性があると警告していた。
2019年以来となるF1シンガポールGP。このバンピーな市街地サーキットで今季マシンがどう動くのか、疑問は残っている。
Photo by: Lionel Ng / Motorsport Images
AOMはチームとの協議の末、サマーブレイク明けのベルギーGPからようやく施行された。ただ、その段階では各チームがシーズン序盤に苦しめられたポーパシング問題を克服しつつあったため、現時点でこのレギュレーションに引っかかったマシンはいない。
ただシーズン後半には、マリーナベイ市街地サーキットで行なわれるシンガポールGPや、地質や地盤沈下によりコース上にバンプが発生するサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行なわれるアメリカGPが控えている。
AOMの許容値は距離あたりの平均値で算出されており、当初は100kmあたり10J/kgとされていた。しかしマシン底面がコース上のバンプに当たった際に、その衝撃で平均値が劇的に跳ね上がることが分かった。つまりコース次第では、コースのバンプに起因したバウンシングによって、チームが予期せずにAOMの許容値を超えてしまう可能性があるのだ。
そのためトンバジスは、FIAは今後バンピーなサーキットでのグランプリではFIAが許容値に微調整を加えていくと明かしている。
またFIAはチームに対して、コース上のバンプによって引き起こされる過度な衝撃が平均値を歪めることを避けるべく、バンプによる衝撃を考慮しない新たなリミットを設けると通達。しきい値は7Gに設定されると発表されている。
つまり、7Gを超えた衝撃はAOMの許容値には反映されないということになる。この変更は、チームがうっかりAOMの許容値をオーバーするリスクを回避するのに役立つはずだ。
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