FIA、ポーパシング対策への批判に反論。F1ドライバーの健康被害を無視するのは「無責任だ」
FIAは、ポーパシング対策として来季の技術レギュレーションを修正。一部チームからは批判も上がっているものの、ドライバーの健康被害に目をつむるのは無責任だと、その決定について説明している。
Charles Leclerc, Ferrari F1-75, George Russell, Mercedes W13
Mark Sutton / Motorsport Images
モータースポーツの統括団体であるFIAは、今季からF1に導入された技術レギュレーションに関し、多くのマシンに空力的な振動”ポーパシング”が発生していることを受け、8月16日というかなり遅いタイミングで変更。これにはF1チームから反対の声も上がっているが、FIAはドライバーの健康を考慮しての措置だと強調している。
後半戦の幕開けを告げるベルギーGPからは、さらに振動の許容値が設けられ、チームはそれを超えないようにパフォーマンスを妥協しなければならない可能性が生じた。
これはドライバー側がその振動を受け続けることで身体的な後遺症を抱える可能性があると指摘し、その後の研究で大きな振動が脳に損傷を与えるリスクがあると示されたことがキッカケとなっている。
来季に向けた技術レギュレーションの変更という点では、当初FIAはマシンのフロアエッジを25mm高くすることを計画していた。しかし、大規模な設計変更を要する上にタイミングが遅すぎると多くのチームが猛反発したことで、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長とチーム、ドライバー間の話し合いの結果、妥協案の15mmで決着がついた。
しかしサマーブレイク前までに、各チームが振動の発生をかなりコントロールできていたように見えることから、一部のチームは2023年の変更について懐疑的な姿勢を取っており、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、ベルギーGPの際に「大げさだ」と感じていると語っていた。
Fernando Alonso, Alpine A522, Kevin Magnussen, Haas VF-22
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
そうした批判について、コメントを求められたFIAのシングルシーター担当責任者のニコラス・トンバジスは、ガバメント側が何の対応もせずに、ドライバーが直面しうるリスクを見逃すことは無責任だと考えている。
「全体的に言って、パフォーマンスが上がれば上がるほど、その現象(ポーパシング)が大きくなる傾向があることは分かっている」
そうトンバジスは説明する。
「同時に、チームはこの現象についてより多くを学び、より上手くコントロールできるようになっている」
「今、我々はこのスポーツで責任のある行動を取る必要がある。他のスポーツでは、アスリートが特定の条件下で受ける長期的な影響を無視している例が見受けられる。だからこそ、我々はこの件に関して、長期的な視点を持つ必要があると感じている」
「このレギュレーションは、2026年の新しいレギュレーションに移行する前の2025年まで続くモノだ。1年後にまだここで同じ議論をするよりも、早めに行動したほうがいいと考えたのだ」
「これは様々な要素が重なってできたモノだし、もちろん妥協もした。会長もこの妥協策に深く関わってくれたから、最終的に正しい解決案を導き出すことができたと思う」
「しかし片方の意見では、多すぎると言われ、もう片方の意見では少なすぎると言われるのは間違いない。それは当たり前のことだけどね」
25mmという当初の計画には、反発するチームも少なくなかったが、15mmという小規模の変更は受け入れられている。
レッドブルでチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、この変更に対するチームの姿勢を尋ねられ、次のように語っている。
「まあ、私の妻は”サイズ”は重要じゃないと言っているから、10mmにこだわるつもりはないよ!」
「25mmと15mm……それに対応するしかないし、それが現実だ。このタイミングに導入するのは迷惑だし、信じられないほど遅い。ただそれは誰にとっても同じことだ」
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