FE第11戦スイス|追突事故&雨……乱戦をベルニュ制す
フォーミュラE第11戦スイスePrixの決勝レースがベルンの市街地コースを舞台に行われ、ジャン-エリック・ベルニュ(DSテチータ)が優勝を果たした。
Jean-Eric Vergne, DS TECHEETAH, DS E-Tense FE19
Sam Bagnall / Motorsport Images
フォーミュラE第11戦スイスePrixの決勝レースがベルンの市街地コースを舞台に行われ、ジャン-エリック・ベルニュ(DSテチータ)が優勝を果たした。
ポールポジションからスタートしたのは、ポイントランキング首位に立っていたジャン-エリック・ベルニュ(DSテチータ)。ランキング2番手のルーカス・ディ・グラッシ(アウディ)は、なんと19番グリッドに沈んでしまった。
狭くも美しいベルンの市街地コース。好スタートを切ったのは、ポールポジションのベルニュ。3番グリッドからスタートしたセバスチャン・ブエミ(日産・e.ダムス)は、2番グリッドのミッチ・エバンス(ジャガー)に並びかけるも、なんとかエバンスがポジションを死守した。
ただ、4番手グリッドのパスカル・ウェーレイン(マヒンドラ)は、ドラゴンのマキリミリアン・ギュンターに最初のコーナーであるターン12〜13で追突されてしまう。ウェーレインのマシンはウォールに突き刺さり、その後方のマシンが次々とこれに追突していってしまった。また後方では、ロビン・フラインス(ヴァージン)が後続のマシンに追突されてスピンし、逆を向いてしまった。
これでコースが詰まってしまう格好となり、レースは赤旗中断となった。
この混乱でフェリペ・マッサ(ベンチュリ)らがシケインをショートカットして大きくポジションアップ。ディ・グラッシも19番手から一気に8番手までポジションを上げたが、結局スタート時のポジションに戻され、リスタートを迎えることになった。”せっかく”ポジションを上げたドライバーたちは憤慨。ディ・グラッシやマッサ、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(BMWアンドレッティ)が、「グリッド順位に戻すのはおかしい」と競技運営スタッフに詰め寄るシーンもあった。
40分以上の中断を経て、セーフティカー先導の状態でレースが再開。復帰できなかったのはフラインスだけだった。
この再開のスタートは、実に平穏なものとなった。ただエバンスのペースは良く、ベルニュに対してプレッシャーをかける。ただコース幅が狭く、エバンスはなかなかオーバーテイクを完了できない。
先頭のベルニュはペースが上がらないのか、それとも上げないのか……後方にはエバンスをはじめブエミやウェーレインなどが等間隔で並んでいく。
9周目、サム・バード(ヴァージン)やストフェル・バンドーン(HWA)らがアタックモードを起動。するとバードはすぐにギュンターを抜いて5番手に浮上した。
12周目、ウェーレインが突如スローダウン。コース上に止まってしまった。この周にエバンスがアタックモードを起動。そのパワーにより、ベルニュを追い詰めた。ただベルニュはなんとかこれをしのぎ、翌周には自身もアタックモードを起動させ、防御体制を築いた。
ただ前述の通りスローダウンを起こしたウェーレインは、ピットまで辿りつけずにコース横にマシンを止めた。これによりFCY(フルコースイエローコーション)が宣言され、レースは一時休戦となった。
15周目からレースが再開。6番手ダニエル・アプト(アウディ)が早速アタックモードを起動し、前を追う。これを見た5番手ギュンターは、続く周回でアタックモードを起動して防御した。
17周目には2番手のエバンスが、この日2回目のアタックモードを起動。先頭のベルニュに対して、右に左にとマシンを振ってプレッシャーをかけるが、オーバーテイクならず。18周目にはベルニュもアタックモードを起動して、防御体制を強化した。
この周回ではロッテラーがアプトをオーバーテイク。ロッテラーは20周目にはギュンターも交わして5番手まで辿りついた。
ベルニュを追い詰めることができなかったエバンスは、徐々にベルニュから遅れはじめ、一方でブエミからのプレッシャーを受けることになっていく。
ロッテラーはバードにもプレッシャーをかけ、27周目にオーバーテイクを完了。これで4番手まで浮上した。
29周目、ターン1で細かい雨が降りはじめたとの情報が入り、レース最終盤を迎えた。
息を吹き返したエバンスは、ベルニュにプレッシャーをかけ、その後方にブエミ、ロッテラーが僅差で続く。しかも雨脚が強まり、コースを一気に濡らしたことで、各車マシンをスライドさせての大激戦となった。
エバンスはテール・トゥ・ノーズでベルニュにプレッシャーをかけるが、ベルニュはこれに耐え、合計31周となったレースで、トップチェッカーを受けた。
2位にはエバンス、3位にはブエミが入った。ロッテラーは表彰台にあと一歩届かぬ4位だった。
ベルニュはこれで今季3勝目。ドライバーズランキングの首位も堅持し、この勢いのまま最終ラウンドのニューヨーク(2レース)に挑む。ロッテラーはランキング2番手に浮上したが、ディ・グラッシとの差はわずか1ポイントである。ただロッテラーは、ピットアウト時のドライビングが審議対象となっており、順位が入れ替わる可能性も残っている。
順位 | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ジャン-エリック ベルニュ | テチータ | 31 | 1:25'26.873 | 25 | |||
2 | ミッチ エバンス | ジャガー・レーシング | 31 | 1:25'27.033 | 0.160 | 0.160 | 18 | |
3 | セバスチャン ブエミ | Nissan e.dams | 31 | 1:25'27.593 | 0.720 | 0.560 | 15 | |
4 | アンドレ ロッテラー | テチータ | 31 | 1:25'27.979 | 1.106 | 0.386 | 12 | |
5 | サム バード | ヴァージン・レーシング | 31 | 1:25'29.869 | 2.996 | 1.890 | 10 | |
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