MotoGPでのシートを確保できるか? “勝負の年”迎える4人のライダー
2020年のMotoGPも開幕戦まであと1カ月と少し。2020年は大半のライダーが契約切れとなるが、ここでは正念場を迎えるであろう4人のライダーを紹介する。
Johann Zarco, Red Bull KTM Factory Racing, Danilo Petrucci, Ducati Team
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ダニーロ・ペトルッチ(ドゥカティ)
2019年にドゥカティファクトリーチームに昇格し、2年目のシーズンを迎えるペトルッチ。彼はシートを確保できるか分からなかった1年前と同じ状況を迎えることになる。
昨シーズン、ペトルッチはアンドレア・ドヴィツィオーゾのチームメイトとして、セカンドライダーとも言える位置で戦ってきた。単年契約だったペトルッチだが、前半戦では地元イタリアGPで初優勝を飾るなど活躍も見せ、無事に2020年の契約を勝ち取った。しかし、後半では苦戦が続き、苦境に立たされた。
“ランキング2位”という夢を見てしまったことが、不調の原因だとペトルッチは語っている。その調子の落ち方は大きく、サテライトチームのジャック・ミラー(プラマック)に負かされる場面も多々見られた。
2020年、ペトルッチは契約期間が終了となるため、再びシート争いを生き抜かねばならない。ただ、ドゥカティが興味を持っていたと言われるマーベリック・ビニャーレスとファビオ・クアルタラロがヤマハと既に契約を交わしたことで、ペトルッチのシート争いにおける最も大きなライバルはミラーと言えるだろう。
ペトルッチがシートを確保するためには、昨年前半戦と同じように自身の実力を証明する必要がある。しかし、ドゥカティが勢いのある若手のミラーに惹かれる可能性は否定できない。(Jamie Klein)
Danilo Petrucci, Ducati Team
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)
モルビデリのMotoGP2年目は、クアルタラロという驚異の新人の活躍によりその存在感は薄くなってしまった。モルビデリがビニャーレスやバレンティーノ・ロッシと同一のマシンを手にしている一方で、クアルタラロは“Bスペック”のマシンを供給されていたことも、それに拍車をかけた。
クアルタラロはモルビデリに77ポイントの差をつけてランキング5位となり、更に2021年のヤマハファクトリーチーム昇格を決めた。
その一方でモルビデリの将来は不透明な状況だ。それは彼の師であるロッシがペトロナス・ヤマハSRTで現役を続けるかどうか、というモノに大きく影響されている。
仮にロッシが引退を決断した場合、モルビデリのシート確保は容易になるだろう。しかしロッシが現役続行を決めたとすると、モルビデリの将来は雲行きが怪しくなる。
ロッシと、その異母弟であり現在Moto2に参戦中のルカ・マリーニが、2021年に同じチームに所属しMotoGPを戦う……マーケティング担当者にとっては“夢のような”シナリオが浮かび上がってくるからだ。
彼が2020年シーズンにヤマハ陣営のライダーとして重要であると認識させる結果が出せない場合、マリーニの起用という選択肢は魅力的なものになるだろう。(Jamie Klein)
Franco Morbidelli, Petronas Yamaha SRT
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フランチェスコ・バニャイヤ(プラマック・ドゥカティ)
バニャイヤは2018年のMoto2チャンピオンであり、ドゥカティがその結果を待つこと無くMotoGPへの昇格を決定させた逸材だ。最高峰クラス2年目となる2020年シーズン、彼はファクトリースペックのマシンを手にすることが決定している。
下位クラスで優れた結果を残したり、2019年シーズン開始前のセパンテストで2番手タイムを記録するなど、その能力に疑う余地はない。しかしMotoGPでの戦いが始まるとバニャイヤは苦戦した。転倒、負傷、そして溜まっていくフラストレーション……バニャイヤのルーキーイヤーは同じルーキーのクアルタラロに大きく差をつけられて終わった。
バニャイヤの契約は今年で満期。今シーズンはシート獲得競争に参加することになる。彼は昨年のオーストラリアGP(4位)で示したように、力あるライダーだ。彼は継続してこのパフォーマンスを示す必要があるが、それを行なえたとしてもドゥカティ陣営の中で目立つのは容易ではない。彼と同じくドゥカティのファクトリーチーム入りを目指す、ジャック・ミラーやヨハン・ザルコとの争いが待っているからだ。
しかし、バニャイヤがファクトリースペックのデスモセディチGP20を手にしている以上、これ以上の言い訳はできないだろう。(David Gruz)
Francesco Bagnaia, Pramac Racing
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ヨハン・ザルコ(アビンティア・ドゥカティ)
2019年に、ヨハン・ザルコはMotoGPに留まるための多くのチャンスを使い切り、その最中に彼の精神性と態度について深刻な疑問が生じた、と言った方がフェアだろう。確かに、テック3・ヤマハ時代の彼は素晴らしかった。しかし彼が他メーカーのマシンで成功するという保証はどこにもない。
現ドゥカティファクトリーの2名は2020年末までの契約のため、ザルコが加わる可能性、より現実的に言えばプラマックへ移籍する可能性はある。しかし、予想オッズでは依然としてザルコに大きな数字が表示されているはずだ。
新たにアビンティアに加入する前、ザルコはアビンティアのチームとしての能力を低く見積もる発言をしていた。しかし最終的にドゥカティがサポートを積み増すことになり、ザルコは彼らに説得されて加入する形になった。
しかし、たとえドゥカティがファクトリーサポートを供給したとしても、以前からドゥカティのジュニアチームとしての地位を固めているプラマックと同レベルに達することができると考えるのは困難だ。
その上ザルコはプラマックの2名と違い、1年型落ちのマシンを走らせる予定だ。さらに陣営の中で唯一ドゥカティのライディング経験の無いライダーでもある。2021年に向けた移籍市場がオープンする時期は早いと予想されていることも、彼にとっては難しい1年になりそうな要素のひとつだ。
ザルコは多くの事を学ぶ必要がある。しかしKTM時代からの学びを経て、テック3時代のような素晴らしい走りを見せるライダーとなれば、MotoGPパドックに再び留まることができるだろう。(David Gruz)
Johann Zarco, Team LCR Honda
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