ハミルトン、FIAへの信頼を失った瞬間があったと明かす「それを取り戻すには少し時間が必要」

　ルイス・ハミルトンは、メルセデスの2022年用ニューマシンW13の発表イベントに登場。久々に公の場でコメントした。その中でハミルトンは、昨年FIAに対する信頼を失い、それを取り戻すには少し時間がかかると明かした。

　ハミルトンは昨年のF1最終戦アブダビGPの最終ラップで、レッドブルのマックス・フェルスタッペンにオーバーテイクを許し、自身8度目となるタイトル獲得を逃した。ハミルトンはレース後、終盤のセーフティカー解除時の手順について不満を訴え、FIAの公式会見を欠席。その後はFIAの表彰式も欠席するなど、公の場には登場してこなかった。

　そして今回、ハミルトンはずいぶんと久しぶりにイベントに登場し、インタビューに応じた。その中で彼は、噂されていたような電撃引退については考えたことはなかったと語るも、起こったことを処理するのは難しかったと認めた。

「もちろん、シーズンの終わりには、世界チャンピオンになるために必要な時間と労力を費やすことを厭わないかということを考え、自問する」

　そうハミルトンは語った。

「多くの人は、チャンピオンになるために必要なことを過小評価していると思う。そして、多くの動きがある。ただレースに挑み、マシンをドライブすればいいわけじゃないんだ」

「問題は、時間をかけることができるか？　そして今の力を発揮し続けることができるか？　ということだ。だからそれは、僕にとっては普通の精神的なプロセスなんだ」

「しかしもちろん、今回は重要な要因によって悪化した。そして最終的に、僕がずっと愛してきたスポーツで、システムへの信頼を明らかに失った瞬間があったと思う」

「でも僕は一般的には、覚悟を決めた人間だ。今回のような瞬間が、キャリアの行方を決めるかもしれない時、そうならないように自分の中で考えるのが好きなんだ。だから僕は、自分の中で可能な限り最高の存在になり、より強くなって戻って来ることに集中している」

　FIAは今週、昨年までF1のレースディレクターを務めていたマイケル・マシを更迭し、後任としてふたりの新しいレースディレクターが交代でその役割を担うことを発表。さらにバーチャル・レースコントロール・サポートシステムを構築することを明らかにした。このことが信頼を取り戻すことに繋がるかと尋ねられると、ハミルトンは「どうなるかもう少し見ていきたい」と語った。

「僕はそれぞれを信用し、信頼している」

　そうハミルトンは語った。

「しかし瞬きしたり、指でフリックすることで、信頼が失われる可能性もある：

「信頼は、長い年月をかけて築き上げられたモノだ。だから、こうなるなんて思いもしなかった。先日の発表されたモノは、おそらく最初のステップだ。必ずしも全てが変わっているわけじゃない」

「僕らは、実際の行動を見守る必要があるし、それには少し時間がかかると思う。でも現時点では、必ずしもそこに集中しているわけじゃない。僕は自分自身にエネルギーと時間を費やして、これまでに見た中で最高の自分であることを確実にしたいと思っている」

　そう語るハミルトンだが、信頼を取り戻すための鍵は、FIAの決定に一貫性を持たせることであるとも示唆した。

「過去を変えることはできないし、当時の自分の気持ちや状況を変えることはできない。でもFIAが改善に向けた措置を講じようとしているのが見えるのは良いことだ」

　そうハミルトンは言う。

「説明責任が鍵だと思っている。そして今回のことを活かし、このスポーツで今後同じようなことが二度と起きないようにする必要がある」

「FIAが言ったことの全てを歓迎している。でも僕らは、それを注意深く見守り、実際にそれらが変わったことを確認し、ルールが公正かつ性格に、そして一貫性を持って適用されていることを確かめる必要があるんだ」