ハミルトンにとってメルセデスW13は”経験上最悪”のマシン?「でも、僕らを強くしてくれるはず」
メルセデスのルイス・ハミルトンは、今季マシンW13は、これまでに経験した中で最悪のF1マシンだと考えている。
写真:: Steven Tee / Motorsport Images
ルイス・ハミルトン(メルセデス)は、今季のマシンW13について、彼が2009年に乗ったマクラーレンMP4-24と並び、経験した中で最悪のF1マシンだと考えているようだ。
ここまで7度のチャンピオンを獲得してきたハミルトンだが、今季は開幕から苦戦。開幕戦バーレーンGPではなんとか3位表彰台を手にできたものの、続くサウジアラビアGPではまさかのQ1敗退。エミリア・ロマーニャGPでは、メルセデスの2台が揃ってQ2敗退となった。メルセデスがQ3に進出できなかったのは、2012年日本GP以来、約10年ぶりのことである。
ハミルトンはこの状況について、今季マシンW13の出来が悪いためだと語る。しかし同様に苦しんだシーズンもあったと明かす……それは2009年のことだ。
2009年はやはりレギュレーションが大きく代わり、前年限りで突如F1を撤退したホンダを引き継ぐ形で新規参戦したブラウンGPが、開幕から圧倒的な強さを披露。これを前年までは中団チームのひとつに過ぎなかったレッドブルが追うという展開になった年だ。
同年のハミルトンは、マクラーレンに在籍。シーズン序盤はかなり苦しんだが、チームがマシンの開発に懸命に取り組み、最終的にはパフォーマンスが向上。ハンガリーGPとシンガポールGPで勝利し、4回のポールポジションを獲得した。
ハミルトンはこの2009年が、今季の苦境から脱する好例だと考えている。
「僕が悪いマシンを手にしたことは一度もないと思っている人たちがいる」
エミリア・ロマーニャGPのスプリントを14番手で終えた後、ハミルトンはそう語った。
「でも僕は、これまでにも最悪のクルマに乗ったことがあるんだ。2009年のマシンは、先頭から遠く離れていて、僕が乗った中でも最悪のマシンだった」
「今年のマシンも、その時の経験からはそれほど遠いわけではない。でも、多くの可能性は秘めていると思う」
「僕らは当時、最終的にマシンを修正し、戦いに戻ることができた。そして僕は、今のチームが今回も同じことをできると、最大限の信念を持っている」
ハミルトンは2009年のマクラーレンは、レギュレーションにより失われるダウンフォースを取り戻す重要性を、過小評価していたと語った。
「2009年は、僕はF1に来てまだ3年目だった。そして、その年は、全く新しいマシンの時代に入ったところだった」
そうハミルトンは当時を振り返る。
「1月か2月にチームに戻った時のことを覚えている。その時、エアロダイナミキストやチームのスタッフたちが『我々は既に目標を達成した』というようなことを言っていたのを覚えている」
「新しいルールにより、2009年はダウンフォースが50%削減されると言われていた。だからチームは、ダウンフォースが50%少なくなったマシンをデザインした。そして2月に『目標を既に達成した』と聞かされた時、僕は『それは正しいとは思えない』というようなことを感じたんだ」
「でも当時の僕には経験がなかった。そして最初のテストに行った時、他のチームが前年とほとんど変わらないくらいのダウンフォースを手にしていることに気付いたんだ」
「チームはそれで、『我々はそれを取り戻さなきゃいけない』というようなことを感じていた。そしてその究極のデバイスは、ダブルディフューザーだった。僕らもそこに辿り着いたんだ」
ただハミルトン曰く、今季のメルセデスW13が、2009年のマクラーレンと同じ間違いを犯したわけではないと語った。
「今回はチームが『我々は既に目標を達成した』と言っていたわけではないので、そこは異なる。僕らは、どこにいるのか分からなかった。このデザインは実に革新的だった。そして風洞実験の結果を見ると、本当に良いダウンフォースがあるようだ」
「そして残念ながら、コースに出るまで分からなかった……風洞では、バウンシングは起きなかったんだ。でも、僕らは実際にこの現象に遭遇してしまった」
「これは、僕らが想像していたよりも修正するのがはるかに困難だ。でも、それは僕らを殺すわけじゃなく、強くするだけだと思う。そして僕らは、何らかの方法で解決策を見つけるだろう」
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