F1

F1チーム、来季に向けた技術規定の調整に消極的。「バカなマネはするな」とレッドブル代表はFIAに釘を刺す

FIAは現行技術規定下のF1で取り沙汰されているポーパシングに向けた対策に乗り出しているが、2023年シーズンに向けてレッドブルを筆頭にF1チームの多くはレギュレーションの調整に消極的な姿勢を見せている。

Adam Cooper

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公開日時: 2022/07/05 10:30

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Sebastian Vettel, Aston Martin AMR22, Zhou Guanyu, Alfa Romeo C42, Max Verstappen, Red Bull Racing RB18, practice their start procedures at the end of FP2

 F1チームの多くは、時既に遅しとしてFIAが2023年に向けて進める技術規定の調整に消極的な姿勢を取っており、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はFIA側に「バカなマネはするな」と釘を刺している。

 FIAはグラウンドエフェクトカーとなった今年のF1マシンに発生している縦揺れを抑制するために、短期的・中期的な対策を進めている。

 F1ドライバーから苦情が上がっている激しい縦揺れは大きく別けて2種類。フロア下のダウンフォースの増減によって車高が高速で変化する”空力由来”の「ポーパシング」と、フロア下の気流を一定にすべく非常に硬い足回りを持つことで路面の凸凹や縁石にサスペンションが対応しきれず、車高が路面スレスレまでに下げられたことでマシンが路面に接触し、激しい振動が発生する”メカニカル”な「バウンシング」だ。

 短期的な対策としてFIAは、マシンの上下動の許容限界を定義したエアロダイナミック・オシレーション・メトリック(AOM)をフランスGPから導入。許容値を超える場合は車高を上げることとなる。

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 そして中期的な対策として、FIAは2023年に向けて技術規定の見直しを検討。FIAシングルシーター担当であるニコラス・トンバジスは、 CFD(数値流体力学)研究への協力をF1チーム側に求めている。

「2023年に向けて、マシンが空力による振動を持つという特性を本質的に減らす変更を実施することが、我々の目標であることに変わりはない」

「いずれは各チームがマシンに様々な変更を加え、その結果をFIAに報告することで、CFDの評価テストをサポートすることが求められる」

 2023年シーズンに向けた技術規定の調整については、イギリスGPの前に各チームのテクニカルディレクターを会して行なわれた諮問委員会でも議論が行なわれた。しかし多くのチームがその調整に消極的だと明らかにしている。

 2022年シーズンの現時点でドライバーズチャンピオンシップとコンストラクターズチャンピオンシップを大きくリードするレッドブルのホーナー代表は、「来年に向けて変更を行なうには遅すぎる」として調整に反対しており、次のように語った。

「我々にはそのための対策がある。そしてコストも関わってくることで、時には完璧なフィロソフィーを変えることで意図していない結末となることもある。それは来季にも持ち越されることで、設計や開発に影響を与えることになるだろう」

「そして最も重要なこと……安定したコストを実現する最良策は、一貫性だ。マシン(デザイン)は収束していくものだ。すでにいくつかのマシンが似始めているのは分かるだろう。それは、今後6ヵ月から9ヵ月に渡って続くことだと思う」

「だから一番重要なのは、『バカなマネをしないこと』だと思う。そのままにしておくのだ。そうすれば、チームが解決していく」

Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing

Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing

Photo by: Red Bull Content Pool

 アルピーヌのオットマー・サフナウアー代表は、来シーズンに向けた調整を行なうには遅すぎるというホーナーの意見に同意する一方で、安全上の懸念が優先される可能性があることを認めた。

「私としては、シーズン中盤にルールが変更されるよりも、早い段階で目を通す方が常に好ましい」とサフナウアーは言う。

「とは言え、前例はある。それが安全上の問題ならば、FIAはそれを確認し変更する義務がある」

「私は常に、早い段階からルールを深く理解し、平等な競争の場のもと、みんなが自分自身で解決策を見出すべきだと考えている。早く知っていればいるほど、良いのだ」

 アルファロメオのフレデリック・バスール代表も、今季のパーツを来季も使用する可能性があることから、技術規定の一貫性が重要だと強調した。

「昨年はレギュレーションであまり反対意見は無かったし、最も重要なのは規定の一貫性だ」

「予算を削減したいのであれば、(来季への)キャリーオーバーや同時並行の開発が必要になるからね。つまり現行マシンの開発は行なっているが、その開発は来季のマシンにも活きることでパーツをそのまま使えるのだ」

「今規定を変えてしまったら、2023年型のディフューザーやステーは全てゴミ箱行きだ」

 ハースのギュンター・シュタイナー代表は、いつくかのチームがすでに2023年の規定変更に向けた調査を行なっていると明かし、規定変更が決定されればそれがアドバンテージになるかもしれないと語った。

「技術諮問委員会でルールの変更について議論が行なわれたが、大半のチームがそれを望んでいなかったと思う」とシュタイナーは言う。

「彼ら(FIA)は、ルールを劇的に変えることなく解決策を見出すため、熱心に取り組んでいる。7月にルールを変えようとするのは少し遅いと思うからね」

「私としては、それを選択すべきだとは思わない。一方で、いくつかのチームは(FIAから)提案されている新ルールに対してすでに取り組んでいて、その時点でアドバンテージを得ているチームがいる」

「ここで注意しなければならないのは、彼らが間違ったことをしていないかどうかということだ」

Mick Schumacher, Haas VF-22, Lewis Hamilton, Mercedes W13

Mick Schumacher, Haas VF-22, Lewis Hamilton, Mercedes W13

Photo by: Drew Gibson / Motorsport Images

 多くのチームが技術規定の調整に消極的な姿勢を取っているものの、今季マシンの振動にかなり頭を悩ませてきたメルセデスのテクニカルディレクター、マイク・エリオットは調整にはオープンな姿勢を取っている。しかし、それを押し通すことは簡単ではないと認めている。

「ドライバーたちは不快だと言っているし、激しい振動があるマシンを運転するのは安全ではないと思う」とエリオットは言う。

「そしてこのスポーツはそれに対処しなければならないと思う。そしてその結果として、このスポーツは適応し、変化していかなければならない」

「難しいのは、これらのマシンがオーバーテイクを改善するために設計されたグラウンドエフェクトの法則に基づいてデザインされているということだ。問題はその効果を維持したまま、バウンドをなくすことができるかどうかだ」

「しかし、悪魔は細部に宿る……各チームのエアロダイナミストがFIAと協力して、正しい方向でルール変更に取り組むことになると思う」

「ただ、各チームからの同意を得ることも難しいだろう」

 

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