分析

MotoGP

ドゥカティ、ライダー市場でライバルに出遅れ。2021年以降の選択肢狭く

ホンダ&マルク・マルケスの最強コンビを打ち崩すため、ヤマハは2021年以降のライダーを早くも確定。しかしその煽りを受け、ドゥカティの採れる選択肢は制限されてしまった。

Oriol Puigdemont

Oriol Puigdemont

公開日時: 2020/03/21 1:38

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Danilo Petrucci, Ducati Team

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 2020年1月末、MotoGPに参戦するヤマハはマーベリック・ビニャーレスとの契約延長を発表した。さらに間を開けずにファビオ・クアルタラロの2021年ファクトリーチーム昇格、3度のMotoGP王者ホルヘ・ロレンソのテストドライバー起用と、立て続けにチーム体制を明かしたのだ。

 これはヤマハのサプライズだったと言える。ビニャーレスはヤマハ勢ではここ2年間で勝利を挙げた唯一のライダーだが、彼が2020年以降もヤマハに留まるかは定かでは無かった。タイトル獲得を狙うドゥカティが触手を伸ばしているという噂があったためだ。

 クアルタラロのファクトリー昇格も想定以上に早い決定だったが、ドゥカティは彼にも獲得の興味を持っていたと言われている。

 2015年のロレンソの戴冠以来、チャンピオンの座から遠ざかっているヤマハ。バレンティーノ・ロッシというMotoGP界随一のプロモーション効果を持つ男をファクトリーチームから退かせるという決定は、ヤマハが打倒マルク・マルケス(&レプソル・ホンダ)に向けて本気だということを示している、と言える。

「ファクトリーチームの担当が行なえる“最悪の事”は、たとえ望まれていないことでも、あるライダーよりも“利益”をもたらすと予想されるライダーを起用することだ。それが近年ここで起こっていたことだよ」

 ヤマハのある匿名の情報提供者はそう明かした。しかしながら、前述の決定を見るに“何か”がこの冬に変わった。そしてライバルはそれを見逃していない。

 レプソル・ホンダのチームマネージャーであるアルベルト・プーチも「我々の最大のライバルは、過去18年間で7度チャンピオンとなったヤマハだ」と断言している。

 そのホンダは、向かうところ敵なし状態のマルク・マルケスとの契約を2024年まで延長。その弟でMoto2チャンピオンのアレックス・マルケスを迎え入れたことで、ファクトリーチームの将来は見通しもよく立っていると言える。

Podium: race winner Alex Rins, Team Suzuki MotoGP

Podium: race winner Alex Rins, Team Suzuki MotoGP

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 そして日本勢の一角であるスズキも、2021年以降のライダー確保に向けて既に動いている。

 スズキは2015年のMotoGP復帰以来、一歩一歩戦闘力を高めてきた。現在のコンスタントな競争力は、2017年にスズキでMotoGPデビューを果たしたアレックス・リンスと、安定したガレージ内の取り組みによるもので、両者はスズキの継続的な成長に不可欠なものだ。

 motorsport.comの調べでは、既にスズキは2021年以降もリンスとジョアン・ミルの2名を起用することを決め、コンビが継続されることはほぼ確実、といった状況にある。

 昨年2勝を挙げるなどトップコンテンダーのひとりとなったリンス。ミルもルーキーながら良好なパフォーマンスを示しており、両者は他チームから興味を持たれていた。だが彼らの契約のパフォーマンス条項もありそれは未然に防ぐことができたと理解されている。 

■ドゥカティ、ライダー市場で出遅れる

 こうしてヤマハ、ホンダ、スズキという3メーカーが将来の体制を固めつつある中、ドゥカティは獲得を狙っているとされていたライダーを確保され、体制構築が思惑通りに進んでいないように見える。

 ドゥカティのスポーティングディレクターを務めるパオロ・チャバッティは“ヤマハがビニャーレスと契約延長”というニュースを聞いた時、驚きを受けたことを隠さずに認めている。

「ドゥカティはビニャーレスが我々の将来にとって興味深いライダーとなりうると考えていたが、今はもう彼を使える状況ではない」

「それ(ヤマハとビニャーレスの契約延長)が起こって、当然ながら我々は1枚のカードを失った。残された選択肢はあまり多くない」

 ビニャーレスとヤマハの契約延長が驚きだったということは想像に難くない。なぜならビニャーレスは昨年12月初旬までドゥカティ移籍の可能性を示唆していたためだ。

 motorsport.comの調査によると、実際にドゥカティはビニャーレスの興味を引くことに成功し、チームが彼に興味を持っていることを認識させていた。ただ、ビニャーレスはどうするかは決めかねていたようだ。

 だがビニャーレスに近い筋が、彼に移籍の意思があることをヤマハに知らせるた。するとヤマハの責任者はそれに駆り立てられ、契約延長へと動いた。

 12月初頭にヤマハとビニャーレスは新たな契約を結んだ。多くの人々が休暇に入っている時にビニャーレスは日本へ渡っており、ドゥカティがそのことに気がついた時には、遅きに失していたのだ。

■ドゥカティに残された道

Andrea Dovizioso, Ducati Team

Andrea Dovizioso, Ducati Team

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 ドゥカティに残された選択肢はあまり多くない。レギュラーライダーのアンドレア・ドヴィツィオーゾは安定したパフォーマンスを発揮し、今も最有力候補であるだろう。しかし彼は34歳になろうとしており、ビニャーレスやリンスといった若く才能あるライダーを求めたドゥカティとしてはベテランすぎるきらいもある。

 そのため現在のMotoGPのグリッド上からライダーを選択する場合は、サテライトチームのライダーから、という事になりそうだ。

「2019年は5人のライダーが勝利を挙げたが、我々はそのうちのふたりを擁している」と、チャバッティは言う。

「ドヴィがもうすぐ34歳になるのは事実だ。だが彼は過去3年間ランキング2位でフィニッシュしており、タイトルに向けマルクに挑めるただひとりのライダーだった」

「そして我々にはダニーロもいるが、彼は一貫してトップ5に食い込めるようにする必要がある。ジャック(ミラー/プラマック)は驚くべき才能を持っているが、ペッコ(フランチェスコ・バニャイヤ/プラマック)そして(アビンティア/ヨハン)ザルコも今は我々と契約を結んでいる」

「我々は可能な選択肢から最善のものを見いださなければならない」

 

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