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二輪ロードレース界の次世代を担うKTM、その躍進の裏に迫る!

レッドブル・ルーキーズ・カップに始まるMotoGPクラスまでの育成プログラムを通じて、これまでロードレース界で躍進を果たしてきたKTM。彼らのモータースポーツ界での活躍を振り返ることから、その成長の裏側を探る。

Miguel Oliveira, Red Bull KTM Factory Racing

Gold and Goose / Motorsport Images

モータースポーツ界での参戦歴

 モータースポーツの歴史の中で、KTMほど複数の種目で成功を収めているメーカーは他にない。

 そのチャンピオンシップでの成功の大部分はオフロードのものだ。KTMはモトクロスとエンデューロのレースにおいて、1974年に250ccでロシア人レーサーのグェナディ・モイセーエフを起用し初タイトルを獲得して以来、全てを制覇してきた。その後は、MXGPの各クラスで96回、エンデューロでは114回の世界タイトルを獲得。また、ダガールラリーにおいては19連覇を達成している。

 このようなオフロードでの成功からKTMがロードレースへ参戦するのは時間の問題であった。2003年から2009年までは125ccクラス、2005年から2009年までは250ccクラスに参戦していたが、タイトル獲得は達成できずにいた。

 2012年に125ccクラスが廃止となり、後継の250cc単気筒4ストロークのMoto3時代が幕を開けると、KTMは2年間の休止期間を経て復帰を果たす。その年KTMはAjo Motorsportのサンドロ・コルテセでタイトルを獲得。翌年2013年にはマーベリック・ビニャーレスがCalvoチームでKTM機を使用しタイトルを手にした。

 2014年はAjo Motorsportのジャック・ミラーが準優勝。2015年はミゲル・オリベイラ、2016年にはブラッド・ビンダーがタイトルを獲得。3度の世界タイトルをもたらした。

 また、2017年にはMoto2クラスのシャーシを作製し、オリベイラはMoto2クラスAjo Motorsportで最終3レースを制し、チャンピオンシップで3位を獲得。2018年は同クラスで2位、シャーシ使用最終年となった2019年にはビンダーが惜しくもタイトルを逃すもランキング2位となった。

 これら全ての経歴は、最高峰MotoGPクラスへ参戦開始をするお膳立てであり、KTMは満を持して2017年にポル・エスパルガロとブラッドリー・スミスを起用し大プロジェクトを開始した。2017年の初参戦レースの予選では、他と3秒以上差をつけられていたが、3年後の2020年シーズンには優勝を果たした。これはKTMがスチール製のトラス構造のシャシーとWPサスペンションを使用している唯一のメーカーであることを考えると並大抵のことではない。

 また、2007年からは若手の才能あるライダーを送り出すことを目的とした「レッドブル・ルーキーズ・カップ」が創設された。このシリーズではKTMがマシンを提供し、MotoGPへのステップアップするに相応しいと判断されたライダー達が、KTMの下で活躍するスタートラインとなっている。

Brad Binder, Red Bull KTM Ajo Qatar Moto3 2018.

Brad Binder, Red Bull KTM Ajo Qatar Moto3 2018.

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

MotoGP界での躍進の裏に

 オリベイラとビンダーは、このシリーズを経験した多くのライダーの中の2人に過ぎないが、KTMでルーキーズカップを経験し、Moto3、Moto2、MotoGPとステップアップをした初めてのライダーである。

 KTMモータースポーツのマネージャーであるピット・ベイラーは、motorsport.comに対し、次のように語った。

「レッドブル・ルーキーズ・カップでは、将来KTMに乗せることができないほどの才能ある若手ライダーが大勢参加している。そのため、パドック全体に才能を生み出すような仕組みを作った」

「これは、我々がどのようにレースをしたいかということの一部なんだ。数ヵ月前までこのパドックで通用することは証明されていなかったが、今回はさらに一歩進み、若いライダーでもNTC(ノーザン・タレント・カップ)に少しでも安く参加できるようなマシンを作った」

 現在はNTCやレッドブル・ルーキーズ・カップ、MotoGPで約70名のライダーがKTMのマシンを走らせている(Moto2クラスに参戦している選手はカレックス製シャーシを使用していることから除く)。このように大勢のライダー達が参戦しているのをみると、なぜKTMがレースで大活躍するのか、その理由を理解してもらうには大いに役立つ。

「そこにかかる費用を貯めておいて、MotoGPライダーが必要になったときに、もう少しお金を足して(誰かと契約して)おけばいいが、そうするとライダーとの強い関係が築けないと思う」

「アキ・アヨ(RedBull KTM Ajoチーム代表)、エルベ・ポンシャラル(Tech3チーム代表)、マイク・ライトナー(KTMチームマネージャー)など、強力な人材が僕の周りにはいる」

 このようにベイラーは説明し、メーカーの人材育成計画が成功している理由には以下のように答えた。

「また、レッドブルという強力なパートナーもいる。私たちは2012年にKTMとしてこのパドックでスタートした」

「私は、アキのトラックのバックドアに1台のバイクと数台のエンジンを積んだゲストだった。このパドックには、自分たちのトラックすらなかったんだ。アキがまだこのプロジェクトに参加していることは、私にとって誇りだ。私たちはより大きなグループを作り、自分たちがやっていることを楽しんでいるよ」

 少なくとも2026年末まで続くアキ・アヨとの関係は、KTMの強力なMotoGPでの発展に欠かせないものとなっている。

Remy Gardner, Red Bull KTM Ajo chequered flag

Remy Gardner, Red Bull KTM Ajo chequered flag

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

これからのKTM

 前述の通り、2021年と2022年シーズンのKTMファクトリーチームのコンビであるオリベイラとビンダーは、KTMの育成プログラムを経てきている。そして現在Moto2クラスに参戦しているレミー・ガードナーは2022年にテック3 KTMでMotoGPクラスにステップアップすることが決まっており、Moto2ルーキーながら印象的な活躍を見せているラウル・フェルナンデスもテック3からのMotoGP昇格が発表されている。またMoto3クラスでは17歳の若手、ペドロ・アコスタがグランプリキャリアの最初の9レースを終えた時点でポイントランキングをリードし、周囲を驚かせている。

 オリベイラ、ビンダー、ガードナー、フェルナンデス、そしてアコスタとKTMの将来は非常に明るい。マルク・マルケスやヨハン・ザルコ、そして現在のKTMファクトリー勢を長年にわたってサポートしてきたアヨの才能を考えれば、KTMはハイペースでスーパースターを育てていくことになるだろう。

「レッドブル・ルーキーズ・カップやMoto3、Moto2に数百万ドルを投資していることからも、その部分には情熱を持っていると思う」

 このようにベイラーはKTMの若い才能への献身について語る。

「オフロードの世界では、子供たちと一緒に成長していくことに大きな情熱を注いできた。10歳のホルヘ・プラドは65ccのKTMに乗り、何年も後にモトクロスの世界チャンピオンになった。また、マルク・コマは、KTMに15年間在籍し、ダカールで5回優勝をした。そして彼は今、KTMスペインのマネージング・ディレクターを務めている。このように、私たちは誰かを気に入り、家族の一員としたならば、できる限り一緒にいたいと思っているし、それが困難な日々を強くすると思う」

 このような家族のような関係は、KTMがライダーを獲得するのに役立っていることは間違いない。しかし、優秀な人材を確保するための方法は、厳密に言うと健全なものではない。フェルナンデスは来年、テック3でMotoGPにステップアップする。しかし当初彼はそれを望まず、2022年にペトロナスSRTに移籍してヤマハに乗るという選択肢を模索していた。

 だが、KTMとフェルナンデスは既に2022年の契約を交わしていたため、その契約を解除するためにはSRTもしくはフェルナンデスが50万ユーロ(約6,500万円)程度を支払わなければならなかった。SRTはmotorsport.comに対し、フェルナンデスの契約を得るためにKTMとの関係を阻害することはないと述べ、フェルナンデスもKTMと揉めることを望まなかった。その結果、フェルナンデスは少なくともあと2年間はテック3でKTMファミリーにとどまることになったのだ。

 RC16MotoGPで5勝しており、そのうち2勝はサテライトチームのテック3であったため、フェルナンデスが幸運に恵まれていないとは言えない。しかし、若い才能をチーム内に留めておくことへの執着心は、いずれ注意しなければ亀裂を生むだろう。

Pedro Acosta, Red Bull KTM Ajo

Pedro Acosta, Red Bull KTM Ajo

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 だがそれは、ライダーに歓迎され価値があると感じさせられる限り、問題にはならないだろう。

「他のメーカーが我々のライダーに興味を持ってくれることは、褒め言葉だ」とベイラーは言う。

「私たちは、適切なライダーと仕事をしているように思う。しかし、ライダーがチームから離れたいということは起こるものだ。だから私たちのやり方は、彼らが快適に過ごせるようにすることで、その後にライダーは彼らの意見を言う」

「少なくとも、私たちには4度の優勝を誇るMotoGPマシンがあり、彼らのキャリアに多くのことを提供できると思う。なので、私たちと共にいたければ、私たちから離れる必要はない。だがもし、ここにいたくないのであれば、もちろん他にも素晴らしいメーカーがある。でも今のところ、私たちは若い子たちにとって本当に良いプラットフォームだと思う」

 KTMのモータースポーツにおける歴史は輝かしいものであり、自分たちの仕事に対する熱烈な情熱を信じることで、どこでも勝利を手にすることができる。若い才能の確保に対する手法には潜在的な欠陥があるかもしれないが、そのおかげで最高の若手ライダーを確保することができている。

 マルケスは、2020年にホンダと4年間の契約を結ぶ前に、KTMと接点を持っていた。マルケスがKTMに乗る日が来るかもしれないが、KTMは自分たちの中から彼を倒す相手を生み出すことができるという自信を持っているようにも感じられる。

 

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