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インタビュー

【インタビュー】F1パフォーマンスエンジニアになるためには……求められる資格やスキル、素養とは?

ハースF1でパフォーマンスエンジニアを務めるエドワード・リーガンに、仕事内容や変遷、求められるスキルなどの話を聞いた。

Edward Regan, Haas Performance Engineer

写真:: Haas F1 Team

 パフォーマンスエンジニアとはF1チームのエンジニアリング部門内の一役職であり、ドライバーが好むセットアップにマシンを仕上げていくことが主な仕事だ。

 この役職について深く知るべく、ミック・シューマッハーのマシン担当のパフォーマンスエンジニアを務めるエドワード・リーガンにいくつか質問を投げかけた。すると、彼からは実際の仕事内容や求められる資格やスキルなど興味深い話が伺えた。

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役職は?

 私はミック・シューマッハーのマシン担当のパフォーマンスエンジニアだ。

主な仕事内容は?

 コース上でミックが最大限力を発揮できるようにマシンを仕上げるために、彼と無線でやり取りをしているレースエンジニアと共に働いている。レースイベントの前は、空力や車両ダイナミクス、タイヤなど他の部門からの情報やアドバイスを聞き入れて、週末に向けたマシンセットアップへ集約していく。

 マシンがコース上へ出ている時は、ライブテレメトリーを見ながらマシンが予想通りかつ全てが安全に機能しているかをチェックしている。サスペンションが想像通りに動いているか、マシンが正しい車高を維持しているか、タイヤの内圧が正常かを常に確認し、次の走行ではどの様な変更を加えてテストするかを考えている。今年はセッションが短くなった(フリー走行1回目・2回目が90分から60分に短縮)。だからとても忙しいし、マシンをできるだけコース上で走らせることが、ドライバーへの1番の手助けになる。

 マシンがコース上での走行を終えた後は、我々はデータを確認し、ドライバーが抱える問題や速く走ることを助けるために何が必要かを話し合う。改善が必要な部分が分かれば、そこを良くするべくセットアップ方法を検討する。全てのセットアップは妥協の産物だ。弱い部分をカバーするために強い部分を犠牲にする必要があるのだ。例えば、ダウンフォースの増加はドラッグの増加に繋がるし、マシンがコーナリングで速くてもストレートでは遅くなる。

Mick Schumacher, Haas F1 walks the track

Mick Schumacher, Haas F1 walks the track

Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images

パフォーマンスエンジニアになるには?

 サーキット帯同のパフォーマンスエンジニアへの一般的なルートとしては、ファクトリーで車両ダイナミクス部門のポジションで経験を積んだ後に、サーキットでの役職に移ることだ。コース上でのテストは限られているから、帯同するチャンスを得るのは難しい。しかし、レースサポート(レース週末にファクトリーの司令室から、サーキットにいるチームへ行なう後方支援)として加わる機会は常にある。レースサポートをすることは、サーキット側のオペレーションに関する経験を深め、実際に帯同する時の基盤を作るにはとても良いチャンスだ。

 サーキット帯同のチームにいるスタッフの経験は幅広い。他のフォーミュラシリーズからF1に昇格したスタッフもいれば、以前ファクトリーで働いていた経験を持つスタッフもいる。私にはF1で仕事を始める前に下位カテゴリーのフォーミュラシリーズで働いた経験はないが、幸運なことに大学卒業後にチームのジュニア・車両ダイナミクス部門の仕事に就くことができた。その後のキャリアパスを築く機会をくれた彼らには、とても感謝している。

求められる資格とは

 私はAレベル(イギリスの大学入学に求められる一般教養過程)まで数学と物理学、コンピューティングを学んだ後、大学では自動車エンジニアリングを専攻していた。しかし、スタッフの多くがそれぞれ異なる分野から来ている。ほとんどの役割は仕事の経験を通して学ぶものなので、問題に冷静に対処するための心構えがあれば何でも構わない。

Mick Schumacher, Haas VF-21, leaves the garage

Mick Schumacher, Haas VF-21, leaves the garage

Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images

役立つスキルは?

 私の経験則から言うと、幼い頃からF1のファンだったことが、就職する時にF1に関わっていたいという気持ちを後押しした。モータースポーツのファンで、その環境で働くことを夢見てこれに関わりたいと思っている人が大半だと思う。(F1は)テレビで見るほど華やかな世界ではないし、家族や自宅から離れる時間も多いから、このシリーズに情熱を持っていないと厳しいかもしれない。どんな仕事にも言えることだが、大変な日もある。しかし、(F1は)何にも代え難い素晴らしい経験だ。

F1の仕事を経験するには?

 ほとんどのF1チームには、大学を卒業した人向けに新卒採用枠や、学生が数週間から1年間チームで様々な分野に携わることができる配属希望枠が設けられている。こうした枠ではかなり競争は激しいが、素晴らしい経験になるに違いない。(経験を通じて)学生たちは、それまで気が付かなかった自分に最適な役職を見つけることもある。

 F1マシンは他の多くのシリーズよりはるかに複雑だが、配属の件を除けば根底にあるものは同じだ。下位カテゴリー経験を積むことは有益で、履歴書を目立たせることもできる。

レースには帯同する?

 私はサーキットに帯同する役職に就いているから、チームと共にレースとテスト全てに参加している。私にとっては、マシンを正しく機能させてコース上でのパフォーマンスを最大化することこそが醍醐味だ。我々はサーキットで長い時間ハードワークを重ねているが、その大半はファクトリーのテレビに映らないスタッフたちによって行なわれている。最初のマシン設計からシーズン中のアップデートの制作や不具合の修正まで。サーキットにいるスタッフは映るけれど、ファクトリーにいるスタッフたちも同じように働いていて、パフォーマンスのほとんどはファクトリーでのハードワークによるものだ。

Mick Schumacher, Haas F1

Mick Schumacher, Haas F1

Photo by: Erik Junius

パフォーマンスエンジニアはどう1日を過ごす?

 F1、特にサーキットでは9時から17時といった定時の仕事はほとんどない。

 レース週末前の月曜日と火曜日は、ファクトリーや自宅でレースに向けたセットアップや必要書類の準備をする。

 メカニックたちの移動日の翌日にあたる水曜日の早い時間に我々も現地入りをして、到着時間によってはサーキットへ直行することもある。

 水曜日と木曜日はフリー走行1回目に向けてメカニックと共にマシンの準備に時間を割く。彼らは、テレビカメラにスイッチが入れられるずっと前からとても頑張ってくれている。木曜日と金曜日には、サーキットへの居残りが許されない作業禁止時間がある。これは通常9時間くらいで、サーキットから離れてしっかりと睡眠時間を確保することができる。導入される前までは、毎晩遅くまで頑張ろうという気概があったが、週末にその代償を払うことになった。

 金曜日は初走行の日で、午前8時にサーキットに着いて深夜まで帰れないから週末を通しても一番長い日だろう。他の日に、サーキットにいる時間は12時間かそこらだ。

 予選のためにマシンがガレージを離れたら、どのパーツにも変更を加えることは禁止される。変更を加える最後のチャンスだから土曜日の午前中はかなりの緊張感だ。そうしたら、残りの週末に挑むだけだ。

 日曜日のレース後はみんな自宅へ帰って、月曜日の朝には仕事に戻って週末のデータを見返して次のレースに向けて何が学べるかを探すのだ。

 
 

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 当記事は、Motorsport Jobsの協力により制作。jobs with the Haas F1 Teamを始め、Motorsport Jobs websiteでモータースポーツ界の仕事を探そう。

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