問題山積みヒュンダイ、開幕戦でトラブル続発「スタッフに倍の努力をしてもらわないと……」

　ハイブリッド化を含む新たなラリー1規定が導入され、新時代を迎えたWRC（世界ラリー選手権）。開幕戦ラリー・モンテカルロでは各マニュファクチャラーが新型車両を投入したが、ヒュンダイは数多くの信頼性トラブルに見舞われ、ライバルのトヨタやM-スポーツ・フォードの後塵を拝した。

　3台の『ヒュンダイi20 N ラリー1』のうち、フィニッシュにたどり着いたのはティエリー・ヌービルの1台のみ。そのヌービルも、右フロントのサスペンションダンパーがボンネットを突き破るトラブルなどで大きくタイムロスし、優勝したセバスチャン・ローブから7分以上遅れての6位が精一杯だった。

　ヌービルは金曜日の段階で、ドライブが怖いとまでコメントしていたが、日曜日のSS15でなんとかこのラリー唯一のステージ優勝を果たしている。

　オット・タナクは追い上げを狙ってスリックタイヤを履いたが、路面が凍結したセクションでクラッシュ。スペアタイヤを1本しか積んでいなかったタナクは、2度目のパンクでラリーを終えることになった。

　一方で、オリバー・ソルベルグが見舞われたトラブルはより深刻だ。彼とコ・ドライバーのエリオット・エドモンドソンは2日間にわたって逆流した排気ガスにさらされ、体調を崩した。集中力を欠いたソルベルグはSS10でコースアウトも喫しており、競技最終日途中でリタイアを決めた。

　ヒュンダイの副チームディレクターを務めるジュリアン・モンセは、ライバルたちに追いつくためには、スタッフが”倍の努力”をしなければならないと認めた。

「とてもタフなラリーだった」と、モンセはmotorsport.comに語った。

「我々は、難しいことは分かっていてここ（モンテカルロ）に来た。クルマを仕上げたのはギリギリのタイミングだった。やるべきことがたくさんあったので、チャレンジングになることは分かっていた」

「スタートする時は、常にもっと上を目指しているものだが、我々はまだその域に達していない」

「勝つためにやってきたのに、残念な結果になってしまった。とはいえ、初めてライバルたちと比較することができたので、いくつか学ぶことができた」

「トラブルなく走れている時は、そこそこのパフォーマンスが出ていることが確認できたので、これはポジティブなことだと思う」

「1台が完走し、1つのステージを勝ち取ったが、我々はさらに努力し、プッシュしなければならない。モンテカルロやファクトリーにいた人たち全員に、倍の努力をしてもらわなければならない」

「次戦のラリー・スウェーデンまでは少し時間があるので、マシンのテストを続けられるし、クロアチアまではさらに時間がある。状況は悪いが、まだコントロールできている」

　チームにとっての最重要課題は信頼性だが、ヌービルはパフォーマンス向上についても取り組む必要があると提言した。

「ラリーを終えて、失望とフラストレーションという感情が残る」とヌービルは語った。

「厳しい週末だった。パワーステージでは命をかけて走り、すべてを出し切ったので、この（パワーステージ3番手）タイムにはがっかりしている」

「このイベントのために、僕やコ・ドライバーのマルティン（ワイダゲス）、そしてチームも裏方として多大な努力を重ねてきた」

「でも、諦めることはない。皆のモチベーションを維持するために、これからもプッシュしていく」

「それが重要なんだ。これから取り組むべき分野は色々残っているが、最も重要なのは信頼性だ。これからのイベントに向けて、もっともっと強くなる必要がある」