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特集|F1ドライバーを支える”影のヒーロー”たち……F1チームにはどんな役職があって、彼らは何をしている?

F1チームには計何人のスタッフがいるか、ふたりのドライバーをどんな人たちが支えているのかをご存知でしょうか? ここでは、F1チームで働くスタッフについて一挙ご紹介しよう。

The Red Bull Racing team gather for a group photo

The Red Bull Racing team gather for a group photo

Steven Tee / Motorsport Images

 F1チームには、300人から1200人のスタッフが所属している。トップチームか中団グループのチームか、パワーユニット(PU)を含めどれだけチーム内でパーツを製造しているか、外部委託しているかによって、その規模は異なってくる。

 ルイス・ハミルトン(メルセデス)が常日頃から語っているように、チームのファクトリーにいるマシン設計・開発・製造部門と、トラックサイドでマシンを走らせるチームが、彼の成功を支える“影のヒーロー”なのだ。ここでは、ふたりのドライバーを支えるF1チームで働くスタッフについてご紹介しよう。


チーム代表

 チーム代表は、チームのリーダー的存在。チームを率いる決意や献身、忍耐、機転、協調性、外交力など、広い人格特性が求められる。

 チーム代表は、今や1シーズン23レースにも膨れ上がったレースの、サーキットやファクトリーでのチーム運営を監督するだけでなく、F1というスポーツの政治的な部分にも深く関わり、F1主催者や統括団体のFIAとトップレベルの交渉にも臨む。

 なお彼らはチームでの責任を背負う存在ではあるが、必ずしも“最も偉い”、というわけではない。以前ルノーの代表を務めたシリル・アビテブールや元ウイリアムズ代表のサイモン・ロバーツ、レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーでさえ、チームのオーナーには頭が上がらないのだ。

 James Allison, Technical Director, and the Mercedes AMG celebrate

James Allison, Technical Director, and the Mercedes AMG celebrate

Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images

テクニカルディレクター

 チーム代表と同様、テクニカルディレクターもファクトリーとサーキットの両方で重要なポストだ。ファクトリーではマシン開発の監督を行ない、サーキットではチーム運営の管理を行なう。双方の正しい時間配分が成功へ導くカギになる。

 テクニカルディレクターは、それぞれのエキスパートから助言を得ながらも、目指すべき方向性に向けた初期のマシン開発を率い、全ての技術的側面における最終的な意思決定を行なう。

 テクニカルディレクターの先見の明がチームの良し悪しを決めることも多い。そして、ウイリアムズやレッドブルなどでチャンピオンマシンを数々手掛けてきたエイドリアン・ニューウェイほど、その才能に恵まれた人物は少ないだろう。

トラックサイドチーム

 F1は、世界各地でレースを行なうために多くのスタッフが一同に移動することから「トラベリング・サーカス」とも呼ばれる。小規模なチームでも、レースごとに膨大な数のスタッフが世界中を飛び回っている。

レースチーム

 レースチームは、ふたりのドライバーを中心に約75名のスタッフがサーキットでマシンを実際に走らせる。サーキットでのマシンセットアップや実走行、修理、パフォーマンスデータの分析などを行ない、マシン改良に取り組む。

 テクニカルディレクターもしくはそれに相当するレースエンジニアリング責任者などの役職の人物が、ストラテジストやメカニック、データアナリストなど各部門の責任者からのサポートを受けながら、マシンの技術的側面を率いる。また、スポーティングレギュレーションを熟知し、競技面を統括するスポーティングディレクターもいる。

 各ドライバーには“ナンバーワン・メカニック”がつき、ガレージにマシンがいる時も、グリッド上でスタートを待っている時も、マシンとそのマシンを担当する全メカニックに対して全責任を負う。

 各メカニックはそれぞれ役割が与えられ、メカニックの中からピットストップでジャッキマンやガンナーなどピットストップチームのクルーに選抜される。また、ガレージ内では技術スタッフがメカニックたちをサポートし、マシンの様々なメンテナンスを担っている。

 また、データアナリストやストラテジストはピットウォールなどサーキットだけにいる訳ではない。サーキットのライブデータは、常時ファクトリーの“ミッションコントロールルーム”に送られ、多くのスタッフがレースシナリオを予測するシミュレーションを行なっている。

 ファクトリーの後方支援部隊には、その他にもテストドライバーやリザーブドライバーなどのトップレベルのドライバーが控え、サーキットでの実走行時間内ではできなかったテストをシミュレータ上で行なっている。

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トラックチーム

 マシンに関わるスタッフだけでなく、F1チームにはガレージ装備の展開や撤収、モーターホームの建設や運営、VIPゲストのエスコートまで、膨大な数のスタッフが関わっている。

 チームやゲストは、レース週末中は3日間モーターホームで食事をとる。ただモーターホームを“聖域”に保つべく、長期的にケータリング企業やセキュリティサービスと契約を結ぶことも多い。

 また各グランプリにコミュニケーションディレクターが率いるマーケティングチームが帯同し、各ドライバーにはメディア取材を管理するプレスオフィサーがつく。セッション後のメディア・ペンでのインタビューで、ICレコーダーを持ってドライバーの横に並んでいるのをよく目にするだろう。

 またドライバーには基本的にトレーナーがつき、水分補給や体調の維持などを行なう。また精神面の強化や維持を目的としたマインドコーチや契約周りを管理するマネージャーやエージェント、そしてハミルトンのように愛犬を連れるドライバーもいる。

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Photo by: Caterham F1

ファクトリーチーム

 サーキットにいるチームスタッフは、巨大なF1チームの氷山の一角に過ぎない。F1が1950年に誕生して以来、ファクトリーの規模は格段に大きくなり、今では地球上で最も優秀かつエンジニアリングの才能がある人々が集う場所となっている。

デザインオフィス

 テクニカルディレクターが率いるこの巨大な部署は、マシンコンセプトの決定や設計、開発を担当し、CFD(数値流体力学)や数値応力解析、風洞でエアロパーツのテストを行なう。

 F1の世界的人気から、このデザインオフィスには世界中から優秀なエンジニアが集まっている。修士号を持っているエンジニアが一般的で、最近では博士号を持つ人も珍しくはない。

 デザインオフィスはいくつかの部門に分かれており、それぞれを率いる部門長がいる。メルセデスの場合、シミュレーション、素材、設計、開発、品質管理、信頼性など計11の専門部門が設置されている。

 これらの部門もさらにサブチームに区分され、部門長がそれらを束ねる責任者を務めるケースもある。例えば、エアロダイナミクス部門は通常3〜4つのチームに分かれ、それぞれが順番に風洞で作業を行なう。

 風洞にはその操作やメンテナンス、運営を専門に行なうチームがあり、エアロダイナミクスのサブチームがデータ収集に集中できるようにサポートを行なう。

シミュレータ

 シミュレータも風洞と同様に専用のチームがおり、年間10万キロ以上の距離をシミュレーター上のマシンで走らせる。

 専任のソフトウェアエンジニアがマシンセッティングを変更し、エンジニアからの要求に沿ったテストプログラムをオペレーターが設定する。

パーツ製造

 F1チームはシーズンを通してパーツを製造している。サプライチェーンの企業に一部製造工程をアウトソーシングするチームもあれば、ハイスペックな工作機械を定期的に更新しながら、完全にチーム内部で製造を完結させるチームもある。

 ファクトリーの作業フロアはファクトリーマネージャーによって運営が管理され、カーボンコンポジットの制作チームや金属加工風洞モデル用の樹脂加工チームなどが作業を行なう。

品質管理・検査

 その名の通り、ここでは新しくできたパーツやサーキットで使用されたパーツの品質管理・検査を行なっている。この部門のエンジニアたちが、現代F1が誇る驚異的な信頼性を担保しているといっても過言ではなく、サーキットでパーツに加わる負荷を性格に再現できる単軸・多軸リグなどのハイテク検査機械がそれを支えている。

 動的テストのエンジニアやオペレーターだけでなく、最先端の素材解析、振動を用いたモード解析、環境振動を担当するエンジニアもいる。チームによっては、特注リグの設計をチーム内で行なうところもある。

レースベイ

 レースベイでは、高度なスキルを持ったメカニックチームがサーキットからファクトリーに戻ってきたマシンを整備する。マシンを解体し、掃除し、寿命を迎えたパーツを交換してマシンを再び組み上げる。

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DHL and Ferrari truck

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Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

非パフォーマンス部門

 F1チームで働くスタッフの全てが、技術サイドにいる訳ではない。この部門はマシンパフォーマンスには直接関わらないが、その多くがチームの収入に関連しているため、ある意味、最も重要な部門のひとつと言える。

コマーシャル

 忘れがちではあるが、ここが最も重要なセクションとも言える。マシンを開発し、レースを行なうための資金源となるスポンサー契約は、ここで行なわれるのだ。

 コマーシャルチームのパートナーシップ獲得契約サブチームがスポンサーを獲得し、パートナー・リエゾンのサブチームがパートナーとの関係を築き、発展させていく。そしてコマーシャルディレクターがそれらを束ねる。

ロジスティクスとホスピタリティ

 ロジスティクスは、チームの世界転戦、施設や貨物の輸送、ゲストの送迎など、それぞれの分野を担当するサブチームと、全体を束ねるコーディネーターによって組織されている。

 2022年シーズンの計23戦でマシンや機材、スタッフを移動させるだけでも大変な仕事ではあるが、パスポートや許可証、その他書類も全て用意する必要がある。

 マシンは空輸されるものの、機材やスペアは2〜3セットが用意されている。もちろん、ひとつはサーキットに送られ使用されるが、その他のセットはフライアウェイ戦に向け、航空運賃を抑えるために海路で輸送される。

 ホスピタリティチームは、モーターホーム等の運営を通じて、チームが招いたVIPやスポンサーにチームからのプレミアムなサービスを存分に楽しんでもらうためにその役割を果たす。

コミュニケーション

 コミュニケーションディレクターが率いるこのチームでは、F1チーム全体として伝えたいメッセージを伝えることを目的としている。レース帯同組が不在の場合は、ファクトリーにいるチームがバックアップ。時には“火消し役”としての役を負うこともある。

 単なるプレスリリースからソーシャルメディア運営まで、メディアの世界は近年劇的に変化している。チームにはビデオグラファーやソーシャルメディアアドバイザーの他にも、ソーシャルメディアからサイトへの流入を狙うSMO(ソーシャルメディア・オプティマイゼーション)担当など様々なスタッフが活躍している。

 また、マシンのカラーリングからチームの封筒まで、デザインは専属のクリエイティブチームが存在することが多い。「ルック&フィール(外観と操作感)」がチームブランドに馴染み、“洗練された”プロフェッショナルなチームとして表現することが欠かせないからだ。

 各チームがそれぞれにフォトグラファーを雇うのが一般的だ。彼らはチーム専属として働くか、兼業としてメディアのフォトグラファーとして働くことになる。

 
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