コラム
スーパーフォーミュラ
英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記「松下信治SF復帰という喜ばしいニュース」
日本を拠点に活動するmotorsport.comグローバル版のニュース・エディター、ジェイミーがお届けするコラム。今回は急転直下で今季のスーパーフォーミュラ参戦が決まった松下信治について綴った。

Jamie Klein
公開日時: 2021/05/28 8:18
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

こんにちは! 今回もよろしくお願いします。初めてのコラムを執筆して数週間が経ちましたが、スーパーGTとスーパーフォーミュラのシーズンが本格的に始まり、忙しい日々を過ごしています。特にレースウィークでは、motorsport.comの映像チャンネルであるmotorsport.tvで日本から現地情報を担当しているので、以前よりも忙しくなりました。英国のF1実況でお馴染み故マレー・ウォーカーを崇拝していたので、以前から実況はやってみたいと思っていましたが、実際にやってみると想像以上に難しいですね!
Read Also:
日本語の勉強も順調です。実は7月に行なわれる“JLPT”(日本語能力試験)に応募しました。これには5段階のレベルがあり、最高が“N1”で、最低が“N5”。私はその中間である“N3”に挑戦することにしました。合格には漢字を約650字、単語を4000近く知っている必要があるとされています。まだまだ知らないものが多いので、これから7月にかけて、レースの合間を縫ってこれまで以上に勉強していきたいです。
ところで、スーパーフォーミュラのファンの皆さんは、先日行なわれた鈴鹿戦で松下信治がB-Max Racingから待望の復帰を果たしたことをご存知のことでしょう。松下とチームは開幕前テスト、そして開幕戦を欠場せざるを得なかったので、鈴鹿で競争力を発揮するのは難しかったと思います。
実は、今年の初め、ホンダがB-Max Racingへのエンジン供給を渋ったという噂がありました。その話を聞いて、私は松下を気の毒に思わずにはいられませんでした。松下は昨年、セルジオ・セッテ・カマラの後任としてB-Max Racingに加入して4レースを戦いましたが、すぐに速さを見せました。セッテ・カマラはデビュー戦でポールポジションを獲得しましたが、その後フォーミュラEに参戦することとなり、“一発屋”に終わってしまいましたね。松下は日本のファンのみならず海外のファンにも知られた存在であり、2年ぶりのスーパーフォーミュラ復帰は喜ばしいニュースと言えました。最終戦富士では表彰台に上がったこともあり、松下とチームは2021年も同じ体制を続けると思われていました。特にコロナ禍のいまは市場にいるドライバーも少ないですからね。
昨秋に日本に帰国した松下は、スーパーフォーミュラだけでなくスーパーGTのGT500クラスにも参戦したいと考えていたようで、GT500に参戦する3自動車メーカー全てに接触したようです。その中で日産が興味を示し、2021年からTEAM IMPULと契約を結びました。2018年には千代勝正が日産陣営でスーパーGTを戦いながらB-Max Racingからスーパーフォーミュラにも参戦していたので、松下も同じような体制でスーパーフォーミュラに出たいと考えていたようです。
Nobuharu Matsushita, Buzz Racing with B-Max
Photo by: Masahide Kamio
また、B-MaxRacingとモトパークの関係は2020年限りで終了したものの、スポンサーであるBuzzが、ヨーロッパの名門チームであるカーリンを2021年以降のテクニカルパートナーに招き入れられるよう水面下で動いていたため、B-Max Racingの競争力も維持されることが期待されていました。
しかし、ホンダには別の考えがあったようです。松下が日産とファクトリー契約を結んだことが、ホンダがB-Max Racingへのエンジン供給を許可しなかった理由と言われています。ホンダの技術がニッサンに漏れるんじゃないかと、ホンダのモータースポーツ部の上層部に考える人がいたからと聞いています。でも、ホンダ内部でも松下をスーパーフォーミュラで走らせたいという人も多くいました。そういう彼らが動いて技術漏洩の可能性なんかないという結論を上層部に認めさせたと言われています。
結局Buzzは去ってしまい、カーリンとの提携も叶いませんでしたが、鈴鹿にはチームカラーである黄色に塗られたB-Max Racingのマシンが1台並びました。もう1台のマシンにはアメリカのルーキー、イブ・バルタスが乗る予定になっていますが、現在の渡航制限の影響で、彼が来日してレースを戦えるかどうかは分かりません。
松下の鈴鹿での結果は13位。1台体制のB-Max Racingが鈴鹿で結果を残すのは難しかったでしょう。仮にもう一台のマシンにバルタスが乗っていたとしても、彼は経験に乏しく、経験豊富なふたりのドライバーで参戦していた昨年とくらべると、今年は厳しいシーズンになりそうです。
松下の参戦が、噂されている通りホンダによって拒否され、その決定が覆されなかったなら、観客は才能のある松下の走りを観ることが出来なかったかもしれません。これは松下やチームにとっても、そしてスーパーフォーミュラのファンにとってもとても残念な結果です。社内で松下の参戦を後押しするために働いた社員の努力と、新しくモータースポーツ部長に就任した長井昌也氏の決断が正しかったことは、これから松下が証明してくれるはずです。僕も彼を応援します。
Read Also:
- ヤン・マーデンボロー、スーパーGT復帰への強い思いを語る「僕にはやり残したことがある」
- 【インタビュー】ホンダ長井昌也モータースポーツ部長(2)“松下騒動”を語る
- 【スーパーフォーミュラ】松下信治、波乱の船出も2戦目で3位表彰台。チーム力向上にも手応え
- ジュリアーノ・アレジのスーパーフォーミュラ初優勝を可能にした5つの要因
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
コメントを読んで投稿する
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 【トップインタビュー】現役ドライバーから運営に。立場が変わっても中嶋悟が忘れなかった“正直さ”
次の記事 毎年のように悪天候に見舞われるスーパーフォーミュラのオートポリス戦……開催時期の変更を提案する声も
Top Comments
コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?
View More & Comment

More from
Jamie Klein

来年はGT300の1戦に。“お祭り”色の強い今年の鈴鹿1000kmも存分に味わおう|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記
スーパーGT
スーパーGT
第5戦:鈴鹿
1 ヵ月前
来年はGT300の1戦に。“お祭り”色の強い今年の鈴鹿1000kmも存分に味わおう|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

雨のSF富士で予選トップ3に入ったブラウニングとオサリバン。知られざる数奇な“腐れ縁”|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記
スーパーフォーミュラ
スーパーフォーミュラ 1 ヵ月前
雨のSF富士で予選トップ3に入ったブラウニングとオサリバン。知られざる数奇な“腐れ縁”|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

WECトヨタの祝福すべき50勝目。しかしBoP非公開で“真の実力”はブラックボックス|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記
WEC
WEC 4 ヵ月前
WECトヨタの祝福すべき50勝目。しかしBoP非公開で“真の実力”はブラックボックス|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記
最新ニュース

アコスタ「表彰台を狙えたのに、たった3つのコーナーで全て失った」多重クラッシュ引き金のマルケス弟を批判
MotoGP
MGP MotoGP
日本GP
11 時間前
アコスタ「表彰台を狙えたのに、たった3つのコーナーで全て失った」多重クラッシュ引き金のマルケス弟を批判

スプリント2位で初表彰台。でも「運が良かった。実力通りじゃない」新人モレイラは謙虚
MotoGP
MGP MotoGP
日本GP
11 時間前
スプリント2位で初表彰台。でも「運が良かった。実力通りじゃない」新人モレイラは謙虚

ミシュラン、日本GP決勝でソフトタイヤ使用を禁止。スプリントでの消耗受け異例の決定……ウォームアップは20分へ延長
MotoGP
MGP MotoGP
日本GP
12 時間前
ミシュラン、日本GP決勝でソフトタイヤ使用を禁止。スプリントでの消耗受け異例の決定……ウォームアップは20分へ延長

ホンダF1折原エンジニア、アロンソ&ストロール揃っての予選Q2進出に安堵「どんな展開にも対応できるように準備します」
F1
F1 F1
バーレーンGP
12 時間前
ホンダF1折原エンジニア、アロンソ&ストロール揃っての予選Q2進出に安堵「どんな展開にも対応できるように準備します」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録