インタビュー

WEC 第8戦ル・マン24時間レース

ル・マン初制覇を逃した小林可夢偉「これが僕の人生。逃げずにチャレンジし続ける」

2019年のル・マン24時間レースで2位に終わった小林可夢偉は、レースを終えての率直な心境を語った。

戎井健一郎

公開日時: 2019/06/19 14:28

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Kamui Kobayashi, Toyota Gazoo Racing

 TOYOTA GAZOO Racingの小林可夢偉は、チームのWEC(世界耐久選手権)
2018-2019年シーズン報告会の中で、2位に終わったル・マン24時間レースを振り返り、現在の心境を語った。

 小林は2019年のル・マン24時間レースでトヨタTS050Hybridの7号車をドライブ。7号車は残り1時間までトップを快走しながら、タイヤのスローパンクチャーが発生。しかもタイヤの内圧センサーにトラブルがあり、本来ならば右リヤタイヤを交換せねばならぬところ、右フロントタイヤを交換してしまうことになった。これにより、丸々1周スロー走行して再びピットストップしなければならなかった。大きくタイムロスした7号車は僚友の8号車に総合優勝を譲る形となり、小林は悲願のル・マン初制覇を逃した。

 小林にとって悲劇的な幕切れとなった決勝レースから3日が経ったが、口を開いた彼はあくまで冷静だった。

「全然落ち着いてますよ、全然。変わりないですね」

 トヨタは昨年、悲願のル・マン初制覇を達成したが、小林にとってル・マン制覇は未踏の領域。今年こそ勝利を手にするべく、チームづくりに力を入れていたようだ。

「勝つにはどうしたらいいのかというのをすごく考えた1年でした」

「僕は7号車の中でも、そういう風なこと(チームづくり)をするキャラで、何か困ったことがあれば僕が行くという感じでした。みんなの走り方とかも考えながら、『こういうクルマなんだからこうやって走れば良くなるよ』といったメンタルのケアもしていました」

「結果としては満足いかないですけど、これが僕らの信頼関係にもつながって、チームワークとしてはすごく良い時間を過ごせたと思います」

 小林の駆るトヨタ7号車は、今季WECの8レース中5レースでポールポジションを獲得するなど、8号車と比較しても速さを見せる場面が多く見られたが、トラブルなど不運も重なり、結果的に2勝に終わった。それはル・マンも例外ではなく、ポールポジションからスタートして終始速さを誇示していたが、最後はトラブルに泣いた。

 そんな今シーズン、そして今年のル・マンを、小林はどのように感じているのか?

「正直なところ、人生って変えられないと思うんですよ」

「だからこれは僕の人生だったんだなと思います。正直今年1年を見ていると、僕らのクルマだけトラブルが多すぎるんですよ。トラブルがなかったら逆に僕らがチャンピオンを獲っていたと思うんです」

「でもそれはたらればの話であって、僕たちは真剣勝負をしているので、負けは負け、勝ちは勝ちなんです。どんな状況であってもそれは勝負なので。これが自分の人生なので、ここからどうやって進んでいくかを考えてレースをやっていくしかないなと思います」

「やっぱりF1をやって思ったのは、クルマが遅いから勝てないんじゃなくて、勝てるクルマに乗れなかった自分も悪いなと。そういう意味では、勝てる状態を作れなかったというのが一番の要因だろうなと思います。だからこれからはチームワークだけじゃなくて、マネージメントも含めて勝負していかないといけないと思いました」

 レース後の記者会見では「今はル・マンが嫌いです」と語った小林。その真意を問われると、彼は独特の切り返しで、かつ悔しさもにじませながらこう語った。

「いや嫌いですよ! 何であんなに長いねんって思うじゃないですか(笑)」

「でもこれは悪い意味じゃなくて。嫌いだからこそ、やっつけたいという気持ちになります。勝てそうなのに勝てない、そんな人生、僕は悲しすぎて嫌です。1回勝つということは自分の人生にとってはすごく大きなことだと思います」

「だからこそ、そこから逃げるんじゃなくて、チャンスがある限りはチャレンジし続けたいと思っています」

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