FTX危機がF1に及ぼす”不信感”。メルセデス「いかに暗号通貨市場が脆弱であるかを示した」フェラーリも騒動を注視
メルセデスAMG F1チームは、主要スポンサーであった暗号通貨取引所「FTX」の破綻によって「いかにこの分野が脆弱であるかを示した」として、関係企業などに”不信感”を与えたと考えている。
写真:: New Revolution Media
大手の暗号通貨取引所「FTX」は、関連会社の「Alameda Research」で発生した流動性危機によって80億ドルもの資金不足に陥り、11月11日(金)に民事再生法の適用を申請。経営破綻した。これに伴い、CEOのサム・バンクマン・フリードは退任となった。
今月に入ってからFTXの危機的状況が報道されると、同社のトークン「FTT」の価格が大暴落。顧客はFTXからの資金引き出しに殺到する事態となった。この影響を受ける形で、仮想通貨の代表格とも言えるビットコインも、ここ2年での最安値を記録した。加えてFTXは、顧客預金を不正に流用した疑惑もかけられており、アメリカ証券取引委員会(SEC)による調査が開始されると見られている。
FTXが引き起こした危機による影響は、暗号通貨市場以外にも波及。F1界では、FTXが主要スポンサーを務めてきたメルセデスAMG F1チームが、FTXが破産申請するのに先立ち、スポンサー契約を停止した。他F1チームも多くが暗号資産取引所をスポンサーとして迎えている中で、メルセデスのチーム代表でCEOも務めるトト・ウルフは、顧客や関連企業に対して「不信感」を与えたと考えている。
ウルフは、世界最先端の技術を武器に戦うF1が暗号通貨という存在に背を向けるべきではないと考えているものの、FTX危機が暗号通貨市場が抱えるリスクを浮き彫りにしたと語っている。
「暗号通貨が妥当性を持っていることはみんな分かっているからこそ、難しい問題だ」とウルフは言う。
「私は、ブロックチェーンが将来の取引方法であると強く信じている。しかし、今回の事態はFTXということ以上に、非常に残念なことだ」
George Russell, Mercedes W13
Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images
「我々がFTXを(スポンサーとして)検討したのは、手札にあった中で最も信頼性が高く、かつ堅実で財政的にも健全なパートナーのひとつだったからだ。しかし突然、暗号通貨企業がほんの1週間で膝をつき、消滅してしまう可能性があるということが分かると思う」
「今回の件は、この分野がいかに脆弱であるかを示していて、規制を導入する必要性があると私は考えている。我々のような顧客、投資家、パートナーがこうした事態に強い不信感を抱いているのだからね」
F1にはFTXの他にも、多くの暗号通貨関連企業がスポンサーとして参加しており、例を挙げるとレッドブル・レーシングが「BYBIT」、アストンマーチンF1チームが「crypto.com」、アルピーヌF1チームが「Binance」をパートナーに迎えている。
ブロックチェーンネットワークの「Velas」が主要スポンサーを務めるスクーデリア・フェラーリも、今回のFTX危機を注視している。
「確実に、今回の一件は我々として注目しなければならないことだ」
フェラーリのマッティア・ビノット代表はそう語る。
「モニタリングはしているが、我々にできることは今のところ何もない。知ることも予想することも非常に難しいが、モニタリングはしている」
「しかし、我々の状況に関連するモノについては確実に、現時点では全てが安定状態にあり、問題はない」
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