転倒は完全に自分のせい……MotoGP初参戦、長島哲太の悔しさと将来に向けた貴重な経験「また呼んでもらえるよう、しっかりと仕事していく」
ワイルドカードでMotoGPの日本GPに参戦した長島哲太は、3周目に転倒リタイア。レースの結果は悔しいとしつつも、レースに出られたことは貴重な経験だったと振り返った。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
MotoGPの日本GPにワイルドカード参戦した長島哲太(HRC Team)は、決勝レース3周目に転倒してリタイア。目標としていた入賞には届かなかった。
レース後に長島は、転倒してしまったことはHRCに申し訳ないとしながらも、非常に良い経験ができたと語った。
今季HRCのテストライダーを努めている長島は、ワイルドカードとして母国戦日本GPに参戦。MotoGPマシンで初めてのレースながら、金曜日のフリー走行は1回のみ、土曜日も雨に見舞われた上、FP3がキャンセルされるなど満足に走行できぬまま予選、そして決勝に臨んだ。
19番グリッドからスタートした長島は、レギュラーライダーたちにしっかりとついて周回を重ねていった。しかし3周目に転倒。ここでレースを終えることになった。
「転んでしまって申し訳ない気持ちと、悔しい気持ちでいっぱいです。でも今回たくさん勉強させてもらったという意味では、今回出ることができて良かったなと思います」
長島はレース後にそう語り、さらにレースを次のように振り返った。
「スタートはそんなに悪くなかったです。でも1〜2コーナーではうまく前に出ることができなかった……そこはレースの勘が少し遠のいているなと感じました。3〜4コーナーでも悪くはなかったんですげど、前に行けるほどではありませんでした」
「レースがスタートしてからは、15〜16番手のグループにはついていくことができました。まったく相手にならないという感じではなかったです。ちゃんと前からスタートしていれば、普通に皆んなとレースできたという感触はあります。だから余計に悔しいです」
「タイヤも問題ありませんでしたし、色々と試して、上がっていきたいというところでした。序盤からぶっちぎられてひとりになるということはなく、他のライダーの走りを後ろでしっかりと見ることができたので、それは良かったなと思います」
「レースが進んでタンクが軽くなったら後半少しペースを上げられるかなと思っていました。最後までレースしたかったなという気持ちが大きいです」
長島曰く、レース中も色々と試しながら、ペースを上げようとしていたという。その中で転倒が起きてしまったようだ。
「転んでしまったのは完全に自分のせいです。レギュラーライダーたちについていくためには、走りを変えなきゃいけないというのは分かっていました。なかなか時間的な問題もあって合わせ切れず……昨日も雨でしたしね。だからレース中に色々と試しながら走っていたらリヤが抜けちゃいました」
そう長島は説明する。
「もちろん、しょうがない部分もありますが、ライダーとしては転倒してはいけないと思います。こういう場を用意していただいたHRCに申し訳ないですし、ちゃんと結果で恩返ししたかったです。でも、本当にめちゃくちゃ良い経験になりました」
今季は8耐を制したものの、いずれのカテゴリーにもレギュラー参戦していない長島。そこが、今回大きな課題になったと改めて語る。
「僕は今季、レーシングライダーという場面がほとんどありません。開発ライダーという面でしか挑戦できません。逆を言えば、全日本などでレーシングライダーとしてもしっかり活動していれば、もう少しできたことはあるかもしれません」
「反省点ではありますが、それは誰に用意されるモノでもなく、自分をレーシングライダーだと思うからには、自らそういう勘を養っておかなければいけません。今回、レーシングライダーとして必要なことを気付けたと思います」
「その一方で開発としては、バイクの開発の方向性などをレギュラーライダーと話をすることができ、確認することができました。ある意味根本で感じていることは一緒だったので、ライダーとして間違っていなかったという感覚があります。そこは、今回出られてよかったと思います」
「(マルク・マルケスとポル・エスパルガロの)ふたりとも色々と教えてくれましたし、話もできました。これまでは直接そんな風に話す機会はありませんでしたからね。今回一緒に走って、アドバイスもくれて、情報も共有できたのは、今後に向けて大きいかなと思います」
今回の経験を経てレギュラーライダーとして走りたいと思うようになったのではないかと尋ねられた長島は、それは簡単ではないとしつつも、声がかかったら走れるように、常に準備していきたいと、MotoGP再挑戦に意欲を見せた。
「もちろん、MotoGPのレギュラーになれれば最高ですけど、今の状況とか年齢的なことを考えても、それが難しいのは分かっています。でも逆に、8耐とかではしっかり走れているので、自分の場というのを見つけたいと思います。それを見つけるのは、簡単ではないですけどね」
「でも、いつ呼ばれても大丈夫なように準備していますし、今回チャンスを与えてもらったことには感謝しかないです。少しずつ、認めてもらえているのかなと思います」
「まだまだやらなきゃいけないことはありますし、今回気付くことができたことをちゃんと詰めていき、しっかり仕事していれば、また呼んでもらえると思います。そこはHRCを信じて、今後もやっていきたいと思います」
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